南スーダン内紛で政府軍の指揮系統崩壊か

2016.7.12

 sudantribune.comによれば、過去24時間の戦闘で民間人8人が死に、その他に67人以上が重軽傷を負ったと、UNMISSは言いました。

 UNMISSはジュバで続いた戦闘のために7,000人が追い出され、戦闘は月曜日の朝9:00に再開し、大衆に過酷な状況をもたらしたと言いました。

 UNMISSは、ジュバで起きた激戦は、より多くの民間人をジュベルの国連施設と空港の近くのトンピング施設(Tomping)での保護を求めさせたと言いました。

 「国連は、UNMISSの民間人保護施設の近くへ攻撃ヘリコプターからのロケットを含めた重火器が使用された可能性を最も強い言葉で非難し、武装した軍隊が民間人が保護を求めるのを妨げたという報告を強く懸念します」と声明は付け加えました。

 UNMISSの民間人保護施設の民間人保護区域と国連施設の不可侵を尊重するよう各派閥への要請を繰り返しました。

 国連はその施設は戦いの中に直接捕らえられ、小火器と重火器から着弾を受け続けていると言います。

 「軍と警察部隊を含む国連平和維持軍は、戦いを逃れてUNMISSの民間人保護施設にいる民間人を含めて、国連施設とトンピング(Tomping)のUNMISS基地を守るために動員されたままです。

 国連派遣団は、国連施設と民間人保護施設周辺の激しい攻撃が続き、民間人を保護する能力はますます疑問となっていると強調しました。

 「国連は国連施設と要員を狙うあらゆる慎重な照準であっても非難し、それは国際法への深刻な違反となります」と付け加えました。

 国連事務総長の特別代表は、南スーダンの指導層に彼らの軍隊を制止して、戦いを止めるよう要請しました。

 彼は南スーダンの他の地域へ暴力のが拡大することも懸念し、ジュバでの戦闘に引き続く十字砲火でルワンダと中国の平和維持軍隊員2名が死亡したことに遺憾の意を表明しました。

 対立するトップ指導者2人、キール大統領とマシャル副大統領は、それぞれ火曜日の正午と月曜日の午後8時に有効になる停戦を宣言しました。

 sudantribune.comによれば、南スーダンの対立する指導者たちは、ジュバで彼らの軍隊の間で4日間戦闘を止める停戦を一方的に宣言しました。

 激しい戦闘がキール大統領のSPLAとマシャル第一副大統領のSPLA-IOの間で続いています。

 兵士数百人が、指導者2人が説明できない理由のために両側で殺されました。

 月曜日に、恐らく国際社会からの高まる圧力に応じて、指導者2人は停戦に合意します。

 キール大統領はマイケル・マクエイ・ルース情報大臣(Michael Makuei Lueth)が国営テレビで読んだ命令を発布し、停戦を宣言しました。

 「2015年8月15日の南スーダン共和国の紛争解決合意、第1章第5.2.1条、第2章第1.3条の下で私に与えられた権力の行使により、私は南スーダン共和国大統領、南スーダン解放軍(SPLA)、最高司令官、その他すべての正規軍最高指揮官のサルバ・キール・マヤディット(Salva Kiir Mayardit)は、スーダン人民解放軍(SPLA)と反対派スーダン人民解放軍(SPLA-IO)の間に敵対行動の停止を宣言するために、この共和国命令を発布する。キール大統領宣言す」。

 一方的な停戦によれば、キール大統領は政府軍すべてに原隊と兵舎へ戻るよう命じました。

 命令は政府軍すべてに敵対行為を止め、武器を携帯して、軍服を着て通りを歩き回るのを止め、すぐに兵舎へ戻るために火曜日正午までの時間を与えました。

 彼は命令を守らないと、後に深刻な手段が続くと警告しました。

 指揮系統が明らかに総崩れして、民間人の命と彼らの所有物を保護するかわりに、店へ押し入り、情け容赦なくそれらを略奪することを含め、政府軍兵士が過去4日間に振る舞った態度の後、大統領の決定の動機は不明のままです。

 西のグデレ(Gudele)と共に首都の南西に位置するジュベルの主要な市場とジュバ市内の住宅地の市場は、略奪するために軍用車を使う政府軍の兵士により荒らし回られています。

 キール大統領は軍指揮官に自分の部隊を統制し、彼らが火曜日正午までに兵舎に戻らなければならないと要請しました、

 停戦が即時実施されないかと、実施されるために、さらに24時間がかからなければならなかったかは不明のままです。

 マシャルは月曜日の夜、彼は月曜日の8時に即時有効となるジュバでの敵対行動の停止に合意したと言いました。

 彼が署名した文書の中で、マシャルは「部隊は交戦せず、SPLA IOの陣地からSPLAが即時撤退すること」と要請しました。

 反対勢力指導者は緩衝地帯を作るために第三国の軍隊の干渉も要求しました。

 「治安とSPLM IO指導者、先発チームとSPLM IOのメンバーの安全を確保すること」と書面は書きました。

 彼は、南スーダン共和国の紛争解決に関する合意の第2章それぞれに従い、ジュバ、マラカル(Malakal)、ボル(Bor)、ベンティーウ(Bentiu)と国内その他の地域の暫定的な安全保障体制を再評価し、操作可能にすることも要請しました。

 対立するトップ指導者2人の決定は、国連安保理のメンバー国が、日曜日の衝突に引き続いてジュバの国連施設と民間人保護施設への攻撃に対する衝撃と憤激を表明した後に出されました。

 強い言葉の声明は、国連が派閥に対して即時停戦と国民の生命の保護を要請しました。

 「安保理のメンバー国は、政府軍を含めたすべての派閥に南スーダンの民間人の保護施設の民間人の地位を思い出させました。安保理のメンバー国は民間人と国連施設と要員に対する攻撃は戦争犯罪となることを強調しました」と安保理は月曜日に声明の中で言いました。

 安保理は国連施設への攻撃に対して特に抗議し、国連施設を攻撃した者には責任を課すことを要請しました。

 声明は中国人とルワンダ人の平和維持軍隊員が攻撃で死傷したことを明らかにしました。

 声明はさらに、国連と国際社会が南スーダンの暴力を防ぎ、対応できるようにするのをさらに確実にするために、安保理は南スーダンの国連派遣隊の能力を拡張することを検討する準備があると付け加えました。

 国連安保理は地域の役割が最近の暴力を終わらせるために試みられなければならないと強調しました。

 「安保理のメンバー国は、この地域の国に理事会がそう決めた時に追加の兵士を提供する準備をするよう促しました」と安保理は言いました。

 「安保理のメンバー国は、この地域の国々、アフリカ連盟と安保理、政府間開発機構に、南スーダンの指導者が危機に対処するために、毅然として関係し続けるよう奨励しました。


 記事は一部を紹介しました。

 時間がなくて、各地の場所は完全に確認できていませんが、情勢はかなり分かってきました。

 当初、マシャル派急進将校の暴動と思われましたが、政府軍の指揮統制が完全に壊れて、略奪が起きていることが分かりました。政府軍兵士が首都で略奪など、日本では考えられない状況です。

 キール大統領の停戦が有効になるまでに時間をおいたのは、この指揮系統の乱れが原因なのは間違いがありません。すると、争乱の発端が反政府派将校であるという話も怪しくなります。不満を抱えた政府軍兵士が暴動を起こした可能性すらあります。

 今のところ、国連施設に対する計画的で積極的な攻撃は確認できませんが、今後、起きる可能性は否定ができません。なぜなら、この紛争はディンカ族とヌエル族の確執で、過去に民族浄化といえる虐殺が起きているからです。キール大統領のディンカ族は首都に多く住んでおり、ヌエル族のマシャル派が暴れているなら、彼らは国連施設に逃げ込みます。それをマシャル派のSPLM IOが追いかけて、国連施設の中まで入り込んで攻撃する可能性はあります。そうなると、国連施設への攻撃が当たり前になってしまうかも知れません。現に、中部の国連歴地でそういう攻撃がありました。幸い、自衛隊はそういう施設の警護はやっていません。

 現地の自衛隊部隊の命運は分からないままです。事態が収まればよいのですが、拡大すれば、部隊に危機が及びます。略奪目的で自衛隊基地に侵入する恐れもあります。

 事態が沈静化して、騒動が収まる可能性もあり、それは指導者2人の指導力次第です。しかし、将来的に紛争が復活する可能性は非常に高いといえます。

 さらに、安保理が周辺国に介入を促していることから、自衛隊が撤退するのも難しくなりました。国連から介入が行われるまでいてくれと言われるからです。

 南スーダンの問題に関する私の主張は変わりません。最初に国連から要請があった時によく調べ、まだ復興支援が可能な段階ではなく、部隊の派遣はできないと回答すべきだったのです。これは当時の民主党政権に責任があります。その後、ダラダラと派遣を続け、この危機を招いたのは自公政権の責任です。南スーダンについては、周辺国の軍隊が担当すべき時期に来ていたのに、自衛隊の海外派遣を既成事実として強化したいだけの理由で帰国を拒み続けたのは理解できません。

 安倍政権にとって、紛争が起きても自衛隊を置き続け、現地の邦人保護のために自衛隊を使えるということで、事実を積み重ねられる最高の状況です。邦人を輸送する自衛隊車両の映像が、テレビニュースで華々しく放送されることになるでしょう。単純な日本人は、これを安倍政権の成果と信じることでしょう。その印象は憲法改正の議論でも再生利用できます。

 まさに、この事態は安倍政権にとって千載一遇の好機なのです。

 


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