NGO報告書も南スーダン高官を汚職で非難

2016.9.13


 sudantribune.comによれば、南スーダン大統領の副官は月曜日、サルバ・キール大統領が腐敗を許したと非難する調査報告書は「ゴミとナンセンス」だと非難しました。

 「これは完全にナンセンスです。二度と私に尋ねないでください。これはゴミです」と、地方分権化と政府間の連携担当大統領顧問のトア・デン・マーウィン(Tor Deng Mawien)は月曜日、怒りながら言いました。

 マーウィンは、南スーダン高官と彼らの国際的な支援者のネットワークへの画期的な2年越しの調査の調査結果を公表した「The Sentry」による調査報告書に反応していました。

 ジョン・プレンダギャスト(John Prendergast)とジョージ・クルーニー(George Clooney)によって共同創設された取り組みは、軍将校、政府当局者、ビジネスマン、武器商人、銀行家、その他この国での財政的、政治的な紛争で利益を得るとされる成功者達のネットワークの破綻させ、解体することを追求します。

 65ページの報告書によれば、「The Sentry」は法律記録を調査し、証拠を集め、大勢の専門家と目撃者から聞き取るために複数の場所へ赴いた経験豊富な調査員を用いました。

 調査員はキール大統領とレイク・マシャル(Riek Machar)の住居のような不動産を調べるために、Google Earth Proの公開映像も手に入れました。

 テキストは南スーダンの高官がささやかな政府の給与にも関わらず、財産を蓄えることができたと証明しました。

 一部の高官と彼らの家族は多岐にわたる会社に出資していますが、他の者たちは国内で営業している会社から高額の支払いを受けます。

 「The Sentry」は南スーダン高官が戦争から財政的、政治的に利益をうけていたことを見出しました。

 報告書は特に、キール大統領、レイク・マシャル、参謀長ポール・マロン・アワン大将(Gen. Paul Malong Awan)、元参謀長ジェームズ・ホス・マイ大将(Gen. James Hoth Mai)にハイライトをあてました。

 また、汚職の悪癖から利益を得たと確認された将校の中で、ガブリエル・ジョク・リアク大将(General Gabriel Jok Riak)とルベン・マレク・リアク大将(General Reuben Malek Riak)に言及しました。

 しかし、報告書は高価な所有物を持つ一部の元政府当局者には言及しませんでした。

 「戦争犯罪は利益を得てはならない(War crimes should not pay)」という報告書は、政府の支持者たちから、何ら重要ではないが、サルバ・キール大統領に権力を放棄させるために圧力をかける政治的ルーツだと、直ちに非難されました。

 彼らは調査員たちを、意図的に元政党・政府当局者を離脱すると決めた後、アメリカとオーストラリア、近隣諸国の富と不動産を蓄えたと疑われた反対勢力に転じた政権交代の工作員だとも非難しました。


  アメリカでは、儲けたお金の一部を使って俳優が積極的に政治活動をしています。日本では俳優やスポーツマンが政治家になると、大抵は自民党に属しますが、そういう動きとは異なっています。

 アンジェリーナ・ジョリーの活動は有名で、彼女の夫、ブラッド・ピットも熱心な活動家です。

 「The Sentry」の報告書はまだ読んでいませんが、かなりの労作のようです。(報告書はこちら

 なんとか要約だけでも紹介できたらと思います。この記事に書かれたことだけでは不十分ですから。

 こういう動きは日本人には理解できないでしょうね。未だに政治は金持ちの道具で、政治家は一種のブローカーですから。過去の政治家はもっと汚くて、かつ現実的すぎるほどでしたが、その系譜は未だに続いています。

 報告書の中に「Kleptocracy」という言葉がみえました。政治家が国民や国家を食い物にして利益を追求することで、泥棒政治とも訳されます。東京オリンピックのインフラ工事にまつわる問題が多いのも、こういう体質が日本にあるからで、大会委員長に指名された人の仕事は、それをとりまとめることです。日本と南スーダンは政府間では結構相性がよいのかもしれません。

 ひとつ思い出しました。民主党には人材がいないと、よくいわれます。しかし、政治に命を賭けて、文字通り亡くなった政治家がいます。石井紘基氏は2002年に暴漢に刺されて亡くなりました。 彼は調査に基づいた暴露で与党を攻撃し続けており、その最中に殺害されたのです。周囲の人は石井氏が何か大きな情報をつかんだ直後に殺されたといいます。真相は明らかにならず、犯人は石井氏のところへ情報を売り込みにいって失敗し、逆恨みして刺したことになっています。本当の動機はともかく、石井氏の活動に私は常に驚き、共感していました。亡くなったと聞いた時は、悔し涙が出たくらいでした。

 こんな人がいたのに、すぐに忘れているのが日本国民。政治家の表向きのパフォーマンスに騙され、望ましくない人物を支持してしまう悪癖を持っています。

 多分、日本人にはジョージ・クルーニーがなぜこんな活動をするのかも理解できないでしょう。

 


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