2018年は奇妙な年になるのか

2018.1.1


 2018年の新年をとても奇妙な感覚をもって迎えました。

 北朝鮮は核ミサイル開発を止める気はありません。完成まで突っ走るとみなければなりません。中国やロシアは、自分たちに核ミサイルは向けられないと踏み、事態の沈静化に対して熱心ではありません。

 底が抜けた鍋みたいな環境があるのに、日本政府は「圧力を」の一点張りです。圧力の影響はたしかに出ています。最近、日本海沿岸で見つかった北朝鮮の漁船と漁民または彼らの死体は、経済がかなり追い詰められて、無理な操業を強いられていることを示しています。

 しかし、だから北朝鮮が数年のうちに消滅するかは分かりません。

 北朝鮮はまだ核ミサイルを完成させていないと思われますが、いつかは成功するかもしれません。その前に、北朝鮮の体制が崩壊すれば、核ミサイルの恐怖はなくなるでしょう。中国が極端な介入をしなければの話ですが。

 ここまで来て、ようやく日本政府から核シェルター建造の話が出てきました。明らかに遅すぎます。北欧では冷戦期から核シェルターを建設していて、今も建造を続けています。それほど、国民の大半を避難させるためには準備が必要なのです。日本人は数年でそんな形が作れると考えているみたいです。

 どんなシェルターにするのかは、未だに明らかではありません。計画を立てても、それが有効でなければ意味はありません。北朝鮮から日本に核ミサイルは10分以内に届きます。避難に使える時間は数分間だけです。自宅に核シェルターを建設しても、攻撃時に外出していると何の意味もないということです。

 こういう深刻な状態であるのに、核シェルター建設の話はこれからのことであり、いまは警報が出たら、徒歩で戸外を歩いて、地上の避難所へ逃げろという、馬鹿馬鹿しいまでに危険な避難方法を政府は推奨しています。

 国民から批判が噴出しておかしくない状態なのに、そんな気配は微塵もありません。

 世界的に見ると、イスラム国は消滅したものの、組織はさらに小さくなって見えにくくなり、ローンウルフ型のテロリストが散発的な攻撃を繰り返す危険性が高まっています。

 米ロの関係も、シリアへの介入で冷え切っています。ロシアは国益第一の国ですが、トランプ政権のアメリカも似たようなものです。米ロは互いに核兵器を持っているので、深刻な対立は避けようとしますが、だから仲がよいわけではなく、対立が深まる可能性もあります。

 こういう中で、国土が狭い日本としては、より安定した防衛体制を構築して、防衛費を抑制していく必要があります。ところが、政府当局は戦争などないと考えていて、防衛政策はもっぱら利権によって決められています。オスプレイやイージス・アショアなどの、あまり有効とはいえない兵器に大金を投じる決定が続いています。

 オスプレイを本格的に導入することは、自衛隊のヘリコプター輸送能力を壊滅状態にしかねません。イージス・アショアよりもTHAADの方が防衛手段としては有効です。アメリカはずっと広い国土を守るためにTHAAD導入を決めましたが、ずっと国土が狭い日本は値段が高いと諦めました。しかも、イージス・アショアは北朝鮮からアメリカに向かう弾道ミサイルを迎撃するのに最適な場所に設置します。

 危機を叫びながら、内心は戦争などないと考えているので、本当の防衛体制を構築する気はないのが、日本政府の実態です。

 有効な防衛体制を作るために憲法改正をするなどという意見が吹聴されるのが、その証拠です。

 いや、危機はあるじゃないか。中国が尖閣諸島や沖縄を狙っているし、韓国は竹島を実効支配したままだと。

 こんな意見を信じる人は、すでに平和ボケした日本政府と同調しているのです。中国軍の能力で沖縄に侵攻することはできませんし、尖閣諸島には何の軍事的価値もありません。冷戦が終わって、敵が減った自衛隊に意味を持たせるために捏造された虚構の脅威論です。

 脅威があれば装備品を買う理由になるという、愚かしい理論が横行しています。脅威はでっち上げても十分です。

 自衛隊が米軍みたいに見えれば安心するという、ひ弱な精神が本当の防衛体制の構築を邪魔しています。

 本当に米軍から買うべきなのは、彼らが開発した戦闘医療用の装備かもしれません。この分野では日本は大きく立ち遅れています。訓練のメソッドも、米軍は数段優れたものを持っています。

 高額な兵器を買うことで、予算が枯渇し、本当に必要な装備が買えなくなることこそ、本当の危機です。

 そんな防衛のバランスを調整する人や部署が日本政府内にあるように見えないのが、私が持つ不安の最も大きなものです。

 

 


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