シリア撤退発言で米政府が矛盾

2018.12.20


 military.comによれば、ホワイトハウスと国防総省は水曜日、シリアにおける米軍の将来について矛盾したシグナルを送りました。

 ドナルド・トランプ大統領(President Donald Trump)は東部時間午前6時29分に「トランプ政権の間にそこにいるという私の唯一の理由、イスラム国の打倒を我々は成し遂げた」というツィートを投稿しました。

 ウォールストリートジャーナルはそれから、米当局者が国防総省はできるだけ早くにシリアから出るよう命令を受けたと述べた話を掲載しました。

 しかし、国防総省は午前9時29分に、シリアの約2千人の米兵の撤退は差し迫っていないかもしれないことを示す声明を出しました。

 「いま、我々はこの地域でパートナーによって、彼らと共に、彼らを通じて活動を続けます」とロブ・マニング陸軍大佐(Army Col. Rob Manning)は、戦争で荒廃した国でイスラム国と戦う国防総省がシリア民主軍(Syrian Democratic Forces)を支援する任務を通じて使っているのと同じ言葉を使って、声明で言いました。
 
 パトリック・シャナハン国防副長官(Deputy Secretary of Defense Patrick Shanahan)は国防総省の外で記者にシリアから米軍が撤退する可能性についてコメントを求められました。

 スターズ・アンドストライプス紙の共同記事によれば、「私はいかなるコメントもするつもりはありません」と彼は答えました。

 共同記事によれば、マイク・ペンス副大統領(Vice President Mike Pence)は国防総省に着いたときに同じ質問をされましたが、彼も答えませんでした。

 その後、東部時間12時03分、国防総省主席報道官のダナ・ホワイト(Dana White)はより強いメッセージを出しました。

 「同盟はイスラム国の領域から解放されましたが、イスラム国に対する作戦は終わっていません」とホワイトは書きました。

 「我々が作戦の次の段階に移行するときに、我々はシリアからの米軍を帰還させるプロセスをはじめました」

 「部隊の保護と作戦の保安上の理由により、更なる詳細は提供しません。我々はパートナーと同盟国と共に、イスラム国がどこで活動しようがイスラム国を打倒するために活動を続けるでしょう」

 米当局者は過去に矛盾したメッセージを伝えてきました。

 9月下旬に、ジム・マティス国防長官(Defense Secretary Jim Mattis)は、アメリカはイスラム国を打倒して、米軍が去っても再発できなくなるまでシリアに留まると言いました。

 しかし、ホワイトハウスの安全保障担当顧問のジョン・ボルトン(John Bolton)は9月25日にニューヨークで国連総会に現れた間に、記者にシリアでのアメリカのプレゼンスについて述べ、より強い口調を用いました。

 ボルトンは米軍はイラン軍とイランが支援するヒズボラの民兵が国内に留まり、バシャル・アル・アサド大統領(President Bashar al-Assad)を支援する間は立ち去らないと言いました。


 この件は日本国内ではシリア撤退が決定的のように報じられました。アメリカでは、この記事のように懐疑的な取り上げ方がされています。日本ではトップが言えばことは決まりですが、アメリカではそうでもないという訳です。

 シリアへの軍事介入は元々、アサド政権の人権弾圧に対して向けられたものでした。しかし、イスラム国が参戦したこと、ロシアがアメリカが主導する有志連合を放置したら国益を損ねることに気がつき、介入を決めたため、アメリカも退きにくくなりました。

 反政府勢力によるイスラム国の排除とアサド打倒は長引き、ロシアが地歩を固めるのに十分な時が過ぎました。

 ロシアはもともとシリアに武器を売っていました。アメリカが介入して、反政府勢力がアサド政権を打倒したら、その後、シリアはアメリカの武器を買うようになりかねません。それを阻止するためにロシアはシリアに介入しました。

 いま、アメリカがシリアから手を引けば、ロシアの思い通りになり、アサド政権の存続も許します。つまり、アメリカのシリア戦略は失敗に終わります。

 まともな戦略家なら、いまシリア撤退は考えません。

 ケチなトランプ大統領は米軍の海外駐留で金が使われることが理解できません。自分が見たいという理由で、ワシントンで軍事パレードをするよう命じながら、高額の費用が具体的に出ると法外だと言って中止させます。

 トランプは自分のカジノホテルのレストランでチップを払わないほどケチなのに、自分の妻が好きだからと牡蛎料理の店を、部下が儲からないと助言しても設けて、損を出すような金銭感覚のない経営者に過ぎません。

 おそらく、トランプは側近たちからシリア撤退で反対されたのです。いつものように腹立ち紛れにツィートしたに過ぎません。そのため、米軍や側近が火消しに回ったのが真相です。

 

 


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