シリア外相がロシアの軍事支援を称賛

2015.9.21


 alarabiya.netによれば、シリアのワリド・ミュアレム外務大臣(Foreign Minister Walid Muallem)は日曜日、ロシアのシリアへの関与の増大はイスラム国に対する国際的キャンペーンのゲームチェンジャーになると言いました。

 「シリアへ武器を供給するより重要なことは、ダーイシュ(イスラム国のこと)とアル・ヌスラ戦線との戦いへロシアが参加したことです」とミュアレム外相はロシアのテレビ番組でいいました。ミュアレム外相は、ロシアのより突出した役割はシリアに対する陰謀を企てる者たちすべての役割を粉砕し、アメリカに過激派に対する明確な戦略がないことも明らかにすると言いました。「ロシアはテロリズムとの戦いに参加する願望を隠しませんし、シリアはロシアのリーダーシップを信頼します」。外相はロシアは効果のない活動をするアメリカと違い、国際法の枠内とシリアとの協調の枠内で活動していると言いました。

 ロシア政府は軍事援助は既存の防衛契約ぬに一致すると主張しますが、報道は秘密のシリアへの派遣を浮かび上がらせました。

 シリアとイラクでイスラム国に対する空爆を主導するアメリカ政府は、ロシア政府に繰り返し、アサド政権を支えるのは状況を悪化させるだけだと警告してきました。

 その疑念に関わらず、アメリカはロシアとの軍事交渉を開始しました。


 記事は一部を紹介しました。

 ロシアがシリアに行っている派兵を含む軍事援助は紛れもなく「集団的自衛権」です。本来、国連の決議なしに軍事行動は行えないのですが、第2次世界大戦が終わった直後は集団的自衛権まで否定して、国連を世界政府にするのは無理でした。国連は現在も世界政府になれるまでの力を持ちません。

 各国が結ぶ同盟が戦争の直接原因になったのが第1次世界大戦の反省でした。国際連盟から国際連合に変わっても、各国の交戦権は否定できず、国連決議がないと国連軍を派遣できないとしながらも、個別的及び集団的自衛権は存続させました。

 この結果、地域的な国家のつながりが生む集団的自衛権が現存し、そのために戦争が増える問題は未解決のままです。集団的自衛権により危機が解決する可能性がないとはいえませんが、経験的には紛争が悪化する場合の方が多いといえます。

 シリアの場合も、ロシア軍が派遣されたことでアサド政権の存命が長期化し、シリア内戦とイスラム過激派の戦いも長期化する可能性が非常に高いといえます。

 このように集団的自衛権は国連の活動とは異なる手法によって行われ、国際社会への説明も十分になされず、その内容に対する評価も明確にならないという問題を含むのです。こうした活動が他国から批判を浴び、集団的自衛権を行使する国がはげしい反論する場面もよく見られる光景です。それは日本政府が説明する集団的自衛権の形とは随分と食い違っています。

 


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