米海兵隊が上陸作戦の技術を一新へ

2017.3.29


 defensetech.orgによれば、米海兵隊は100件の上陸作戦用の新しいテクノロジーをテストしています。この記事は少し前にみつけていましたが、改めて読んでみました。

 艦船から海岸への機動、水陸両用攻撃を考えるとき、海兵隊のプランナーは硫黄島型の海岸上陸のイメージを払いのけたいと思っています。

 そのかわりに、彼らはドローンが頭上で援護を提供して飛び回り、自立型水陸両用車両と囮が敵を混乱させ、高められた認識と機動性が海兵隊員をかつては恐ろしい環境だった海岸へ来るのを許すという戦術的要素が沿岸地帯を通って前進する近未来を想像します。

 これらの未来的な能力すべてとさらに多くのものが、カルフォルニア州のキャンプ・ペンデルトン(Camp Pendleton)で来月、艦船海岸機動の新時代のために海兵隊を装備するはじめての努力である先進海軍テクノロジー演習で性能を試され、デモンストレーションで取り上げられるでしょう。

 将来の実験やより長期の実地試験の見込みを示すアイデアかを専門家と調達要員が決定できるように、全部で約50種のテクノロジーが展示され、別の50種が分析のために静的な展示で示されるでしょう。

 第2次世界大戦の主要な海岸強襲は過去のものかもしれませんが、軍当局は海兵隊は敵の海岸へ上陸する能力、おそらくはテクノロジー上の同業者が所有するものを維持する必要があると主張します。

 「失地回復主義のロシア、急増する中国を前に集中力は高まります」海兵隊戦技研究所の責任者で、未来型装備を共同で主導するダニエル・サリバン大佐(Col. Daniel Sullivan)は木曜日に記者に言いました。

 「現在、ほとんど同等の競合者がいて、彼らに技術的な加速があります。急がなければなりません」。

 海兵隊の内部的戦闘に関するシンクタンク「the Ellis Group」の指導者、ダグ・キング(Doug King)は、彼が構想した水陸両用攻撃は、「大勢(の水陸両用車両)が一列に並び、調査済みの1000メートルの海岸へ上陸するために6ノットで海岸へ向かいません」と言いました。「私は誰も私を見つけそうにない場所へ私が突き抜けられ、私が中に入れて、必要な時にそれらに対する機動力を集中できるマングローブの隙間へ行きたいのです」。

 実験では、テクノロジーは6つの異なる任務のスレッドに分けられます。

  • チーム・シールド(Team Shield)のテクノロジーは戦場と偵察を準備するために初期情報を支援します。
  • チーム・スピアー(Team Spear)は敵の脅威の識別と孤立化に対処します。
  • チーム・ダガー(Team Dagger)は脅威の除去、地雷探知と突破を包含します。
  • チーム・カトラス(Team Cutlass )は海岸での機動、伝統的な水陸両用攻撃任務に対処します。
  • チーム・ボードスォード(Team Broadsword)は上陸後の海兵隊員の戦闘と戦力投射を助けるテクノロジーを特徴づけます。
  • チーム・バトルアクス(Team Battleaxe)は指揮統制、諜報、監視、偵察、および攻撃を調整するための戦闘作戦センターテクノロジーを包含します。

 実験で取り上げられるテクノロジーの多くは、空から戦場の高解像度の3Dマップを生成できる無人、自立したクアッドコプターから、兵士の命を危険にさらさずに海岸まで来られる自立した水陸両用車両まであります。

 その他のシステムは、攻撃部隊が気づかれずに接近できるように、痕跡を隠し、ステルスと隠蔽を提供することを目標とします。

 キャンプ・ペンデルトンでの実験が現実になるよう、プランナーはメリーランド州、カルデロック(Carderock)の海軍水上戦闘センターでの1週間の会議の間に、海軍長官オフィスからイニシアティブを、約120人の科学者、エンジニア、工業の代表者からインスピレーションを得ました。

 計画は2016年8月にはじまり、年末までには124種以上のテクノロジー提案が受け取られたと、海軍研究開発試験評価(the Navy for Research, Development Test and Evaluation)の副長官で、実験を共同で主導するクリス・メーサー海軍大佐(Navy Capt. Chris Mercer)は言いました。

 カルデロックで、車両分野の専門家は可能性の領域で我々を教育していると、サリバン大佐は言いました。「我々はしばらくは科学技術開発をしていましたが、そんなものではありません。顔を突き合わせて、膝をつき合わせて、急いで進んでいます」。

 4月24~28日の実験の間、テクノロジーは将来のコンセプトと必要性を満たすために評価されます。

 最も成熟し、役に立つ道具と装備は、ノースカロライナ州、キャンプ・ルジューヌ(Camp Lejeune)での今秋の「ボールド・アリゲーター演習(the Bold Alligator war game)」の間に、さらなる試験と使用のために海兵隊によって選ばれ、おそらく延長された実地試験のために軌道上に置かれそうだと当局者は言いました。

 その点から、テクノロジーは早急な試作品製作と実地のために選ばれるかも知れません。

 「テクノロジーを操作する請負業者やエンジニアを得るかわりに、我々はそれらを操作する海兵隊員を持つつもりです」とサリバン大佐は言いました。


 日本がはじめての強襲上陸部隊を編成しようとする最中に、アメリカはさらに先に進んでしまいそうです。部隊が実戦配備された時に、自衛隊の技術は時代遅れになっている恐れが出てきました。

 どんなテクノロジーが採用され、どんな強襲上陸作戦になるのかは分からないものの、これまでの米軍のテクノロジーとこの記事から考えると、強力な偵察能力を用いて、上陸部隊が海岸に接近する前に、敵をあらかた駆逐するようなものになりそうです。

 第2次世界大戦では、航空機が写真を撮影して、それを元に爆撃計画を立て、精密爆撃ができないために何度も爆撃と戦果の評価を繰り返す必要がありました。それでも、オマハビーチでは重要な防御施設を破壊できずに、上陸部隊が大きな損害を出しました。いまや、ドローンが偵察と攻撃を繰り返すので、その必要はなくなるのかも知れません。ドローン用空母からドローンが大量に飛び立つことになるのかも知れません。自立型なので、決められたコースを回って偵察と攻撃を繰り返すため、妨害電波で防ぐことはできないでしょう。

 ドローンだけでなく、敵を海岸線から駆逐するために、様々な技術が投入されるのでしょう。こうして、従来よりも少なくなった敵と戦うので、上陸部隊の損害は減るという計算です。

 自立型の水陸両用車両にどんな利点があるかは分かりません。むしろ人間による操縦の方が状況に対応できるように思います。

 海兵隊の役割は上陸作戦を行うことですが、最近はそういう作戦の出番がなくなりました。すると、海兵隊の存在意味が疑われることになります。そのため、海兵隊は常に新しいテクノロジーを持ち込もうとします。オスプレイの導入に海兵隊が陸軍より積極的だったのは、そのためです。彼らの本分である上陸作戦をハイテク化する構想が出てくるのも無理はありません。しかし、これは陸軍が構想して頓挫した未来型戦闘システムと同じ道を辿る恐れもありそうです。SF映画に登場するような未来型戦闘システムはあまりにも複雑で、それを用いる状況が遠ざかりました。それはドローンが自動的に偵察を行い、観測データが指揮官の前のディスプレイに次々と表示されるようなシステムでした。偵察から命令までの間隔が他の軍隊よりも早いために、敵を翻弄できるはずでしたが、プログラムが複雑になりすぎるなどの問題が出てきました。

 海兵隊は陸軍の轍を踏まずに計画を成功させられるのか。今後、ニュースを気をつけて見ていきたいと思います。

 しかし、日本の政治家がこの話を聞いて、同じものを日本にもと言い出さないかは不安です。オスプレイの導入のように、性能や用途があるかなどの疑問があるのに、同じものを導入すれば戦力が高まるというような考え方は決して合理的ではありません。よく調べて必要なものだけを導入すべきです。国家予算は無限ではないのです。

 

 


Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.