トランプが投石する移民に発砲を認める

2018.11.3


 military.comによれば、米軍最高指揮官は木曜日、米・メキシコ国境に向かう兵士へ、記者会見の間に「もし移民たちが彼らに岩を投げたら、それを武器だとみなすべきだ」述べて、混乱したメッセージを送りました。

 国境の米軍隊員がメキシコの警察官がグアテマラ・メキシコの中でみたような暴力に直面したら、「我々はそれを我慢しようとはしない」とドナルド・トランプ大統領(President Donald Trump)は言いました。

 「彼らが我軍に岩を投げようとするなら、我軍は押し戻す」とトランプ大統領はホワイトハウスの記者会見で言いました。「我々はそれを考察すべきだ。そして私は彼らに言った。それをライフル銃だと考えろと。彼らがメキシコ軍と警察にしたような石を投げるなら、私はそれをライフル銃だと考えろと言うのだ」。

 彼のコメントは米国境沿いで活動するために送られた大勢の兵士が従うはずの交戦規則に関して深刻な疑問を生じ、それは国防総省当局が現在までに概説したものに合致しません。

 北部司令部指揮官のテレンス・オーショネシー空軍大将(Gen. Terrence O'Shaughnessy)は今週、「我々が行っているものすべては民警団法に合致し、順守します」と言いました。それは軍隊を国内の法執行活動に参加することを禁止させる1800年台に遡る議会法です。

 さらに、ワシントン・ポスト紙が入手した国防総省の覚書は、部隊と非致死性の武器と共に派遣されるであろう兵士は「差し迫った死の脅威や深刻な身体的な受傷に直面したり、より小さな手段が失敗したり、適切に使えない」場合に致死的な武力を用いることを認められると述べると、同紙は報じました。

 今週前半に、米国境へ向けて徒歩で歩く中央アメリカ人移民の第2のキャラバンは、グアテマラの外側でメキシコ警察と移民当局と武力で衝突しました。一人が殺され、数十人が負傷したとLAタイムズ紙は報じ、「多くの移民」が拘束されました。

 トランプ大統領は、米国内で同種の状況が起きたら国境の武装した現役軍隊員が誰かに発砲するかどうかを考えるかと尋ねられました。

 「私は望まない。望まない」と大統領は答え、「しかし、私は君たちに言うだろう。彼らが警察と兵士をひどく傷つけたメキシコとメキシコ軍とメキシコ警察に対してやったような石や岩を投げる者なら誰でも、岩が顔に命中するのと大きな違いはないのだから我々はそれを火器とみなすだろう」。

 ABCニュースの記者、ルイス・マルチネス(Luis Martinez)は、トランプ大統領のコメントは軍指導者が国境での兵士の任務について大衆に述べてきたものと矛盾すると言いました。

 「私が聞いたものは大きな食い違いがありました」と、彼は大統領の会見後のABCニュースで言いました。「もちろん、彼らには自己防衛の権利はありますし、これらの隊員の一部は武装されるでしょうが、彼らの主な任務は国境で法執行を行うことではありません。それは税関国境警備局の仕事です」。

 トランプ大統領は今週、国境へ行く準備をする兵士の数と彼らが運ぶテントについても軍指導者と食い違いました。それは軍指導者は国境警備職員のためのもので、トランプは移民を収容するために使われるだろうとほのめかしました。


 冒頭で「最高指揮官」の部分で記者は「The commander-in-chief」という言葉をあえて用い、トランプ大統領とは書きませんでした。これは明らかにトランプの無知を皮肉っているのですね。

 国防総省はあらかじめすべての命令を与えておく必要があるので、危機的な状況に陥った場合は武力を用いてもよいと指示しているはずです。しかし、民警団法により、積極的な武器使用は禁じられます。その点は各部隊で上官から部下に法律の説明があったはずです。

 それにしても、米国民なら常識として知ることを、大統領が理解していないというのは本当に不安です。

 


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