モスル西部で民間人脱出が急増

2017.3.4


 alarabiya.netによれば、金曜日、空港に近い軍事施設近くをイラク軍が北上すると、一晩中、モスル(Mosul)を数千人の民間人が逃げました。

 合同軍事作戦の報道官、ヤヒラ・ラソール准将(Brig. Gen. Yahya Rasool)によれば、イラク特殊部隊はモスル西部のワディ・ハジャル地区(Wadi Hajar)へ前進し、金曜日にイスラム国から地域を奪還しました。

 特殊部隊のハイダル・アル・オベイディ准将(Brig. Gen. Haider al-Obeidi)は、掃討作戦がこの地域で進行中で、彼の部隊はチグリス川西岸に沿って前進中の連邦警察部隊と結びつく寸前だといいました。

 攻勢が始まってから、28,000人以上が戦闘により追い出されたと、国連はいいました。

 50歳のナヒラ・アハメド(Nahla Ahmed)は木曜日の夜にモスルを逃げ、シュハダ地区(Shuhada)で彼女の家から5キロ以上歩きました。

 「家族すべては壁の向こうに隠れています」と彼女はいい、彼らがどうやってイスラム国が支配する地域を脱出したかを説明しました。「我々は子供たちが泣いて、(イスラム国戦闘員が)我々を捕まえないようにバリウムを与えました」。

 先週、モスルを逃げた民間人の大半と同じく、アハメドはマモーン地区(Mamun)を通って逃げました。この地区は部分的にイラク軍特殊部隊によって支配されます。

 マモーンに配置されたサイフ・アリ少佐(Maj. Saif Ali)は、民間人の群衆多数が真夜中直後から隣の地区から押し寄せはじめたといいました。

 アリ少佐はモスル西部で民間人は食糧と水が尽きて、ますます自暴自棄になっているといいました。「昨晩、この地域を通って合計7,000人が逃げました」と彼はいいました。「我々は群衆を制御しようとして徹夜しました」。

 国連報道官、ステファン・ドジャリック(Stephane Dujarric)は金曜日、「2月19日に始まったモスル西部での作戦以降、我々が持つモスルを去るのを記録した人々の最新の数字は28,400人ですが、数千人の人々が移動中だとの報告も追っています」といいました。

 彼は作戦開始以降、1日に約4,000人の人々が逃げているといいました。


 記事の前半を紹介しました。

 イスラム国も民間人を押さえる手段はありません。民間人の数は莫大で、イスラム国戦闘員は少数だからです。もはや、民間人に構っている場合ではありません。

 ワディ・ハジャル地区は下の地図で黄色く囲まれた地域です。空港の北西に位置し、チグリス川にかかる橋に通じる幹線道路が通っています。

画像は右クリックで拡大できます。

 特殊部隊の東には川沿いに連邦警察部隊がいて北上しています。前に指摘したとおりに、川沿いのイスラム国を追い払い、橋を早期に使えるようにするのが当面の目標です。橋につながる幹線道路へイスラム国が照準できないようにすれば、橋を修理して、車両で東岸にいる部隊を西岸地区へ移動できます。

 イラク軍は軍事常識に則った作戦を展開しています。こういう作戦には間違いがありません。あとは民間人ができるだけ多く助かるよう手を施し、祈るばかりです。

 

 

 


Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.