シリア停戦に関して、内外の記事に見る格差

2016.2.15


 シリア停戦に関する朝日新聞とalarabiyaの記事を読み比べて下さい。

 朝日新聞デジタルによれば、ロシアのプーチン大統領がオバマ米大統領と14日、電話で意見交換し、11、12日にドイツのミュンヘンで開かれたシリア関係国による会合で、1週間後の停戦を目指す方針などで合意したことを前向きに評価する考えで一致した。

 ロシア大統領府によると、電話協議は米側の要請で行われた。両大統領は、停戦実現と人道支援物資の供給のために作られた米ロなどによる二つの作業グループの活動を支持する考えを表明した。

 プーチン氏は、シリアでのテロとの戦いで、米国主導の有志連合とロシア軍が「統一戦線」を作ることの重要性を強調。米ロ両国の国防省の協力を進めることが重要だという考えを強調した。

 alarabiya.netにれよば、バラク・オバマ大統領(President Barack Obama)は日曜日、ロシアにバシャル・アル・アサド大統領(Bashar al-Assad)を支援するために、シリアで穏健な反政府派を爆撃することを止めるよう要請しました。

 主要国は金曜日、シリアで限定的な停戦をすることに合意しましたが、この取り引きは今週末までは実施されず、交戦中の関係者による署名はなされませんでした。

 ロシア政府はウラジミール・プーチン大統領(President Vladimir Putin)とオバマ大統領が電話で会談し、ミュンヘン協定を実行するために協力を強化することで合意したと言いました。

 しかし、ロシア政府の声明は、ロシア政府亜イスラム国と「その他のテロ組織」に対する作戦に関与し、アルカイダのような過激派がいるシリア西部のグループを狙うことも示唆しました。ロシアは停戦はその空爆には適用されないと言います。ロシアはイスラム国とアルカイダ参加のアル・ヌスラ戦線が空爆の主要な目標だと言います。しかし、西欧諸国はソリアガ事実上、彼らが支援するその他の武装グループを目標としていると言います。

 ホワイトハウスはオバマ大統領とプーチン大統領との会談は、シリアに人道支援を急送する必要性と空爆を含んだと言いました。


 記事は一部を紹介しました。

 朝日新聞の記事を読むと、停戦は有効のように見えますが、alarabiyaの記事を読む限り、到底、そうは見えません。関係者が署名に応じていない点も不安材料です。米露は到底、合意したとはいえない状態です。

 朝日新聞はこんな風に読者を誤解させる記事を書くべきではありません。朝日新聞だけの問題ではなく、国内報道には読者に海外情勢を読み誤らせかねない記事が少なくありません。

 これだから、イスラム過激派やロシアが介入する前にシリア内戦を終わらせるべきだと言ったのです。お馬鹿なブッシュが嘘の理由でイラクに介入した件が尾をひき、シリアへ国際社会が介入するタイミングが遅れ、いまや問題は拡大したままです。

 交渉による解決は極めて難しくなっています。シリア内戦は長期化が決定的です。

 


Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.