駆逐艦衝突事故で訴追はあるか?

2017.11.3


 military.comによれば、この夏、17人の隊員の命を奪った互いに数ヶ月間の間の二隻の艦の衝突の結果、三星の大将が解任されて、四つ星は指揮を譲り、何人かのその他の将校が地位を追われました。

 しかし、より深刻な人員の動きがまだ来ておらず、管理上の動きだけでなく、法的起訴を含むかもしれません。

 木曜日、米海軍は60日間の包括的評価の結果を公表し、2つの衝突を、不十分な訓練と経験から乗員の疲労と準備を損ねた厳しい作戦のテンポまで、たくさんの要素が原因だとしました。

 しかし、海軍作戦部長ジョン・リチャードソン大将(Adm. John Richardson)は、怠慢が災難における要素でもあると言いました。

 「我々は艦長が、副艦長が誤っていて、艦には若干の見張りしかいなかったと知りました。さらに、我々は誤りがあった場所を特定することにとてもはっきりとしており、第7艦隊指揮官に至るまで適切な責任ある行動をとります」とリチャードソン大将は言いました。

 リチャードソン大将は、海軍原子力推進力プログラムの四つ星の指揮官、フランク・コールドウェル大将(Adm. Frank Caldwell)を、衝突と隊員の行動に関する統合処分管理者に指名しました。

 コールドウェルはこれらすべてに広範囲の観察をして、すべてのさらなる行動に関する勧告をします、と彼は言いました。

 「USNI News」が最初にコールドウェルの指名を報じました。

 第7艦隊指揮官ジョセフ・アーコイン中将(Vice Adm. Joseph Aucoin)は、8月21日に駆逐艦ジョン・S・マケイン(John S. McCain)とリベリア船籍のタンカーの衝突に続いて即時解任された最初の人でした。

 アーコイン中将の後任、フィル・ソーヤー中将(Vice Adm. Phil Sawyer)はそれから、第70機動部隊指揮官、チャールズ・ウィリアムズ少将(Rear Adm. Charles Williams)と第15駆逐艦隊指揮官のジェフリー・ベネット大佐(Capt. Jeffrey Bennett)を解任しました。

 マケインの艦長、アルフレード・サンチェス中佐(Cmdr. Alfredo Sanchez)と、副艦長のジェシー・サンチェス中佐(Cmdr. Jessie Sanchez)は10月11日に解雇されました。

 6月にフィリピン船籍のコンテナ船と衝突した駆逐艦フィッツジェラルド(Fitzgerald)は全体の指揮を執る三人組、艦長ブライス・ベンソン中佐(Cmdr. Bryce Benson)、副艦長ショーン・バビット中佐(Cmdr. Sean Babbitt)、最先任下士卒がおり、8月に解任されました。

 9月25日、四ツ星の太平洋艦隊指揮官、スコット・スウィフト大将(Adm. Scott Swift)は、衝突の後遺症で、米太平洋軍の指揮官に任命されなかったあとで、退役すると発表しました。

 水曜日に公表された両方の衝突の調査は、危険に近づく判断の誤りと不注意を証明する絵図を描きます。

 マケイン艦上で、ステアリング・コントロールをもう一つの側へ移すという艦長サンチェスの決定が大きな混乱を起こし、混雑する海上交通路の中で艦がコントロールできない旋回をはじめたとき、操舵手が艦がステアリングを失ったと報告することに終わりました。

 フィッツジェラルドの場合、商船ACXクリスタル(the ACX Crystal)が危険なまでに近づいたとき、見張りが間違った方向を見ていて、当直将校はひどく船の軌道の計算を間違え、船が1,500ヤード離れて通過すると結論しました。

 災難が差し迫ったとき、当直将校も凍りつき、衝突コースの上で艦が全速を続けるよう命令し、それから取り消しました。

 統一軍事裁判法典の下で、これらの失敗は起訴となることはあるでしょうか?

 可能性があると、刑事裁判弁護士として20年の経験がある元海軍法務部将校、ブライアン・ボウファード(Brian Bouffard)は言いました。

 「船を危険にさらしたこと(を起訴は含みます)」と彼は言いました。

 「それらが誰かが適用され得た既存の命令に違反していたことを示せば、多くの命令違反になりえます。彼らが行った尋問に従って、それらは虚偽の公式声明を証明できることがあります。それらはすぐに思いつくものです」。

 統合処分管理者として、コールドウェルは誤りをした隊員を高等軍事裁判に至るまで勧告を出す権利があると、ボウファードは言いました。

 船を危険にさらす容疑は軍規上、極刑に値すると考えられます。

 しかし、有罪となるためには、米軍艦を危険にさらす行為が意図的だったと証明されなければなりません。

 他方、より軽微な起訴、たとえば服務規程違反のようなものが、より証明するのが簡単かもしれません。

 稀ではあるものの、悲劇的な事故に引き続く海軍将校の起訴は過去に行われてきました。


 記事の末尾には実際にあった海軍将校の起訴について、2件の実例が載っていますが、省略しました。

 日本ではテロだとか、やむを得なじ事情で衝突したとか、訳の分からない説明をする人がいますが、これらの事故は軍事裁判になりかねないほどの大きな問題です。

 フィッツジェラルドの事故に関して紹介した記事では、ある米海軍艦では4,000ヤード(約3.7km)以内に別の船が接近したら、艦長を起こしに行ったという証言が載っています。(該当記事はこちら

 この証言からすると、1,500ヤード(約1.4km)も別の船を接近させた判断は誤りだと分かります。

 ジョン・S・マケインでは、操舵方法のミスで船がコントロールできなくなりました。

 この程度のレベルまで、現在の米海軍は質が落ちているのです。これは当然、米軍内で何らかの処罰が行われると考えなければならないことですし、日本人の我々には、日本近海で米軍艦が活動していることに、もっと注意を払わなければならないことになります。

 こんな重要な情報も、日本のメディアは報じないのですから、困ったことです。

 

 


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