ハリウッドスターらが核合意へ援護射撃

2015.8.1


 alarabiya.netによれば、アメリカとイランの核開発に関する交渉をジャック・ブラック(Jack Black)、モーガン・フリーマン(Morgan Freeman)から元スパイのヴァレリー・プレイム(Valerie Plame)、ヨルダンのノア女王(Queen Noor)がビデオ映像で強力に支援しました。

 反核グループ「Global Zero」が制作したビデオは軽妙な口調でオバマ政権と合意に懐疑的な共和党を批判します。

 「現在テーブルの上にある合意はイランが原子爆弾(f**king bomb)を造らないようにするための最良の方法だと、フリーマンは言います。彼の汚い言葉はビープ音で消されました。

 外交官で元アメリカの国連大使トーマス・ピカリング(Thomas Pickering)を含めた著名な名前の人々はアメリカとその他の世界中の権力とイランの間の交渉は手に入る最良の選択肢だと言います。彼らは合意が議会の怠慢の犠牲になった場合の悲惨な選択肢をリストアップします。米議会は9月17日までに合意を受け入れるか拒否するかを決めなければなりません。

 オバマ政権は議会のメンバーと大衆を核協定を支援するよう納得させるために活動しています。キャンペーンはソーシャルメディア、公聴会の証言、秘密のブリーフィング、個人的な会議とレセプションを含みました。

 ビデオはYouTubeで公開されてから2日間で250,000回の視聴を得ました。それはブラックが冷戦時だの有名な反核歌「Russians」のパロディ版を歌って終わります。「そして私はあなたにいう。私はイラン人も彼らの子供を愛することを願うと」。


 記事は一部を紹介しました。

 日本と違い、アメリカの俳優たちは政治的な発言を積極的に行います。20代の女優が国際問題について意見を述べることは珍しくありません。日本ではまったく逆で、芸の世界ひと筋で政治に関心がない人から、そもそも考える気がない人たちまで、大抵の芸能人は政治的発言をしません。

 最近、安保法制の議論の中で一部の芸能人たちが声をあげるようになり、映画や音楽の世界の人たちが合同で声明を出し、反対の声をあげています。これは最近見られる変化です。

 戦前だと、映画を制作するにも内務省情報局にシナリオを提出し、許可をもらう必要がありました。これは終戦と共にGHQが禁止しました。それでも情報局は映画に口を出し、黒澤明の『虎の尾を踏む男達』に口を出しました。これはGHQから問題なしとされて公開されました。『静かなる決闘』では梅毒に感染した主人公が自殺する結末については、梅毒は治療で治るのだから絶望で終わる結末にすべきでないと言い、医師の意見を取り入れるよう指導したといいます。アメリカも当時から世論操作は行われていましたが、日本よりはその程度は軽いものでした。

 戦後も興行の世界はかなりの部分で暴力団が支配していたこともあり、あからさまに政府を批判することは避けられてきました。それでも、最近、ようやく変化が起こり、アイドルグループが政府批判の歌を歌う時代になりました。それに対して与党筋から「黙っていろ」風の意見が跳びだし、それがネット上で炎上したり、メディアが批判したりしています。それでもまだこうした活動は足りていないと感じます。もっと増えることで日本の政治文化は変化するはずです。

 


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