バグダッディがイラクで敗北宣言

2017.3.1


 alarabiya.netによれば、先週、イラク軍がモスル(Mosul)の西半分をイスラム国から奪うために前進を開始してから、約8,000人が街と取り巻く村々から逃げたと、国連人道支援機関は火曜日に言いました。

 国連人道問題調整事務所(OCHA)は、モスルを逃げる者たちが増えるのに対処するため、難民キャンプを拡張していると言いました。

 モスル西部を逃げる人たちは消耗して、脱水状態であることが多い」とOCHAの声明は言い、来る数日間で250,000人と見積もられる人たちが逃げる可能性があると付け加えました。

 先週、戦線に近くで民間人少なくとも75人が治療を受け、同機関はモスル西部から高い外傷死傷率を指摘し、750,000人と見積もられる民間人がモスル西部に居残る状況は、補給線、特にモスルからシリアへの幹線道路が遮断されているために絶望的だと警告しました。

 目撃者の説明を引用し、同機関はまだモスル西部にいる民間人は食糧と水から、ガス、暖房油、医薬品が長らく不足していると言いました。砂糖と芋のような必需品の価格はあがりました。

 モスル空港の南西、アル・サラム村(al-Salam)からのAP通信の映像は、大勢の民間人が開けた、埃っぽい地域の集合地点へと、数少ない所持品をバッグに入れて運び、少しずつ集まるのを示しました。

 治安部隊は彼らがバスと軍用ピックアップトラックで連れて行かれる前に女性と子供から男性を分けました。

 一方、特殊部隊と警察幹部によれば、連邦警察部隊が月曜日、イスラム国から奪還したガウサク地区(Gawsaq)を掃討し続けるとき、イスラム国民兵との激戦の中、イラク特殊部隊はモスル西部のシュハダ地区(Shuhada)へ入りました。

 治安部隊が民間人を民間人を安全地帯へ避難させるために奮戦する中、迫撃砲弾が通りの一つに着弾し、民間人3人を殺し、もう1人を負傷させたと警察官は言いました。

 すべての当局者は記者と話す権限がないために匿名を希望しました。

 alarabiya.netによれば、イスラム国指導者、アブ・バクル・アル・バグダッデイ(Abu Bakr al-Baghdadi)はイラクでの敗北を認める声明を出し、支持者に隠れるか逃げるよう訴えたと、イラクのテレビネットワーク、アルスマリア(Alsumaria)は地元筋を引用しました。

 ニナーワー行政管区(Nineveh)の情報筋によれば、バグダッディの声明は「送別の辞」と名付けられ、火曜日にイスラム国の伝道者と聖職者の間に配布されました。

 バグダッディは彼らの戦闘員を管理するイスラム国事務所の閉鎖を命じ、非アラブ人戦闘員に帰国するか、自爆するかを命じ、彼らに天国で72人の女性が与えられると約束しました。

 イラクのイスラム国指導者の多くは、現在、隣国シリアのグループが支配する地域へ向けて逃げていると、情報筋は言いました。


 味方がモスルで死闘を続けているその時に、最高指導者がイラクでの敗北宣言を出すとは驚きです。普通のリーダーシップの考え方からすると、あり得ないことです。これが中東式なのでしょうか。

 この話がモスルのイスラム国戦闘員に知られたら、士気はがた落ちでしょうね。逃げるか、自爆かどちらかを選べなんてナンセンスで、選びようもない話と思います。

 イスラム国は正式名称は「イラク・レバント(シリア)のイスラム国」で、最高指導者が敗北を認めたのだから、名前を変更する必要に迫られることになります。そして、次いでシリアも失うことになりますから、さらに名称を変えなければなりません。これは組織にとって、大きな屈辱でしょう。

 

 


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