米軍が弾道ミサイル迎撃実験に成功

2017.6.1


 military.comによれば、米国防総省は火曜日、増大する北朝鮮の脅威に対して本土を守ることを意図した新しい弾頭直撃キル・ビークル(hit-to-kill vehicle)で、太平洋上で演習用大陸間弾道ミサイルを破壊することで、まだら模様の記録を向上しました。

 地上配備型ミッドコース防衛(GMD)の発射、カルフォルニア州バンデンバーグ空軍基地(Vandenberg Air Force Base)からクアジャリン環礁のレーガン試験場(the Reagan Test Site)から発射されたICBM級の目標に対して発射された迎撃ミサイルは「直撃」という結果になったと米国防総省ミサイル防衛局は声明で言いました。

 「複雑で、脅威を代表するICBM標的の迎撃は、GMDシステムにとって驚くべき成果で、この計画の重要なマイルストーンです」と、同局の局長、ジム・シリング海軍中将(Vice Adm. Jim Syring)は声明で言いました。

 「このシステムは本土防衛に極めて重要です。このテストは我々が本当の現実の脅威に対して有能で、信頼できる抑止を持つことを証明します」。

 17回の過去の試験中8回で失敗したシステムの提唱者は、火曜日の成功はこの計画への投資を立証したと言いました。

 「これは本土防衛にとってよき日で、金正恩にとっては厄日でした」と、ワシントンのシンクタンク「the Missile Defense Project at the Center for Strategic and International Studies」の上級研究員、トーマス・カラコ(Thomas Karako)は言いました。

 ミサイル防衛局が2億4400万ドルと推定するテストは5月30日に向けて長く計画されましたが、北朝鮮が中・短距離ミサイルの試験を進め、宇宙からの再突入を生き残れる最小化された核弾頭をつけた、アメリカ本土を攻撃する射程のICBM開発を誇る時に行われました。

 ミサイル防衛局によれば、アメリカにとって、迎撃はボーイング社が開発したGMDミサイルはICBM級の目標に対する最初の実弾試験を示しました。

 核兵器拡散に反対する、ワシントンの非営利団体、「憂慮する科学者同盟(the Union of Concerned Scientists)」によれば、試験は新しい「CE-II Block 1」キル・ビークルの最初の試験でもありました。それはキル・ビークルの誘導に関する過去の問題を修正するために新しく設計された「ディバート・スラスタ(divert thruster)」を使います。

 ディバート・スラスタは、キル・ビークルが目標に誘導される時にコース修正を行い、命中と撃ち損ないの間に違いを作れる小型モーターです。

 CSISのカラコは、それを過去のCE-IIビークルの最新の形態と説明しました。

 弾頭直撃ミサイルは運動力によって、飛来する長距離ミサイルにぶつけて、破壊するように設計されていて、しばしば弾頭で弾頭を撃つのに等しいとされます。

 過去の試験では、迎撃チームの指導者は、事前に標的の全般的な軌道を知っていました。

 ミサイル防衛局の報道官、クリス・ジョンソン(Chris Johnson)は、火曜日の試験の標的の軌道が迎撃チームに与えられたことを認めませんでしたが、バンデンバーグが全般的な打ち上げの時間帯を得ていたと言いました。

 ファクトシートでミサイル防衛局は、全般的に「今までの試験は我々に、短・中・長距離弾道ミサイルの防衛のための基本的設計、効果、運用能力において信頼を与えました」と言いました。

 統合化防衛システムが2001年に開始されて以来、ミサイル防衛局は「計画全体で、92回中75回の弾頭直撃迎撃試験が成功しました」と言いました。

 計画はGMD、イージス型弾頭ミサイル防衛(BMD)、終末段階高高度地域防衛システム(THAAD)、ペイトリオットPAC-3を含みました。

 5月30日以前の17回中9回のGMD試験は迎撃に成功したと、ミサイル防衛局は言いました。

 失敗した8回中3回は迎撃機とブースターが分離に失敗したためでした。

 もう一つの失敗は、飛行の最後の数秒でキル・ビークルの誘導の失敗に起因していました。

 別の失敗の理由は、キル・ビークルの赤外線センサーの冷却に失敗したこと、迎撃機が問題があるソフトウェア設定のために打ち上げに失敗したこと、迎撃機がサイロのサポートアームが後退せず、自動停止を誘発したこと、単純にキル・ビークルとシステムセンサーの性能問題があげられました。

 火曜日の試験の間、複数のセンサーが標的の取得と追跡データを指揮管制戦闘管理通信システム(C2BMC)へ提供しました。

 太平洋上に置かれた海上Xバンドレーダーも、標的を獲得して追跡し、GMDシステムは標的の追跡データを受け取り、標的を迎撃するために射撃管制の解を生成しました。

 military.comによれば、シリング海軍中将は水曜日、太平洋上での大陸間弾道ミサイルの迎撃成功は、デコイ(囮)に対して機能し、アメリカがいまや北朝鮮に対して本土を守れる準備があることを示したと言いました。

 シリング中将は、標的にデコイがなく、迎撃機チームが標的が発射される時と場所、恐らくは軌道すら知っていたために、これまでGMDの試験が現実性が欠如していたと告発した批判者に対して反論しました。

 しかし、シリング中将は火曜日の試験と過去の数回の試験にデコイが使われていたと言い、彼が言ったことに反して、GMDがデコイに立ち向かっていないという報告が公表されました

 彼はコロラド・スプリングス(Colorado Springs)のコンソールで活動する迎撃チームは、評定がどこから発射されるかは知っていたが、目標発射が行われることについて、数時間の発車時間帯を得ていただけだったとも言いました。

 シリング中将は、試験は北朝鮮が数年先までに脅威が進むと我々が考えるものよりもアメリカが先を行くことを示すと言いました。


 記事は実験に直接関係がある部分だけを紹介しました。2つ目の記事は最初の記事と同じ部分は削除しています。

 この記事で目を惹くのは、ディバート・スラスタとデコイが使われたことです。

 ディバート・スラスタの性能の詳細は分かりませんし、それは発表されないでしょう。恐らく、弾頭につけられていて、軌道を細かく修正する機能があるのだと思われます。こういう肝心な部分は機密として発表されず、一般人がミサイル防衛システムの本当の能力を知り得ないのが、民主主義国にとって最大の問題です。大金を投じる計画の能力が正確に分からないのですから。

 デコイが最近の実験に使われていたことも、今回初めて明かされました。弾頭と同じ形の風船をいくつ弾道から飛ばしたのかは分かりませんし、デコイの表面が本物の弾頭と同じようにレーダーに映るものなのかも分かりません。分かるのはデコイが使われたということだけです。

 打ち上げの時間帯を知っていたのは、迎撃チームをダラダラと待機させないためには意味があるでしょう。実験場は限られていますから、打ち上げ場所は事前に知っているのは仕方ないことです。

 未知の場所から未知の時刻に打ち上げられた場合、ミサイル部隊が対応できるかは何とも言えません。部隊運用の実態も分かりません。ミサイルは発射されたあとは、弾道ミサイルは実験で示す成績よりも実戦での成績が落ちるという、第2次大戦中のデータもあります。

 秘密が多くて、実態がつかみにくいミサイル防衛ですから、今回の実験だけで安心はできません。

 

 

 


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