オバマ大統領が広島の平和記念施設を訪問

2016.5.28

 バラク・オバマ大統領の広島訪問について、military.comはAP通信の記事をそのまま報じました。

 オバマ大統領は謝罪しませんでしたが、その代わりに慎重に演出された表示の中で、戦争の恐怖への率直な反省と広島の恐怖が道徳の目覚めを起こさせるという彼の希望を示しました。

 彼と安倍晋三首相は原爆ドームの近くに立ち、オバマ大統領は戦争が破壊的な損害を与えたことを認め、世界がよりよくなるよう訴えました。

 70%の日本人が広島を訪問するオバマ大統領の決定を支持する現在ですら、訪問は困難です。

 彼の演出された訪問は多くの課題と共に人々に説明されるでしょう。

 本国には望まれない遺憾の表明が少しでもあれば飛びつく準備ができている政敵がいます。

 大統領が広島と長崎で死んだ2〜4万人と見積もられる朝鮮人を大統領が認めるのを聞きたがる朝鮮人がいます。

 オバマが彼らについて語り、彼らの身体やその他の傷跡を見るのを望む被爆者がいます。

 核兵器を世界から取り除くための新しい、具体的な誓約を探す活動家がいます。

 太平洋で戦争を起こしたことで日本人に謝罪を求めるアメリカ人元捕虜がいます。


 記事は一部を紹介しました。記事の冒頭部分は演説の一部をそのまま書いているので省略しました。(全文はこちら 英語日本語

 演説の引用を除くと、実に短い記事でした。被爆者の言葉も載っていて、そこも省略したのですが、見解らしいものはほとんどなく、各方面から寄せられる意見を併記しただけでした。

 military.comは軍人向けのメディアですが、オバマの広島訪問については冷静な対応に終始したようです。

 この訪問で核廃絶が実現する訳ではありません。各国が自国の都合で核兵器を所有し、それを国防の最終手段としているからです。しかし、この訪問は天皇の真珠湾訪問と同じく、象徴的な出来事とできますし、開戦に関してはすでに謝罪が終わっているのと違い、核廃絶は人類の未来の問題そのものです。この訪問をシニカルに捉えるのは止めなければなりません。

 記事にはコメントが書き込めるようになっているのですが、やはり、意見は様々です。予想されるように、他の戦時中の悲劇をあげて、悲劇は原爆投下だけではないという意見がみられます。

 原爆投下は都市爆撃の究極的方法です。無差別に都市を爆撃すること自体が不法であり、原爆の投下は長期にわたる被害、世界的な範囲での被害を出しかねない未来の問題です。そのため、特別な対処が必要なのです。

 中には無知な意見もあり、天皇が真珠湾を訪問すべきだと言い、すでに訪問済みだと反論されていました。

 余談ですが、当初、オバマ大統領は平和記念施設のすぐ近くにある旧広島市民球場へヘリコプターで到着するとの報道がありました。ここに着陸することが日本の国内法に照らして合法かと、物理的に着陸に障害がないかが気になりました。実際には、ヘリコプターは広島ヘリポートに着陸したのですが、こういう誤った情報が、この重要なイベントに関して流れるのはどういうことなのでしょうか。大統領の安全のために意図的に偽情報が流されたのでしょうか?。

 


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