過去の州軍国境派遣を知る

2018.4.9
追加 2018.4.10 17:10


 military.comがメキシコ国境の警備のために州軍を派遣する問題について報じています。

 彼が大統領に立候補して以来、ドナルド・トランプ(Donald Trump)は、他の米大統領がしてこなかった移民に関する事柄と米メキシコ国境について述べてきました。しかし現在、彼は州軍を送ることで前任者の戦略に直接手を伸ばします。

 元大統領のジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)とバラク・オバマ(Barack Obama)が2006年と2010年に国境に州軍を派遣したとき、彼らは議会に移民政策の多岐にわたる見直しを促進していました。両者の見直しは失敗しました。2011年、政府の評価はブッシュとオバマの派遣は少なくとも13億ドルかかると見積もりました。

 トランプも移民法を再構築しようとしています。しかし、議会はいまのところ、彼が選挙期間中に約束した国境の壁に僅かな予算を出し、大統領は今週、壁が建つまで2,000〜4,000人の州兵を国境地帯に求めると言いました。 トランプは、昨年、低下したものが典型的にそれと同じくらい多くの人々を逮捕するようになったあと、派遣は国境警備隊を助けるために重要だと言いました。

 土曜日のツィートで、トランプは「我々は南部の国境に封をしています。偉大な国の国民は安全と治安を望みます」と言いました。

 テキサス州とアリゾナ州の当局者は、最初の400人の兵士が数日内には小されると言い、ジム・マティス国防長官(Defense Secretary James Mattis)は国防総省が9月までに、必要ならば、フルに4,000人の経費を負担するだろうと言いました。

 州軍派遣の最近の歴史、当時彼らに命じた大統領が言ったこと、国境の州は当時と今とでどう違うかを見てみましょう。

ジャンプスタート作戦(Operation Jump Start) 
2006年6月〜2008年7月

大統領の発言 「何十年も、アメリカは国境を完全に支配していませんでした」とブッシュは言いました。「その結果、我々の経済の中で働きたい多くの人たちは国境を越えて忍び込み、数百万人が留まりました」。

 作戦の発表において、ブッシュ派議会に「包括的な移民制度改革」を可決するよう求めました。トランプとは非常に異なるレトリックを使い、ブッシュは法的地位のない移民を「アメリカ人の生活の一部」と呼びました。

 「これらは本当に問題です。それでも、我々は大多数の移民はよく働き、家族を助け、信仰をもち、責任ある生活を送る礼儀正しい人々であることを憶えていなければなりません」と彼は言いました。

兵士の人数 最初の年は州兵が最高6,000人。2年めは3,000人へ減少。

 派遣した場所 作戦について出版された2008年の州軍評価によると、最初の年はアリゾナ州に約2,400人。その年、別の1,500人がテキサス州へ。1,200人がカルフォルニア州へ。900人がニューメキシコ州へ。州軍の隊員は全米から来ました。

派遣の理由 ブッシュは、国境警備要員を強化するために彼は時間を稼ごうとしていると言い、結果として、それは3分の1増加しました。彼は兵士は、偵察システム、情報分析、柵と車両障害物の設置、警備用道路の建設、訓練の提供によって国境警備を支援すると言いました。彼は州軍隊員は法執行の責任があるとみなさず、アメリカは南部国境を軍事化しようとしていないと言いました。

州軍の行動 2年間にわたる作戦の政府統計によれば、州軍隊員は彼ら自身で逮捕できないものの、州軍隊員は移民逮捕のほぼ12パーセント、国境でのマリファナ押収の9パーセントを助けました。

費用 政府説明責任局によると12億ドル。

問題 2009年の「Joint Force Quarterly」の記事の中で、ジャンプスタート作戦中の州陸軍指揮官、デビッド・M・チャーチ少佐(Maj. David M. Church)は、作戦は州軍と税関国境警備局に、僅かな準備時間、知識、調整で、突然の編成を与えたと言いました。2つの機関は事前の調整がなく、彼らの間の努力の一体化がなく、連絡と情報の共有に苦労しましたが、問題は時間と共に緩和しました。

ファランクス作戦
2010年7月〜2011年9月

大統領の発言 「我々は州軍兵士をそこへ送ることの結果としてだけで問題を解決しようとしていません」とオバマは言いました。「人々が合法的な形でこの国に移住できる、規則正しく、公明正大で、人道的な移民の枠組みを構築して、我々はこの問題を解決するつもりです。雇い主は現存する労働者を合法的に雇うことに責任があるとみなされます」。

兵士の人数 一部が初期派遣を越えて続いた作戦に残ったものの、初めは最高で州兵隊員1,200人。

派遣した場所 アリゾナ州に約560人。アリゾナ州の州軍の指揮官、ヒューゴ・サラザール少将(Maj. Gen. Hugo Salazar)によると、4つの南西部国境の州すべては自身の州兵隊員で作戦を支援しました。

派遣の理由 オバマは州兵は諜報を支援し、国境に沿って薬物と人間の追跡両方に対処し、より多くの法執行任務を扱うために国境警備を行えると言いました。

州軍の行動 派遣当初から2011年5月の政府説明責任局の数値評価によると、州軍は移民の逮捕すべての6パーセント、マリファナ押収の2.6パーセントを支援しました。

費用 政府説明責任局によると、初年度は1億1,000万ドル。

問題 特に州軍隊員が彼ら自身で逮捕できなかったために、批評家は派遣が出費の価値があるかを疑いました。国境の街、イダルゴの市長ジョン・デイビッド・フランツ(John David Franz)はワシントン・ポスト紙に、「市長として、私は我々がより多くの治安を望まないとは言うつもりはありません。しかし、納税者としては?。私は違う何かを言います」。


 どちらの作戦でも州軍は積極的に不法活動の検挙には乗り出さず、補助的な役割を演じただけです。

 しかし、両方共、評価が低かったということは、大きな成果は生まなかったということでしょう。不法移民の逮捕と薬物の押収はさほど増えなかったということです。派遣期間中に逮捕の数が増えたことを示す数字は記事にないものの、支援した数は書かれています。最大で12パーセントという数字が見えますが、他の項目はもっと低いので、有権者の支持は得られなかったのでしょう。

 これなら警察力を強化した方がよいのかもしれません。赤外線カメラを搭載したドローンを自動で飛行させ、不法行為らしい活動を検知したら司令部に知らせるようなシステムを米政府が開発すれば、各州が喜んで使うのではないでしょうか。

 伝統的に連邦軍が米国内で活動して、よい結果が出ることは稀です。州内の問題は州政府が解決し、連邦軍は外国との戦いを行うのが米軍の伝統です。

 

 

 


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