ラッカで爆撃による民間人の犠牲が増加

2017.8.28


 alarabiya.netによれば、アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)は木曜日、シリアのラッカ(Raqqa)からイスラム国を追い出すためのアメリカが率いる同盟軍の作戦が民間人数百人を殺し、最終段階で戦闘が激化したために、残る者たちも大きな危険にさらされていると言いました。

 人権グループは、ラッカの南の民兵に対する別の作戦で、ロシアが支援するシリア政府軍が民間人に対する無差別攻撃を行ったとも言い、クラスター爆弾とたる爆弾を含んだと報告しました。

 「民間人は街に閉じ込められ、すべての側から攻撃を受けています」とアムネスティは報告で言いました。

 グループはアメリカが支援するシリア民主軍(the Syrian Democratic Forces)は、街の中心地区で戦うために、もっと注意を払わなければならないと言いました。

 「無差別や不釣り合いな攻撃を禁止する法令に従い、民間人の多い地域で、広い地域の効果と共に爆発する兵器の使用を終わらせることを含めて、すべての紛争当事者が民間人を傷つけるのを最小限にするすべての可能な予防措置をとることは義務です」。

 イスラム国は民間人をシリア北部で人間の盾として使い、逃げようとする者たちを狙撃兵や地雷で狙うと、アムネスティは言いました。

 「イスラム国は我々を去らせません。我々は食料と電気がありません」とラッカの元住人はアムネスティに言いました。

 何人がラッカの戦いで死んだかを立証するかは困難です。

 ロイターがインタビューした戦闘で家を失った人たちは、空爆と砲撃が民家人を殺したと言い、ロイターの記者は奪還した地域を訪問して、建物とインフラへの大規模で具体的な損傷を目撃しました。

 イギリスに拠点を置く、現場の連絡ネットワークを通じてシリア戦争を監視する「The Syrian Observatory for Human Rights」は、6月5日から昨日までの間に、ラッカでアメリカが率いる同盟軍とシリア民主軍の爆撃の結果として、789人の民間人の死亡(子供200人)を記録しました。

 監視グループ「Airwars」はロイターに、彼らは6月はじめに攻勢が始まってから、ラッカ市内で725~993人の民間人が殺されたらしいと信じると言いました。

 数百人以上の民間人がイスラム国に攻撃されたり、地雷原に捕まったあとで死んだと「Airwars」の代表、クリス・ウッズ(Chris Woods)は言いました。

 「同盟軍は6月6日~30日にラッカ市内と周辺で16件の犠牲者の疑いをあげていますが、3件を信頼できないと却下しました」、他の13件は評価待ちですとアムネスティは言いました。

 アムネスティは民間人を含む地域に対するアメリカが率いる砲撃・空爆作戦を批判し、無差別となる危険がある攻撃を終わらせるよう求めました。

 「次の砲弾がどこを攻撃するかがわからないので、逃げ場も分からず、生死は運次第です」とラッカの元住人のモハメッドはアムネスティに言いました。

 ロシア空軍とイランが支援する民兵に支援されたシリア政府軍も、ラッカ市の南端を形成するユーフラテス川の南でイスラム国に対して前進しています。

 アムネスティは空爆が住民が戦いを逃げていた人々がいるキャンプを攻撃したと言いました。

 アムネスティは彼らが集めた証拠がいくつかの攻撃でクラスター爆弾が使われたことを示すと言いました。

 ロシアとシリアは彼らが民兵のみを狙っているといいます。

 ロシアもシリアもアメリカもクラスター弾に関する条約に調印していませんが、国際人道法は民間人への無差別攻撃を禁止します。

 アムネスティは国際社会に民間人を逃がすために緊急支援を要請しました。

 ラッカに対する同盟軍の空爆は最近増加していました。

 同盟軍の指揮官、スティーヴ・タウンゼンド中将(Lieutenant General Steve Townsend)は、ラッカはいま、先月のモスル(Mosul)奪還に続いて同盟軍の最優先事項だと言いました。

 「戦いはいま、街の最も堅固な部分に入りました。そのため、我々のパートナーはより大きな支援を必要としています」とタウンゼンド中将はバグダッド(Baghdad)で記者に言いました。

 タウンゼンド中将は攻撃が増加した結果、民間人の犠牲にいくらかの増加があると仮定するのは論理的だが、犠牲が大きく増加した確かな証拠は見ていないと言いました。

 国連は少なくとも200,000人がここ数ヶ月でラッカから逃げ、最大20,000人が市内に閉じ込められたままだといいます。


 なかなか終わらないラッカ戦に関して、民間人の犠牲に関する情報が出てきました。

 イスラム国との戦いでは、民間人の犠牲に関する関心が低いように思えます。相手が容赦ないテロ集団で、それらが市街地を占領しているので、民間人が犠牲になってもやむを得ないという考え方が広がっています。

 最も誤爆に注意を払うのは米軍ですが、それでも過去の事例を見ると、実際ほど被害を出していないと考えていることもあって、米軍の主張はすべては信用できません。ロシア軍が民間人の犠牲に頓着しないのは、以前から知られています。

 こういう事例を考えると、都市部にテロリストがはびこる前に根を断つことが大事だとわかります。一匹狼による単発のテロ攻撃はやむを得ないとしても、都市部がテロリストに占領されるようになると、大勢が巻き込まれ、単発のテロ攻撃を遥かに越える被害が出ます。

 細胞レベルに分割されているとか、まったく単独で行動するテロリストは根絶しにくいといわれます。彼らが市民の中に溶け込み、事件を起こすまでは普通の市民と変わりません。

 残る手段はテロリズムに走る理由をなくすることです。「米政府がイスラム教徒すべてをキリスト教徒に改宗しようとしている」といった、途方もない噂がはびこるのを防ぎ、異民族間の間の偏見を取り除いていくことしか、テロリズムを根絶する手段はありません。つまり、軍事手段よりも、相互理解を深めることです。信じられないかもしれませんが、私はそれしかないと考えています。

 

 


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