沿岸警備隊指揮官がトランスジェンダー隊員を擁護

2017.8.2


 military.comによれば、米軍が先週のドナルド・トランプ大統領(President Donald Trump)のトランスジェンダーの隊員を禁止するツィッターを通じた発表に引き続くガイダンスを待つ中、沿岸警備隊の指揮官が口を開き、彼はトランスジェンダーの沿岸警備隊員をのけ者にするつもりはないと言いました。

 火曜日の朝、「the Center for Strategic and International Studies」でこの問題について初めて話し、ポール・ズクヌフト提督(Adm. Paul Zukunft)はトランプのツィートに気がついて、彼の最初の行動は、彼のオフィスはトランスジェンダーと身元を特定される沿岸警備隊員13人全員に援助の手を差し伸べることだったと言いました。

 「私は個人的にテイラー・ミラー大尉(Lt. Taylor Miller)に接触しました。彼は先週、ワシントン・ポスト紙の表紙に取り上げられました」とズクヌフト提督は言いました。

 「その記事を読んだかもしれませんが、テイラーの家族は彼女と縁を切りました。彼女の家族は合衆国沿岸警備隊です。私はテイラーに言いました『私は背を向けない。我々は君へ投資をして、君は沿岸警備隊に投資をしました。そして、私は信頼を損ねませせん』。

 27歳のミラーは報じられるところでは、国防総省が公にしたトランスジェンダーの隊員を禁じる永続的な禁止令を排除し、当時のアシュトン・カーター国防長官(Defense Secretary Ash Carter)が全軍にトランスジェンダーの新入隊員と軍隊内でのトランスジェンダーの医療を認める政策を作るよう命じた後、2016年にはじまったプロセスで、沿岸警備隊の最初の公にされたトランスジェンダーのメンバーです。

 沿岸警備隊は国防総省ではなく、国土安全保障省に入る唯一の軍隊です。しかし、トランプ大統領のツィートがどう軍隊に影響するかは、他のどの軍とも同じように不明です。

 7月26日の3つの一連のツィートで、トランプは「米政府は米軍のあらゆる地位において勤務することで、トランスジェンダーの個人を容認したり、受け入れないことを勧告しています。我が軍は決定的で圧倒的な勝利に集中しなければならず、軍隊内のトランスジェンダーがもたらす、とてつもない医療費と混乱を負えません」と彼はいいました。

 現在まで、さらなるガイダンスは提供されませんでした。

 サンフランシスコに拠点を置く非営利団体で、軍隊内の同性愛とトランスジェンダーの人々の研究を促進する「The Palm Center」は火曜日、トランプのトランスジェンダー禁止令に反対する退役将軍と提督56人が署名した書簡を公表しました。

 書面は他に四つ星の将官で元統合参謀本部議長2人、マーティン・デンプシー陸軍大将(Army Gen. Martin Dempsey)とマイク・マレン海軍大将(Navy Adm. Mike Mullen)が、公にトランスジェンダーの隊員を支持することも指摘します。

 「トランスジェンダーの兵士は、この一年間、立派に公に勤務しており、指揮官達によってひろく賞賛されています」と書簡は述べます。「イギリス、イスラエルを含めた18の外国はトランスジェンダーが軍隊で勤務することを認め、いかなる準備体制も損なったと報告されていません」。

 ワシントン市のキリスト教公共政策部「家族研究評議会」はオバマ時代の政策を取り消すというトランプの決定を称賛しました。

 「我が国が深刻な国家安全保障の脅威に直面するとき、我軍はトランスジェンダーという敏感な部類とこのような政治的には正しい注意分散に時間を費やすことに集中させられるべきではありません」と、グループの代表で、退役海兵隊員のトニー・パーキンス(Tony Perkins)は大統領の発表の後、先週、声明で言いました。

 トランスジェンダーの兵士と接触した後、ズクヌフト提督は当時の国土安全保障省長官で、一連の政権の大改造の一環として、月曜日にホワイトハウスの首席補佐官の宣誓をした、ジョン・ケリー(John Kelly)に接触しました。ケリーはジム・マティス国防長官に接触したとズクヌフト提督は言いました。

 「我々は法務総監の将校の専門家チームに待ちぼうけをくわせました」とズクヌフト提督は言いました。

 政権の委任に直面して、兵士を守るために沿岸警備隊の指導層がどう計画を立てるかというとき、次のステップは見られないままです。

 ケリーもマティスも、トランプのツィートをどう軍隊に適用するかに対する洞察を提供しませんでした。しかし、ズクヌフト提督の意見は、公に勤務しているかどうかに関係なく、制服を着たトランスジェンダーの沿岸警備隊員に明白なメッセージを送ります。

 「これは今現在、我々の人々への責任です」とズクヌフト提督は言いました。「とても少数のメンバーですが、彼ら全員は今日、意味のある沿岸警備隊の仕事をしています」。


 驚きですね。大統領の発言に対して、沿岸警備隊の最高指揮官が公に反対を表明しました。普通ならあり得ないことです。

 他の三軍の指揮官たちの意見も同じでしょう。いまさら、これまでの流れを反転することはできないのです。いくら大統領の命令でも、こういう軍の指揮系統の伝統を変えることはできません。

 流石に、大統領を直接批判する言葉は使っていません。言いたいのは、トランスジェンダーの隊員を守ることだけです。

 自衛官を含め、日本の官僚は米軍の将官を見習うべきですね。

 ズクヌフト提督みたいな、こんなに立派な発言を、日本国内で官僚から聞くことはほとんどありません。「忖度」することの方が圧倒的に多いのです。

 米軍は法務部長を使って、トランプにトランスジェンダーを軍隊から排除できないという話を延々とさせるかもしれません。小難しい法律の話はトランプは苦手です。話を聞くのが嫌になって、主張を取り下げるかもしれません。側近たちは、いま、そういう計画を練っているところだと、私は想像します。

 

 

 


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