イラン軍に隊員拘束で海軍指揮官を処罰

2016.6.25


 military.comによれば、米海軍は1月に河川用コマンドボート2隻とそれらの乗員10人が短時間イラン水域で拘束された国際的事件の調査結果を発表した数日後に第56機動部隊指揮官を解任しました。

 海軍の発表によれば、カイル・モーゼ大佐(Capt. Kyle Moses)は木曜日に指揮能力において信頼を失ったために解任されました。

 モーゼ大佐は一時的に海軍中央軍の参謀へ転任されたと当局は言い、機動部隊の参謀長、リチャード・メイヤー大佐(Capt. Richard Meyer)が一時的に機動部隊の指揮を執ります。

 第56機動部隊は、河川部隊、爆発物処理部隊、遠征補給支援部隊を含めた中東で活動する約1,300人の兵士を監督します。

 海軍中央軍指揮官、ケビン・ドネガン中将(Vice Adm. Kevin Donegan)は1月12日の事件の調査を評価した後で解任を決定しました。

 国防当局者は水曜日にMilitary.comに対して、5ヶ月間の調査は完了し、海軍作戦部長、ジョン・リチャードソン大将(Adm. John Richardson)は今月末の前に調査結果を発表することになっていたと言いました。

 「数週間前、隊員を取り戻した直後に私が開始した調査の暫定的結論に基づいて、モーゼス大佐に関して、私は最初に適切な処分と是正措置を感じたものを行いました」とドネガン中将は声明で言いました。

 「しかし、最終的で広範な調査の結論を完全に調査した後、私はこの追加措置が必要だと決めました」。

 モーゼスは事件に関して解任される2人目の高官です。

 5月に、海軍は隊員が拘束された時の第3河川部隊の副指揮官、エリック・ラッシュ中佐(Cmdr. Eric Rasch)が解任されたと発表しました。

 その他に最大7人の海軍指揮官が事件に関連して調査中です。

 国防省は航法エラーが原因で河川用コマンドボートがイラン水域へ迷い込み、そこで1隻が壊れたと発表しました。

 隊員10人は釈放が国防総省によって交渉されるまで、イラン軍に15時間拘束されました。


 記事は一部を紹介しました。

 自衛隊と米軍が違うことの一つは、情報公開のレベルです。自衛隊はなんでも伏せてしまいます。

 敵国の水域にこちらのミスで侵入して捕まるような恥ずかしいミスであっても、客観的に分析をして結果を報告するのが米軍です。細かいことは省略して発表するのが自衛隊です。

 先日起きた、演習中に実弾で隊員が負傷した事件での情報公開が少なすぎることは前に書きました。

 熊本地震で被災地近くにCH-47ヘリコプターが多数ありながら飛ばさなかった理由も明確に発表されていません。

 北朝鮮が打ち上げたムスダンの飛行高度について、北朝鮮が1413.6kmだったと発表し、韓国軍がそれを追認しても、自衛隊の発表では1,000km以上のままです。我が国の解析能力を察知されないためというのが、その理由です。北朝鮮が公表し、韓国軍が追認したのなら、1413.6kmという数字は韓国軍の探知結果と大差がなかったのです。いまさら隠しても仕方がないのですが、1,000km以上としか言わないのが自衛隊です。

 このレベルの情報公開で、有事の際に、国民と自衛隊の信頼関係が維持できるのかが非常に疑問です。

 


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