米海軍が「遼寧」対策に早期警戒機を更新

2017.1.4


 defensetech.orgによれば、米海軍は木曜日、日本に来月、E-2「ホークアイ(Hawkeye)」の最新バージョンを派遣すると発表しました。

 ノースロップ・グラマン社製のE2-Dは、最新のデータシステムと司令センターとその他の資産へ戦術状況を収集・分配するサブシステムを用い、友軍の「デジタルのクォーターバック」として務めると在日米海軍はいいました。

 E-2Cを越えるE-2Dの進歩は、機械的・電気的両方の走査能力がある新しいA/N-APY9レーダー、全液晶式の戦術コックピット、更新されたミッションコンピュータとデータリンクを含むと海軍はいいました。

 E-2Dを受け取る最初の海軍部隊、第125早期警戒飛行隊(VAW-125)は、2月にノーフォーク海軍基地から日本の岩国海兵隊航空基地へ派遣されることになっています。

 第125早期警戒飛行隊は、旧式のE-2Cを飛ばせる第115早期警戒飛行隊に置き換わります。

 第115早期警戒飛行隊はカルフォルニア州のポイント・マグー(Point Mugu)のベンチューラ郡海軍基地へ行き、この夏にE-2Dへの移行の準備をすると海軍はいいました。

 在日米軍は対潜哨戒機ボーイングP-8A「ポセイドン(Poseidon)」を含めた最新装備を受け取る最初の部隊の一つでもあります。


 記事は一部を紹介しました。

 E2-DのA/N-APY9レーダーは「遼寧」に搭載されている戦闘機「J-15」を探知するだけでなく、中国が開発中のステルス機「殲-20」も探知できるとされます。探知範囲もより広くなり、日本から中国沿岸までを監視できます。自衛隊も導入を決めています。

 それをいち早く日本に派遣したということは、やはり「遼寧」への圧力を増すためといえます。「遼寧」から発進した航空機がすべて探知できるわけで、中国がいくら技術開発をやっても、日米はその先を進んでいることを示せます。

 先日書いた通りですが、「遼寧」はようやく非武装の戦闘機の発着訓練を行えるようになりました。今後、どれだけの兵装で戦闘機を飛行させるかについては、十分に監視していく必要があります。戦闘行動半径が1,000km以上とされるJ-15ですが、問題は距離よりも戦闘に使える時間です。J-15が外部タンクをつけて発艦できるかは、燃料を温存し、攻撃目標に対して長い時間の戦闘ができるかに影響します。

 それには中国がカタパルトを完成できるかも関係します。カタパルトで勢いよく戦闘機を発艦できるのなら、外部タンクを取り付けることが可能になります。

 いずれにしても、J-15がそうした性能を存分に発揮できる状態になっても、常に監視できれば、そう恐くはありません。こちらは先回りして戦闘機部隊を攻撃できるからです。

 「遼寧」の防御用兵器は大したことはなく、空母自体を破壊することもそう難しくなさそうです。

 E-2Dの展開は、こんな環境に備えるためのものです。

 

 


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