アメリカがシリア軍を巡航ミサイルで攻撃

2017.4.7


 military.comによれば、最近のシリアで命を奪った民間人に対する化学兵器攻撃への対応で、米軍はシリアで攻撃目標に向けて巡航ミサイルを発射したと、国防総省当局はいいました。

 ミサイル約43基が地中海東部で活動するアーレイ・バーク級駆逐艦、USSポーター(USS Porter・DDG-78)とUSSロス(USS Ross・DDG-71)から、シンシャル(Shinshar・kmzファイルはこちら)とシャイラト(Shyayrat・kmzファイルはこちら)の化学兵器施設へ発射されたと、当局者は木曜日の夜に国防総省でいいました。

 攻撃はドナルド・トランプ大統領(President Donald Trump)が命じました。大統領は木曜日にフロリダ州パームスプリングの米大統領の私有地マー・ア・ラゴ(Mar-a-Lago)で中国の習近平国家主席と会いました。

 この決定はこの日早くに行われたジェームズ・マティス国防長官(Defense Secretary James Mattis)と国家安全保障顧問H・R・マクマスター陸軍中将(National Security Adviser Army Lt. Gen. H.R. McMaster)とのブリーフィングの後に来ました。


 シンシャルの東に大きな地下武器庫があることが分かります。

図は右クリックで拡大できます。

 シャイラトはシンシャルの南東23kmにある街で、近くに空軍基地(kmzファイルはこちら)があります。この基地はロシア軍が2015年12月に設備を拡大しましたが、シリア軍機のみが置かれていたようです(過去の記事はこちら)。

図は右クリックで拡大できます。

 シンシャルの武器庫から出された化学兵器がシャーアイラットで航空機に積み込まれて攻撃に使われたので、それに警告を発するために米軍が攻撃したという図式です。

 巡航ミサイルをどう振り分けたのかが分かりません。巡航ミサイル「トマホーク」の弾頭が通常単弾頭(454kg)、クラスター爆弾(166個)かも不明です。

 通常弾頭では地下の倉庫までは破壊できません。一番シリア軍にとって嫌なのは、クラスター爆弾です。166個の子弾が散布されて爆発しますが、不発弾が残り、倉庫からの武器の出し入れが困難になります。基地の中枢機能を司る施設を破壊して、さらに倉庫群にクラスター爆弾をばらまくことで、基地を機能不全にできるかも知れません。嫌われ者のクラスター爆弾ですが、この任務では役に立ったかも知れません。もちろん、これは推測です。

 空軍基地に対しては指揮・通信に関する部分、滑走路、燃料貯蔵庫を破壊して、基地を一時的に機能不全にしたのでしょう。

 これはロシアに対する警告にもなります。ロシア軍が手を入れたことがある基地を攻撃したのです。当然、ロシア軍は反発しますが、それ以上のことはいえません。圧力を加えて、国連の場でロシアにシリア政府への非難に賛成させたいという意図もあります。ロシアは無視するでしょうが。それでも、一定の圧力にはなります。

 

 


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