米軍パレードに会場変更の可能性

2018.2.9


 military.comによれば、ドナルド・トランプ大統領(President Donald Trump)が求めた軍に敬意を表する大規模なパレードは、ペンシルバニア大通りを下ることはないかもしれないと、国防総省は木曜日に言いました。

 国防総省のブリーフィングで、国防総省の主任報道官、ダナ・ホワイト(Dana White)は、ワシントン特別区への別のオプションが、昨年7月に彼がパリで参加した革命記念日のパレードでトランプ政権が影響を受けたとされるパレードを開催するために検討中だと言いました。

 一度国防総省が計画を思いつけば、「国防総省は決断を下すでしょう」と彼女は言いました。

 「我々にはまだプランがありません」と彼女は言いましたが、陸軍は計画を立案するのを主導します。

 「大統領は隊員に敬意を表する機会を模索しています」とホワイトは言いました。

 「大統領は単にオプションを探しています。大事なのは我々は隊員に敬意を表することです」。

 水曜日、ホワイトハウスでのブリーフィングで、ジム・マティス国防長官(Defense Secretary Jim Mattis)はパレードを支持しましたが、費用を議論することを拒否しました。

 「私は我々すべてがこの国、大統領が軍隊を愛し、尊敬していることを分かっていると思います。我々はいくらかのオプションをまとめています。我々はそれらを決断のためにホワイトハウスに送ります」とマティス長官は言いました。

 パレードの日程はまだ決まっていませんが、一つのオプションは11月11日です。それは復員軍人の日で、第一次世界大戦終結百周年記念日と同時です。

 パレードの計画は民主党から批判を呼び、「Military Times」が実施した非公式の世論調査はこのアイデアへの圧倒的な反対を示しめしました。

 木曜日の午後、51,000人以上の読者が回答し、89%が「いいえ。それは金のムダで兵士は多忙です」と言いました。

 他の11%は「はい。それは米軍の力を示す格好の機会です」と「Military Times」は言いました。

 水曜日に、民主党上院議員数人はマティスに、パレードにかかり得る費用に疑問を示し、イラク、シリア、アフガニスタンでの戦争の最中、北朝鮮からの脅威にも直面する中、軍隊に影響を与えかねないという書簡を送りました。

 「戦時において、米軍部隊の隊員が危険な状況で勤務している中、こうしたパレードは不適切で無駄です」と、民主党・ロードアイランド州選出、上院軍事委員会の有力メンバー、ジャック・リード上院議員(Sen. Jack Reed)と、民主党・イリノイ州選出のディック・ダービン上院議員(Sens. Dick Durbin)、民主党・ミシガン州選出のゲーリー・ピータース(Gary Peters)、民主党・バーモント州選出のパトリック・レーヒー(Patrick Leahy)が署名した書簡は言いました。

 共和党・サウスカロライナ州選出のリンジー・グレアム上院議員は、彼はパレードを支持するものの、ソビエト型の軍事力の展示をすることに対して警告すると言いました。

 「私は軍と隊員の犠牲に敬意を表すパレードをすることは差し支えないと思います」とグレアム上院議員はCNNに言いました。

 「私はソビエト型のハードウェアの展示を期待していません。それは我々が何者かを示さず、ちょっと趣味が悪く、私は率直に言って弱さを示すと考えます」。


 ペンシルバニア大通りはホワイトハウスと議事堂をつなぐ約1.6kmの道路です。下の図で、太い白線がその場所です。

図は右クリックで拡大できます。

 ここに大量の兵士、武器を並べるのは大変な手間です。周囲一帯を通行止めにしなければなりません。

 一番疑問なのは戦闘機を上空に飛ばす場合です。それはホワイトハウス上空を必然的に通過します。米軍といえども、ホワイトハウス上空を飛行することはできません。それについては、シークレットサービスに権限があり、オバマ大統領がハワイで休養する際、大統領がいる周辺での訓練飛行まで、シークレットサービスが禁止したという話があるほどです。

 しかし、今回は大統領が「パリの革命記念日パレードを越えるもの」を要求しています。大統領が許可するから、ホワイトハウス上空に曲技チームを飛ばすことになるのかもしれません。

 何より心配なのは、テロを誘発しないかということです。パレードに銃弾を撃ち込めば攻撃成功となります。1.6kmもの場所をどう警備するのか。また、隊員の中にテロ志願者がいた場合はなお深刻です。現に、米軍基地では何度もテロ事件が起きています。そういう事件をホワイトハウスの間近で実現できれば、テロリストにすれば、死んでもいいくらいのチャンスです。

 すでにパレードを行うことや武器を展示することに対して、反対の声があがっています。パレードをやならいとトランプが怒り出すでしょうし、やっても米国民から不満が寄せられます。この馬鹿げた提案がどうなるのか、しっかりと見守る必要があると思っています。

 

 


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