イラク軍がモスル西岸へ侵攻

2017.2.20


 military.comによれば、作戦開始からちょうど4カ月後、イラク軍はモスル(Mosul)の民兵が支配する西半分への前進を開始しました。

これまでの戦闘

 イラク軍がモスル作戦の開始を発表してから数日で、イラク特殊部隊は素早く少数の街東部の無人村を奪還し、彼らを11月にモスルの端に引き入れました。市内に入ると、作戦のテンポは軍と民間人に多くの犠牲を出した自動車爆弾の集中攻撃で劇的にかわりました。

 イラク軍は日々、モスル東部地区の中へ繰り返し前進し、夜間に厳しい反撃に直面するだけでした。しかし、イラク軍がチグリス川に迫ると、彼らはより速い進展をみました。

 イラク軍と同盟軍当局者は、これは新しい戦術とモスルで戦う異なる部隊の間のよりよい調整のためだと主張しますが、現場のイラク兵はイスラム国の防衛が薄くなりはじめ、彼らに素早い獲得を確保することを許しただけだといいます。

参加部隊

 モスル東部の戦いと同じく、イラク特殊部隊は西部の戦いを主導することになっています。アメリカが主導する同盟国は、空爆と主要な指揮官とイスラム国支配地域でまき散らされる不安を取り去ることを狙ったイスラム国支配地域への襲撃の両方で緊密にイラク軍を支援し続けるでしょう。

 現在、約6,000人の米軍兵士がイラクにいて、先月は国防総省がはじめて米軍がモスル市内で活動していることを確認しました。これは2年以上前に交戦が当初投じられた方法と著しい対照です。

 米主導の同盟国がイラクでイスラム国に対して戦闘をはじめた時、米国防総省当局は「戦地に米軍はいない」と主張しました。それ以降、米軍は徐々にイラクで増強され、前線の戦闘に近づきました。

 イラクの動員された連邦警察、アメリカが訓練した即応部隊とイラク陸軍も参加します。

 イラク政府が認めた、大半がシーア派民兵の国民動員部隊は、モスル郊外西端を占領し、彼らの支援が必要なら参加すると誓約しました。東部では、人権団体から民間人虐待の報告があったため、イラクの首相が大半がスンニ派の市街地域で、国民動員部隊の戦闘員の関与を制限しようとしました。

地形

 イラク軍と同盟軍当局は、モスル西部の戦いにおける最大の違いは地形だといいます。街の西半分はモスルの最も古い地域のいくつかがあり、イラク軍が装甲車を運転できない狭い通りがあります。
イラク軍で最も有能な戦闘員がいるイラク特殊部隊ですら、軍の犠牲を制限する努力において、家から家へ徒歩で移動せず、大半は車両の中からモスルの戦闘のほとんどを戦いました。

南部戦線

 イラク軍はモスル西部へ国際空港に近い南から前進することになっています。当初、東部の戦いが展開したため、イラク軍は街の南から前進することを計画しましたが、彼らがモスル東部で行き詰まるようになったので、南部戦線は保留にされました。

 イラクの軍隊化された連邦警察は11月にハマム・アル・アリリ村(Hamam al-Alil)を奪還し、それ以降、いくつかの部隊がモスル東部へそこでの戦いを助けるために送られたために、かろうじて動くだけでした。日曜日の朝、新しい前進が発表された直後、警察部隊はイスラム国が支配する空港の南西にあるアスバ村(Athba)に入り、陸軍第9装甲師団は南西のバクヒラ村(Bakhira)へ移動しました。

過激派の脅威

 モスル東部は1月に完全な解放を宣言しましたが、イラク特殊部隊が東部から引き揚げ、より訓練と経験が少ないイラク陸軍部隊がこの地域を引き継いだために、すでに経験豊富な過激派数人が攻撃を経験しました。

 イラク軍当局者は、イスラム国戦闘員の小グループがモスル東部に残り、戦線が西部へ動いたにも関わらず、解放を宣言した地域で攻撃を行い続ける高い可能性を警告しました。

人道的な懸念

 国連は約750,000人の民間人がモスル西部に未だに住んでおり、そこでの状況は「包囲同然」と説明しました。街の西半分を脱出した民間人は、最も裕福な者たちが店で手に入る物すべてを備蓄したために食糧は尽きているといいます。

 匿名を条件に話した西側外交官によれば、支援団体はここでの人道状況をとても懸念し、イスラム国支配地域への物資投下を検討しています。


 この記事にはこれまでの認識がいくつか変わることが書かれています。

 東部で進撃が速くなったのは、戦術変更のためといわれていました(関連記事はこちら)。しかし、現場の兵士はイスラム国の力が落ちたためと考えているとのことです。これはおそらく、イスラム国が東部での抵抗を諦め、撤退したためでしょう。

 米軍の特殊部隊が前線に出て、襲撃に参加していることもはじめて確認されました。これはイラク軍とのチームワークのためにやっているのか、米軍が参加を望んだのか、トランプ大統領が命じたのかのいずれでしょうが、トランプ大統領ならそういう指示を出したら自慢げに発表するでしょうね。

 道路が狭い旧市街地は下のオレンジの部分だけです。他の地域の道路の幅は東部と大差ありません。南から進撃する場合は、余計に大きな障害にはなり難いと思います。南から地域を包囲するように前進すればよいからです。包囲して、周辺から内部へと攻めていけば、より作戦は楽に進むでしょう。

図は右クリックで拡大できます。

 東部に少数のイスラム国戦闘員が残ることは想定の範囲内です。

 あとは、早く前進して、民間人を救出することです。それ以外に人道被害を防ぐ方法はありません。

 

 

 


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