ティルトローター機V-280が初飛行を成功

2017.12.19


 military.comによれば、ベル・ヘリコプター社の次世代ティルトローター機、V-280「ヴェイラー(Valor)」が初飛行を行ったと、同社は月曜日にリリースで発表しました。

 同社によれば、旧式のV-22「オスプレイ(Osprey)」に似た、テキストロン社(Textron Inc.)のベル社部門とボーイング社が製作した黒い試作品は、現地時間午後2時、テキサス州の同社のアマリロ(Amarillo)の施設で、ほとんど初めての飛行を完了しました。

 「ベル・ヘリコプター社にとっては興奮のときで、ベル社のV-280の初飛行と共に我々がなした進展をこの上なく誇りに思います」と、ベル・ヘリコプター社の車長で最高経営責任者、ミッチ・スナイダー(Mitch Snyder)は声明で言いました。

 「初飛行は国防省の指導層の近代化のプライオリティと改革のイニシアティブを支援することへの我々の関与を示します」と彼は付け加えました。

 「ヴェイラーは米陸軍用の垂直上昇機に革命を起こし、我々の軍隊が引受を求められる困難な任務すべてのために変形型の航空機を示すことになっています」。

 ベル社のV-280「ヴェイラー」はUH-60「ブラックホーク」よりも少し大きく、乗員4人を持ち、乗客14人を運びます。

 比較すると、ブラックホークは乗員4人と完全装備の兵士11人か軽装備の20人を運べます。

 ヴェイラーは、陸軍の統合多目的技術デモンストレーター・プログラム用の、ロッキード・マーティン社のシコルスキー部門とボーイング社が設計した速度追加のための「プッシャー・プロップ(pusher-prop)」を持つ、より通常型のヘリコプター、SB-1「デフィアント(Defiant)」と競合しています。

 デモンストレーターの努力は、おそらく2030年代までにUH-60「ブラックホーク」を置換するために、通常型ヘリコプターの2倍の速度と距離を持つ中型の次世代のローター航空機のために陸軍の必要条件を満たすため、未来型垂直上昇機獲得プログラムのために必要条件を磨くことになっています。

 ベル社はV-280をすべての軍に売りたいのですが、それだけでブラックホークを数千機持つ陸軍は最大の潜在的な市場を提供します。

 取引をものにするために、会社は陸軍のティルトローター機への伝統的な反対を克服しなければなりません。ティルトローター機はヘリコプターのように離着陸しますが、通常型のプロペラ駆動の航空機のように飛びます。

 一方、SB-1「デフィアント」は来年の前半に初飛行をすることになっています。

 ロッキード社のシコルスキー部門は今年早くに、より小さな同軸型のS-97「レイダー(Raider)」を示す映像を公表して、飛行試験を実行中です。

 レイダーは最初、OH-58「カイオワ・ウォリアー(Kiowa Warrior)」と置換するために、陸軍航空偵察と呼ばれる陸軍の160億ドルの武器獲得プログラムのために設計されました。

 陸軍は獲得努力を予算の制限のために保留にする一方で、ブラックホークとその他の航空機のメーカーであるシコルスキーはアメリカと海外に同軸型を売る計画で、サプライヤーと共に会社は技術開発に何千万ドルも費やしました。


 次世代ティルトローター機や同類の機種の開発については、過去にも紹介しました。10月にはV-280は地上でローターを回す実験を行いました(過去の記事はこちら)。今回は初めて空中に浮かんだわけです。着々と開発が進んでいることがわかります。

 過去の記事にはSB-1の映像もありますので、御覧ください。

 私にはV-280もSB-1も、有力な候補機に思えます。政府の説明では、外国による離島侵攻に備えるためにティルトローター機が必要だとのことですが、北朝鮮の弾道ミサイルの危険性に比べると、遥かに非現実的です。獲得の優先順位は低いのですが、V-280やSB-1の開発を見守ることなく、V-22を17機も購入する決断を決めてしまいました。

 当サイトで何度も指摘してきたように、V-22は操縦の難しい、扱いにくい機体です。こんなものを17機も購入する気がしれません。現行のCH-47の完全な置換機体にはなりません。この導入で、自衛隊のヘリコプター部隊はガタガタになるでしょう。

 なお、S-97はSB-1に似た構造の航空機です。

 このように、次世代ティルトローター機の世界は変化しつつあります。それを知らない政治家たちが、勝手に自衛隊の装備に口を出して、戦力を減退させています。

 地上型イージスの導入も、すでに指摘したように、ハワイとグアムの防衛に最適な位置に配置します。日本の防衛は二の次で、アメリカに気に入られるためにやっているのです。

 恥知らずの売国奴どもが、自衛隊をハリボテにしてしまうのです。

 

 


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