高速滑空弾はクラスター弾なのか?

2017.9.26


 週刊プレイボーイに世良光弘氏が書いた記事で、「高速滑空弾」なる兵器を取り上げていますが、その解説がよく分かりません。

 必要な部分だけを引用します。

それに対して、「高速滑空弾」は完全に“攻め”の研究だ。弾道ミサイルでもなく巡航ミサイルでもない、新たな長射程の対地攻撃兵器の特徴を、軍事アナリストの毒島刀也(ぶすじま・とうや)氏はこう語る。

「地上あるいは艦艇から多連装ロケットで打ち出され、上空で切り離された後は先端部の誘導弾が超高速でグライダーのように滑空。そして、そのなかから多数の弾子を地表へ向けてバラまくという『面』を制圧する兵器です。

防衛省の概算要求資料ではサイズなどスペックの詳細が判然としませんが、最低でも投射重量250kg、射程500kmはあると思われます。3次元軌道も含めた精度の高い誘導システムを構築することが望ましいので、おそらくアメリカのGPSに頼り切るのではなく、日本の準天頂衛星システム『みちびき』も航法システムに加えようと考えているのではないでしょうか」

使い方としては、例えば沖縄本島から打ち上げられ、離島を占領している敵軍を狙い撃ちする……といったところ。ただし、この滑空弾は、場合によっては北朝鮮のミサイル発射施設などに対する「敵基地攻撃能力」にもなると毒島氏は言う。

「サイズや射程がさらに発展すれば、ロケットで亜宇宙まで打ち上げられ、大気圏のへりを滑空する『ブーストグライダー兵器』というカテゴリーになります。これはICBMに代わる、核を使わない新兵器として各国で研究されています」


 「多数の弾子を地表へ向けてバラまく」という部分には大きな問題があります。これはクラスター弾と同じだからです。日本はオスロ条約(クラスター弾に関する条約)に署名していて、クラスター弾を保有することは国際法違反となります。世良氏はそのことを知らないようです。(オスロ条約はこちら

 「沖縄本島から打ち上げられ、離島を占領している敵軍を狙い撃ちする」という部分も問題です。国内でクラスター弾を使えば、爆発しなかった子弾が残り、それが思わぬ被害をもたらします。世良氏はそのこともまったく気がついていないようです。

 それに、「北朝鮮のミサイル発射施設」を攻撃するために使うのなら、クラスター弾ではまったく非力です。子弾で施設は破壊できません。

 「超高速でグライダーのように滑空」と書いてありますが、滑空で移動するということは、速度はあまり出ません。航空機程度の速度しか実現できないでしょう。撃ち落とされる可能性も高そうです。

 解説がまずくて、防衛省の狙いを誤解しているのかもしれませんが、記事を読む限りは、正体不明の兵器です。

 

 

 


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