訓練教官のいじめで大隊長が裁判へ

2017.7.15


 military.comによれば、昨年、パリスアイランド海兵隊訓練基地(Marine Corps Recruit Depot Parris Island)で大規模ないじめスキャンダルの中で解雇された米海兵隊訓練大隊指揮官は、新兵の虐待に関与させられた上級訓練教官を異動しなかったことで軍事裁判にかけられます。

 ヨシュア・キスーン中佐(Lt. Col. Joshua Kissoon)は、合法的な一般命令に従わず、虚偽の公式声明と将校にあるまじき行為で嫌疑を受けると、海兵隊訓練教育司令部は木曜日の夜に記者発表で言いました。

 彼の罪状認否の日取りはまた決まってません。

 キスーン中佐は、彼が指揮した第3新兵訓練大隊内での広範ないじめの申し立ての中で解雇された上級指揮官3人の1人でした。

 最悪の告発には、ジョセフ・フェリクス1等軍曹(Gunnery Sgt. Joseph Felix)が関与しました。彼はイスラム教徒の新兵を夜間に尋問スタイルのいじめの儀式で、工業用乾燥機に放り込んだとされます。

 フェリクス1等軍曹は後に、海兵隊の調査の中で、訓練教官が2016年3月に別のイスラム教徒の新兵、20歳のラヒール・シディクイ(Raheel Siddiqui)の自殺を誘発させたかもしれないことが示されました。

 嫌疑がかかる事件2件の間で起きたことがキスーン中佐の運命を決めるかもしれません。

 6月5日、バージニア州、クァンティコ海兵隊基地(Quantico)で行われた予審で、元パリスアイランド新兵訓練連隊の指揮官は、彼はフェリクスと他2人の訓練教官を、当局が2015年の乾燥機事件を調査する間、新兵から離れた任務へ異動するよう命じたと証言しました。

 「私は『これらの海兵隊員たちは調査が完了するまで、小隊指揮に関連する部署に戻らないだろう』という線に沿って発言しました」と、連隊指揮官ポール・クチノッタ大佐(Col. Paul Cucinotta)は予審の間に言いました。

 クチノッタ大佐もいじめスキャンダルにつづいて解任されました。

 彼は、彼の上級下士官の相談役、ニコラス・ディーブルー最上級曹長(Sgt. Maj. Nicholas Deabreu)と同じく、キスーン事件で証言するために刑事免責の付与を受けました。

 シディクイの悲劇的な死の後、伝えられるところではクチノッタが知らぬままに、フェリクスは管理的な任務へ一時的に再配置され、彼は最終的には訓練教官としての仕事に戻されたことが明らかになりました。

 キスーン中佐は、第3新兵訓練大隊での任期の間、部下に繰り返し、いじめは越えることができない「レッドライン」を意味すると述べた、優しく能力がある将校だという評判を持つと、証人は言いました。

 しかし、キスーン中佐の弁護士、コルビー・ボケイ(Colby Vokey)が反対尋問で確立したように、訓練教官はパリスアイランドでは慢性的に不足していて、サイドラインに経験豊かな人的資源を持つことはリーダーシップに対する課題を示しました。

 キスーンは第32条の予審の間、彼自身の行為について証言しない一方で、クチノッタはフェリクスを復帰させるという決定についてキスーンと対立したやり取りを思い出しました。」

 「私は彼に尋ねました。なぜ我々はそれを話し合わなかった、と」とクチノッタは証言しました。「(キスーンは)『それについて話し合えば、私は(フェリクスを)戻させるためにあなたを説得しようとしたでしょう』と言いました」。

 フェリクスは後でこの夏に、ノールカロライナ州のキャンプ・ルジューヌ(Camp Lejeune)において、いじめと虐待、飲酒、治安紊乱行為で高等軍事裁判にかけられます。


 この事件は憶えています。乾燥機事件には呆れ果て、当サイトで紹介しました。(過去の記事はこちら

 キスーン中佐以下の者たちが裁判にかけられるようです。連隊長のクチノッタ大佐とその副官、ディーブルー最上級曹長は責任を問われていません。

 キスーン中佐も、いじめに不注意だった訳ではなく、人的資源の不足から不適切な人物が置かれることを防げなかったのかもしれません。この経緯は、さらに詳しい情報がないと判断できないでしょう。

 フェリクスは調査の過程で、飲酒が発覚したようです。多分、基地内で酒瓶が見つかったのでしょう。そういう点では、事件の責任の多くは彼の人格にあったのかもしれません。

 米軍で感心するのは、事態が発覚した場合、公正に裁判を開いて処罰を決めているところです。第32条による起訴は軍人としては最も避けたいところです。これは一般の刑法でいう刑法による起訴と同じで、非常に厳しいものがあります。中佐といえども、重たい処罰が出る場合もあります。

 キスーン中佐を弁護するボケイ弁護士の手腕が注目されます。彼は軍事専門の弁護士らしく、過去にはアフガニスタン人の死体から取った頭蓋骨を入手し、別のアフガン人を殺害し、犯罪の証拠を含むハードディスクを消去した件で起訴された兵士の無罪を獲得しました。(過去の記事はこちら

 一番厳しく処罰されるのは、もちろん、フェリクスです。軍刑務所行きはほとんど確定です。兵士を自殺するほど虐待するのは、兵士を殺したも同然で、兵士殺しに対して、米軍は常に厳しい態度を示すからです。

 

 


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