北朝鮮が6年前の衛星写真で作戦検討か?

2017.8.18


 upi.comによれば、金正恩の最近の写真の中の衛星写真は6年前に撮影されたものかもしれないと、「Voice of America」は報じました。

 彼にキム・ラクギョム(Kim Rak Gyom)を含む北朝鮮軍当局者が状況説明をしているとみられる中、机に座るのがみられる写真は、右奥にアンダーソン空軍基地の巨大な写真を含みます。

 しかし、専門家はVOAに、米軍基地の写真は、前指導者の金正日(Kim Jong Il)が死んだ2011年頃に日付を遡ると言いました。

 報道によれば、背後の衛星写真をよく調べると、基地で建設が始まった2012年までのGoogle Earthの写真の特徴である、反転したL字型の緑地を示します。

 この場所は開発された後、軍用機の駐機場が緑のL字型の特徴に置き換わりました。

 写真のその他の特徴は、写真が古く、プロパガンダ目的のために写真の中に戦略的見地から配置されたかもしれないことを示します。

 衛星写真の北側に高い建物がみられますが、2015年に建物が撤去された後、長方形型の建設現場に置き換わりました。

 スタンフォード大学国際安保協力センター(Center for International Security and Cooperation)のニック・ハンセン (Nick Hansen)は、衛星写真は金政権が重圧に直面していると言いました。

 軍隊は最も新しい衛星写真の情報を持たなければなりませんが、写真は北朝鮮が最新の衛星写真を手に入れるのが困難なことを示しているかもしれません。

 ハンセンは北朝鮮が写真を撮る能力がある衛星を持たないので、海外のインターネットサイトから衛星写真を手に入れるしかないと付け加えました。


 この件は国内でも報道されていますが、念のために元記事を確認しました。

 これが北朝鮮が公表したニュース映像です。右端の将校の背後にある写真が問題のものです。

画像は右クリックで拡大できます。

 拡大した別の写真を示します。

画像は右クリックで拡大できます。

 下は2012年7月7日の写真です。

画像は右クリックで拡大できます。

 そして、これが今年4月5日の写真です。北側滑走路の北に駐機場が拡大されていることがわかります(赤丸の部分)。工事の期間を考えたら、少なくとも2011年頃のものだと考えられるという推測は正当です。

画像は右クリックで拡大できます。

 北朝鮮は偵察衛星を持ちません。かつて、テポドン2号は通信衛星を打ち上げたことになっていますが、軌道上にあることは確認されていません。

 思えば、テポドン2号は火星14号を開発するための技術研鑽でした。私はテポドン2号は軍事的脅威にはならないが、北朝鮮が技術を身につけて実用的なミサイルを開発するなら問題だと書いたことがあります。日本はテポドン2号で大騒ぎをして、そこから何の教訓も学ばす、公共の核シェルターは一つも造られていませんし、火星12号が日本を攻撃する能力を完成させようとしている今も、動くつもりはありません。

 しかし、インターネットを使えば最新の写真を手に入れるのは容易なはずです。Google Earthを使えば鮮明な写真がみられます。なぜ古い地図を使ったのかは理解ができません。軍高官すらインターネットを使えない。軍人がGoogle Earthを使えば、世界が北朝鮮よりもずっと立派であることが分かってしまい、反逆を生む原因となるからかもしれません。

 しかし、海外情勢に疎いことは間違いを誘発する原因にもなります。これは非常に危険なことです。

 もっとも、火星14号をグアムの沖合30〜40kmに着水させるのだから、アンダーソン空軍基地はまったく危険の圏外です。単なる脅しのために掲示したので、重要な意味はないともいえます。

 単に北朝鮮軍のレベルの低さと解釈して構わないことかもしれません。

 火星14号が発射されても、日本にもグアムにも危険はありません。韓国の鬱陵島(うるるんとう)の近くを通るのに、韓国政府は特に何もしていません。韓国のメディアもミサイルの落下については、ほとんど言及していません。

 ミサイルは墜落を始めると、ほとんどの場合で爆発します。粉々に砕け散って落下するのに、日本人の多くはミサイルがそのまま落ちてくるのを想像しています。メディアが正しい情報を提供しようとせず、存立危機事態を成立させたい政府の意向を忖度して、政府筋の情報ばかりながすので、かなりの人が間違った状況を想定しているのです。

 

 


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