ラッカ攻略にシリア政府軍はどう影響する?

2017.6.9


 ラッカ攻略戦が続くシリア戦に関する記事を2つ紹介します。

 alarabiya.netによれば、シリア政府の軍用機がユーフラテス川南岸でラッカ市(Raqqa)西方のイスラム国の陣地を攻撃しました。

 「空軍は(ラッカ市西部郊外、街から約70kmで)陣地と装甲車両を破壊しました」と国営通信社SANAは言いました。

 アメリカが支援する民兵は別に、シリアでのイスラム国の作戦基地を占領するための攻撃第一日目、ラッカ市の端から前進しています。

 クルド人とアラブ人戦闘員の同盟、シリア民主軍は今週、北部の町を奪うための攻撃を始めました。

 シリア軍はアレッポ州(Aleppo)東部でイスラム国に対して進展をみて、大半がシリア民主軍の支配下にあるラッカ州との州境へ持ってきました。

 ロシアが支援するシリア軍とその同盟する民名は、その後、今週隣り合うアレッポ州からラッカ州へ越境しました。

 木曜日の攻撃は、ラッカとアレッポをつなぎ、5月にシリア民主軍がイスラム国から占領したタブカ地域(Tabqa)に近づく州境に近い地域を狙いました。

 シリア政府は先月、イスラム国に対するクルド人が率いる戦争を「合法」だと言いました。

 ダマスカスはその軍隊の最優事項は、ヨルダンとイラクとの国境のイスラム国が支配するデリゾール地域(Deir al-Zor)とバディア地域(Badia)であるとも言い、進行中のラッカ作戦へ対抗する意図はないと示唆しました。

 military.comによれば、米軍機がシリアのアト・タンフ(At Tanf)で同盟国軍に向かって敵対的と考えられる所属不明の無人機を撃墜したと、生来の決意作戦の報道官は木曜日に言いました。

 アメリカのMQ-1「プレデター」に似た大きさの無人機は、政権派であると思われ、木曜日にF-15E「ストライク・イーグル」に撃墜されました。

 ライアン・ディロン陸軍大佐(Army Col. Ryan Dillon)は、無人機はイスラム国との戦いで同盟国隊員訓練のパートナー部隊の近くに爆弾を投下するのが観測された後、撃墜されたと言いました。

 作戦報道官としてジョン・ドリアン空軍大佐(Air Force Col. John Dorrian)と交替したディロン大佐は、MQ-1似の無人機は地面に落ちたと言いました。

 無人機は運搬していた数発の爆弾を放出し、その行動は明らかに警告弾ではありませんでした」とディロン大佐は言いました。「それは明らかに同盟軍に対する攻撃を意味しました」と彼は国防総省でのビデオ会見で記者に言いました。

 「彼らは誰が攻撃したかを明白にしようとしましたが、失敗しました」「無人機は敵対的な意図を示し、弾薬を持っていたので、我々は撃墜しました」と彼は言いました。「無人機のパイロットはその上で脅威と考えられました」。

 ディロン大佐は無人機がどこから飛び立ったかを言いませんでした。

 同盟国の顧問への危害はありませんでしたが、彼は彼らの国籍を特定はしませんでした。

 無人機の攻撃は、ヨルダン国境に近いアト・タンフ付近のいわゆる「衝突回避」地域の中でシリア政府軍を支援する軍隊が攻撃を行った初めての機会となったと、ディロン大佐は言いました。

 衝突回避市域は、米軍とロシア軍が活動しないことで合意した地域です。地域は過去に空域に適用されましたが、いまは地上の領域を含みます、と国防当局者は先月言いました。

 ディロン大佐は、米露の衝突回避連絡網は開いていて、使用中だと言いました。

 バシャル・アル・アサド(Bashar al-Assad)の政権を支援するロシアは、伝えられるところでは、先月、同様の攻撃の間に親アサド軍へ連絡しようとしました。

 ディロン大佐は、ロシア人に木曜日の事件に関して理解させるメッセージが伝えられたかどうかを言えませんでした。

 「衝突回避連絡網があります」と彼は言いました。「我々は、親政権軍がはじめて到着した5月中旬からそれを使いました」。

 無人機の撃墜は、その日のより前に起きた、アト・タンフの同盟軍が確立された衝突回避地域内の中で、同盟軍へ向けて前進して、同盟国とパートナーの部隊を脅かした親政権の装甲車両を破壊した交戦に引き続きました、ディロン大佐はビデオ会議に引き続いた電子メールのリリースで言いました。

 親政権軍に対する同盟軍による攻撃は、ここ数週間で3回目(2回目は今週)の攻撃となりました。

 ジム・マティス国防長官(Defense Secretary Jim Mattis)は、親シリア軍はイランに支援され、確立され、合意された衝突回避地域の中で我が物顔で活動しています。彼らはこの地域で同盟軍への脅威だと考えられます」と彼は言いました。

 しかし、中央軍は同盟軍はシリア政権軍やロシア軍、それらと提携する親政権軍と戦おうとしないと強調しました。

 「シリア南部で同盟軍と提携部隊の近くで親政権軍の示された敵対的な意図と行動は、我々に関係し続け、同盟軍は我が部隊を守るために適切な手段をとるでしょう」と声明は言いました。

 ディロン大佐は「我々は自分自身を守るために非常によく準備され、配置されています。イスラム国を打倒する目標から気を逸らされるため、我々は毎日これを続けたくありません」と付け加えました。


 イスラム国を打倒するシリア民主軍の活動を合法としながらも、シリア政府はラッカを自分たちで取りもどしたいはずです。

 徐々にシリア軍はラッカに接近しています。彼らにとって一番よいのは、シリア民主軍がイスラム国を打ち負かしたところで、自分たちが彼らを攻撃し、ラッカを手に入れることです。

 アト・タンフはラッカ市から280km離れているとはいえ、そういう意図を示しているように思われます。

図は右クリックで拡大できます。

 アト・タンフは岩砂漠の中にありますが、イラクの首都に通じる道路があります。そのためにここで戦闘が起きているのでしょう。

 

 

 


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