同盟国がイラク西部国境の橋を破壊

2015.8.3


 military.comによれば、米主導の同盟国の空爆は金曜日早くに、イスラム国が使用している橋2カ所を破壊したと監視団体が言いました。
 米国防総省はこの地域での攻撃を確認し、米高官はシリアとイラクのアンバル州でのイスラム国の作戦遂行能力に重大な影響を与えると言いました。

 人権団体「the Syrian Observatory for Human Rights」の理事、ラミ・アブドル・ラーマン(Rami Abdel Rahman)はアル・ブカマル(Albu Kamal・kmzファイルはこちら)とイラク国境の間にかかる橋2カ所を破壊したと言いました。「これらの橋はイスラム国の移動に戦略的に重要です」

 過激派たちは、シリア東部のデリゾール州とイラク西部のアンバル州をつなぐアル・ブカマルと近くの国境検問を2014年7月に占領しました。アル・ブカマルから一つは東へ、もう一つは南東へつながる2つの橋はイスラム国のイラク国境へのメインルートだったと、ラーマンは言いました。東へ向かう橋はユーフラテス川を渡り、国境沿いの小さな街バグホーズ(Baghouz・kmzファイルはこちら)へ至ります。

 アル・ブカマルの南東で道路は小さな川を越える橋を越え、直接国境へ続く道路へと至ります。

 ラーマンは「これらの橋を使って、イスラム国はアル・ブカマルからイラク国境まで行くのにほんの2、3分しかかかりません」と言いました。「空襲はイスラム国のルートを遮断しませんが、より移動が長くなり、より長く(同盟国の)視界に留まるため、イスラム国の移動はより難しくなります」。


 記事は一部を紹介しました。

 戦果は記事に書いてあるとおりです。

 アル・ブカマルの東にある橋は市街地から東へ向かう道路につながり、ここの川幅は330m程度あります。衛星写真でもはっきりと見えます。こちらの橋は破壊されると復旧するまでは通行不可能になります。

 南東の端はユーフラテス川本流ではなく、街の南部から出ている支流にかかっており、衛星写真では川底は乾いているように見えます。川幅は100m程度です。やろうと思えば、徒歩で川底を歩いて行ける程度の場所です。車で川を渡れなくなったということです。

 これにより、イスラム国はアル・ブカマル経由、つまりユーフラテス川の南側のルートでイラク入りするのではなく、ユーフラテス川の北側を移動することになります。つまり、同盟国は無人機を使ってこのルートを監視することで、イスラム国戦闘員を攻撃しやすくなるということです。

 ユーフラテス川の北側は砂漠が近く、国境の近くでは砂漠が川に達しています。その砂漠にも道路は通っていますが、極めて監視しやすい地形です。周辺住民にこの道路を通る者は攻撃すると通告すれば、ここを通る車はすべてイスラム国とみなし、攻撃できる形がとれます。

 それでも、完全に外国人戦闘員の流入は防げないでしょうが、ある程度、速度を落とさせ、攻撃しやすくなるということです。ちなみに、2003年のイラク侵攻の際、このルートで外国人戦闘員がイラクに入ることは防げませんでした。

 


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