オスプレイが運動公園に着陸できた訳

2016.4.20


 オスプレイの能力を実力以上に見せかけるために、自衛隊と米軍はつまらない細工をしていたようです。

 私は18日に「報道によれば、南阿蘇村の白水運動公園に着陸するとのことです。ここは広さは十分ですが、舗装はされていません。野球などをやるための場所で、芝生と土の地面です。周囲には立木もあります。あまり着陸適地とは思えません。」と書きました。(記事はこちら

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 しかし、オスプレイは大して砂塵を巻き上げずに着陸してしまいました。自分の見立てが間違っていたのかと失望しましたが、どうやら事前に仕掛けがなされていたようです。

 毎日新聞は18日付けの記事「オスプレイ物資搬送 『政治利用』の声も」の中で、「オスプレイは着陸時に巻き上げる風が強いため、2015年のネパール大地震で住宅の屋根が破損したとの報道もあった。この日は白水運動公園にオスプレイが着陸する前、砂が巻き上がるのを防ぐためか自衛隊車両が散水していた。」と書いています。

 なんと、砂塵を防ぐために、水を撒いていたのです。誰が考えたのか分かりませんが、オスプレイの欠点を隠すための細工が行われていたのです。

 昨日書いたように、オスプレイに同行している第31海兵遠征部隊指揮官のロミン・ダシマルチ大佐(Col. Romin Dasmalchi)は声明の中で、「オスプレイは長距離任務を実行し、白水運動公園の厳しい場所に補給品を素早く届けることができ、遠隔地で準備がない地面(unprepared surfaces)に着陸し、必需品を届ける能力を示しました」と述べました。

 実は「事前に準備した地面」に着陸したのが本当で、この発言は真実を述べているとはいえません。ニュース映像で、日本国民の多くは、オスプレイが映像のように、どこにでも着陸できると信じ込んだに違いありません。

 先にも書いたのですが、オスプレイの補給方法も明らかに変です。下にオスプレイの飛行ルートを示します。

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 岩国の海兵隊航空基地を出発したオスプレイは高遊原分屯地で救援物資を積み込み、南阿蘇村の白水運動公園で荷下ろしをします。普通なら、高遊原分屯地で燃料を補給して岩国に戻るはずですが、さらに50km先の八代市沖合に停泊している護衛艦「ひゅうが」の甲板に着陸して補給を受けるのです。どう考えても高遊原分屯地で補給を受けるのが合理的です。単に護衛艦でのオスプレイへの燃料補給という実績を作るための細工です。

 運搬のための飛行はたった20km、そのために520kmも飛行することになります。 これがまともな救援活動なのでしょうか?。ネパール救援の時もオスプレイの活動はちょっと変でしたが、今回よりはマシだったと記憶します。

 与党はこれを日米同盟の共同作業と自画自賛するのでしょうが、私には茶番劇にしか見えません。こんな偽物の危機管理を続けていれば、日本国民はこれが普通の危機管理と信じ込み、何が本当の危機かが分からなくなります。それこそが本当の危機なのです。

 


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