国連がマシャル氏はコンゴにいると明言

2016.8.20


 19日付けのsudantribune.comによれば、ニューヨークの国連本部は、水曜日に国連コンゴ平和維持軍がレイク・マシャル元第一副大統領(Riek Machar)を、南スーダン・コンゴ国境から空輸し、彼をコンゴの内部へ運んだことを明らかにしました。

 国連はコンゴ政府が、首都ジュバ(Juba)周辺のブッシュで、コンゴ国境へ向けて歩いた5週間後に疲労困憊した反対勢力指導者たちの世話をしていると言いました。

 国連報道官、ファラー・ハク(Farah Haq)は、ニューヨークでの毎日の状況説明で木曜日、マシャルは国際連合コンゴ民主共和国派遣団(MONUSCO)によって南スーダン・コンゴ国境にあると言いました。

 「我々は摘出活動を経験し、彼は現在、コンゴ共和国当局の保護下にいます」とハクは水曜日に言いました。

 彼はマシャルがMONUSCOによって、病気(病名は非開示)の治療を受けたと言いました。

 彼はマシャルの妻とその他将官10人をコンゴ政府が世話をしていると、彼は言いました。

 マシャルの当局者は、彼らの指導者は元気だが、荒野にあった40日間、徒歩で歩いたことで疲労困憊していると言いました。

 彼らは彼が数日中に政府間開発機構(IGAD)、アフリカ連合(AU)、国連と接触を確立すると言いました。

 彼らが合法的な南スーダンの第一副大統領とみなす反対勢力の指導者は、見通しを共有するためにIGADメンバー諸国を訪問することにもなっています。


 これでひと安心です。

 ジュバ・イエイ線上で政府軍がマシャルを探しているとの報道がありましたが、まさにマシャルら反対勢力指導者は首都から南西に向けて逃げ、コンゴ国境まで来ていたのです(関連記事はこちら)。

 反対勢力がいた首都西部から隣国へ逃げるにはコンゴかウガンダがあります。ジュバ・イエイ線を使ったのなら、直線距離でも170km近くありますから、200kmくらいを歩いたのでしょう。大変な逃避行でした。

 ジュバ・イエイ線ではキール軍とマシャル軍の衝突も起きていて、これはマシャルを逃がすための抵抗だったかも知れません。

 明らかに国連は反対勢力指導者をキール大統領から保護しています。その一翼を担う日本は、こういう状況を指して「武力紛争は存在しない」というのです。これがいかに不自然なことか。対外的な態度と国内に対する態度の矛盾を如実に示しています。これが日本の外交の奇妙な実態なのです。

 国際機関はマシャルが正当な第一副大統領だと考えていますから、彼を元の立場に戻そうとします。キール大統領は今度はどう対応するでしょう。スケジュールからいうと、そうした議論が決着した頃に、自衛隊派遣部隊に駆けつけ警護が追加されそうです。

 そうなると、駆けつけ警護のつもりが内戦にまともに首を突っ込むことになる可能性があります。

 日本の安全保障政策は何もかも狂っています。理論的整合性が何もありません。

 


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