衝突後1時間通報がなかった理由は不明

2017.6.23


 military.comによれば、日本当局は木曜日、なぜ米駆逐艦と衝突して、米兵7人を殺したかを特定するのを助けるために、コンテナ船からデータ記録装置を入手したと言いました。

 日本運輸安全当局は、現在、東京に近い横浜でドックに入っているフィリピン船籍のACXクリスタル(ACX Crystal)から航空機のブラックボックスに似た航行データレコーダを入手したと言いました。

 調査官は、土曜日早朝に東京の西にある伊豆半島沖でUSSフィッツジェラルドと衝突した原因を特定するために、位置、方位、速度、その他のデータを含めて船の移動を調査しています。

 「データを解析することで、我々は船がどう衝突したのかという状況を特定できるでしょう」と運輸安全委員会の報道官、カツノリ・タカハシ(Katsunori Takahashi)は言いました。

 安全委員会は衝突の原因と学ぶべき教訓に集中する一方、日本の海上保安庁は事故における職務怠慢の可能性を調査しています。

 米海軍と沿岸警備隊当局は駆逐艦をその母港、横須賀海軍基地で調査しています。

 日本の海上保安庁当局者のタケシ・アイカワ(Takeshi Aikawa)は、最初のコンテナ船からの救難要請が午前2時25分に来て、それは相手方を米艦と特定したと言いました。海上保安庁はすぐに駆逐艦に損害について尋ねるために連絡しました。

 「彼らは救助活動で我々の助けを要請しました」と彼は言いました。2時間以内に、日本海上保安庁の艦が現場にありました。

 日本海上保安庁は、クリスタルの乗員に尋問し、船の位置を調べたあとで、推定衝突時刻を初期の午前2時30分から午前1時30分へ修正しました。

 二隻の船がなぜすぐに保安庁に連絡しなかったかは分からないと、日本当局はいいます。

 フィッツジェラルドが衝突の損傷のために一時的に通信ができなかったかもしれないとか、乗員が沈没から船を守るために死に物狂いで働いていたという推測があります。日本当局はすべての船は緊急事態に備えて予備の通信システムを装備しているといいます。

 米海軍は衝突時刻として午前2時30分を用いますが、米軍当局者は日本海上保安庁に異議を唱える意図はなく、調査が問題を解決するだろうといいます。衝突は日本領海で起こりましたが、米軍が相互地位協定の下で事故に関連する米艦を調査する第一の権利があるため、日本当局がアメリカの調査結果にアクセスできるかは不確かです。2009年の米海軍と日本船との衝突に引き続いて、日本当局は軍艦の調査へのアクセスが認められていないと日本運輸当局者は言いました。


 両船とも、なぜ通報が遅れたのかは本当に疑問です。

 乗員が少ないコンテナ船はともかく、乗員が多いイージス艦の対応が遅いのは、指揮系統の混乱が想像されます。

 艦長が居室で頭を打って人事不省となったことが、混乱に拍車をかけたのかもしれません。

 さらに、想像されるのは、艦内で職務怠慢があったことです。あと少しで母港に戻るというのに、艦長が艦橋にいないということは、彼がその指導力を発揮していなかったことを連想させます。「港に着いたら起こしてくれ」と言って、寝ていたのかもしれません。

 そんな艦内ですから、ひどい衝突が起きた途端にパニック状態になり、冷静な動きが出来なかったもかもしれません。艦橋で指揮をとるべき者が、ダメージコントロールと通報を割り振らなかった可能性があります。

 記事にある2009年の米艦と日本船の衝突事故は、どの事故のことかが分かりません。えひめ丸事故は2001年でした。米艦同士の衝突事故が2009年に起きているので、それと混同しているのかもしれません。

 

 


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