トルコはマンビジを攻撃するか?

2018.1.30


 military.comによれば、トルコはドナルド・トランプ大統領(President Donald Trump)の警告にも関わらず、米軍が前哨基地を持つシリア北部の町を週末に攻撃するという危険な徴候を再開しました。

 トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン大統領(President Recep Tayyip Erdogan)への水曜日の電話で、トランプ大統領はトルコにシリア北部における緩和とトルコ軍と米軍の間の紛争の危険があるいかなる行動も避けるよう要請しました。

 ホワイトハウスが提供した電話の読み出しによれば、マンビジ(Manbij)の東約60マイル(96.5km)にあるアフリン(Afrin)周辺のクルド人の飛び地に対するトルコ軍による現在の動きは、「シリアにおける我々が共有する目標(イスラム国の殲滅)を低下させる恐れもあると、トランプは言いました。

 しかし、エルドアン大統領は土曜日に、彼はマンビジから始まる我が国境に沿ったゲームをくじく計画を立てていると言い、トルコは「我々の地域をこのトラブルから完全に取り除く」と言いました。

 その前に、アンカラの主要な報道官も務めるベキル・ボズダー副首相(Deputy Prime Minister Bekir Bozdag)は「アメリカはトルコとの対立を避けるような方向で、地上のテロリストに支援を与える兵士と部隊を見直す必要があります」と言いました。

 月曜日、ボズダー副首相はアンカラの外交官会議で、「トルコが国境にテロの国を形成するのを見落とすことを予測するのは不合理です」と述べたとトルコの通信社「Anadol」は報じました。

 彼が引き合いに出したテロリストは、昨年、イスラム国の自称の首都のラッカ(Raqqa)を占領し、イスラム国のシリア東部の大半を掃討した、アメリカが支援するYPG(人民防護隊)のクルド人戦闘員です。

 1月20日、トルコは戦車、対砲、無人機、固定翼機、武装ヘリコプターに支援され、アフリン地域に対する地上攻撃でオリーブの枝作戦(Operation Olive Branch)を開始しました。

 トルコはキリス州(Kilis)がアフリン地域から来る迫撃砲と大砲の砲撃を定期的に受けていると告発しました。

 トルコはYPGをPYD(クルド民主統一党)の武装した陣営とみます。

 トルコはPYDを、トルコとアメリカによってテロリストグループに指定されるクルド労働党(PKK)の系列とみなします。

 トルコは繰り返して、国境に沿うクルド人の小国家を容認しないと述べており、この地域の状況はアフリンのクルド人が主導する政権が表向きの敵(ロシアが支援するアサド政権のシリア)ら助けを求め、さらに複雑になりました。

 「我々はアフリンに向けて主権上の義務を遂行し、トルコ人の占有者の攻撃からトルコとの国境を守るようシリアの国家に要請します」とアフリンのクルド人は自身のウェブサイト上の声明で言いました。

 木曜日の国防総省でのブリーフィングで、統合参謀本部議長のケニス・マッケンジー海兵中将(Marine Lt. Gen. Kenneth McKenzie)は「我々はアフリンの飛び地にいるいかなるクルド人も訓練したり、装備を提供していませんでした」と言いました。

 彼は、アメリカは主に、中央ユーフラテス川渓谷の残存するイスラム国の投降拒否者を掃討する上で南方と東方のシリア民主軍を支援することに集中していると言いました。

 「諸要素へ摩擦を誘発する影響を持ち、我々がシリアにいる理由に集中するのを難しくする、アフリンのトルコの作戦とアフリンの作戦すべては、ネガティブな事柄です」とマッケンジー中将は言いました。

 しかし、安全な国境地帯を維持する上で「我々はトルコが合法的な国家安全保障権があることも認めます」「そして、彼らは問題に非常に近いのです」と彼は言いました。

 「彼らは実際に彼らの領域で活動的な武装勢力(PKK)の活動を持つ唯一のNATOの同盟です。だから、我有wレはこれらの事柄すべてを理解します」とマッケンジー中将は言いました。

 「私は彼らがマンビジへ行く方を選ぶかどうかを推測できません」と彼はトルコ軍について言いました。

 「それは未来の話です。もちろん我々が見る仮定です」。

 「私は、どこに米兵がいようと、彼らは彼ら自身を守れる、我々はそれについてトルコと緊密に調整していると言います。彼らは我軍がどこにいるかを知っています。彼らは我軍がどこにいるか分かっています。彼らの居場所について謎はありません」とマッケンジー中将は言いました。

 国防総省によれば、アメリカは訓練、顧問、支援の役割で現在、約2,000人の兵士をシリアに持ち、米兵の小部隊は3月マンビジに前哨基地を持っていて、そこは時折攻撃を受けました。

 陸軍レンジャー部隊とストライカー車両は3月に、トルコ軍とシリア軍がトルコ国境に近い交差点の街へ別々に移動をはじめ、制圧する恐れを示したとき、「抑止パトロール」を行うためにマンビジに最初に移動しました。

 その後、トルコ軍とシリア軍は手を緩めました。

 8月、米兵は数回、狙撃兵の攻撃を受けましたが、犠牲者や装備への損害はありませんでした。

 生来の決意作戦の共同統合機動部隊の報道官、ライアン・ディロン陸軍大佐(Army Col. Ryan Dillon)はその時、「交戦がありました。彼らはパトロールに向けられた小火器の攻撃を受けました。複数回でした」と言いました。

 米兵は応戦しなかったと、彼は言いました。

 「我々は交戦しませんでした」「我々は自衛する権利を持ちます」。

 長い包囲の後、マンビジは2016年8月にアメリカが支援するクルド人のYPGによってイスラム国から解放されました。

 ロシアが支援するシリア軍が南から街へ接近して、トルコとその同盟の自由シリア軍の民兵が東から圧迫したとき、2017年3月にレンジャー部隊の投入がありました。

 トルコは以前にマンビジを占領すると脅しましたが、それから何も起こりませんでした。

 2017年2月、エルドアン大統領は、トルコ国境の安全を確保するために彼の軍隊による次の動きはマンビジに対してあると言いましたが、彼の部隊はのちに街の東にある地域から撤退しました。


 この記事のポイントは、トルコはマンビジを占領するかということです。

 これを考えるには地図を見るのが一番です。

 まず、トルコはアフリンを占領するとして、進撃をはじめました。これはまだ達成されていません。

 マンビジはユーフラテス川西岸の交通の要所なので、ここを占領すれば、少なくとも都市が多いユーフラテス川西岸部分の国境を守りやすいという戦略的な意味があります。

 しかし、それはシリア北部に対する領土的な侵略と変わらないようにみえます。トルコにその意志がなくても、シリアはまったく認めないでしょう。

 アフリンを占領すると、シリア北西部の端でトルコに接する部分の安全を確保できそうにみえます。

 アフリン占領も領土的野心と疑われかねませんから、トルコとしては国境から数キロを占領して、管理するほうが無難に思えます。

 そういう点ではマンビジ攻撃は考えにくそうに思えます。

 街を占領すると、そこを維持する必要があります。民兵が集結してトルコが敗退するようになれば、それはトルコにとって政治的汚点となります。それをトルコは望まないでしょう。

 

 

 


Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.