イスラム国がアイン・イッサを奪還

2015.7.7


 BBCによれば、イスラム国がラッカ(Raqqa)に近いアイン・イッサ(Ain Issa)を奪還しました。

 人権団体「The Syrian Observatory for Human Rights」はイスラム国が月曜日正午前にアイン・イッサと周辺の村を占領したと言いました。しかし、クルド人民防護隊(YPG)の公報は、クルド軍はまだイスラム国の襲撃に抵抗していると言いました。

 数週間の内に、イスラム国はクルド軍に対していくつかの致命的な反撃を開始しました。イスラム国は1月にコバネ(Kobane)から撤退を余儀なくされて以来、トルコ国境に沿った地域で一連の敗北を被りました。

 月曜日に国防総省で、バラク・オバマ大統領(President Barack Obama)は、イスラム国に対する米主導の空爆作戦が激化していると言いました。「我々はシリアでイスラム国指導者層とインフラを追求しています。シリアは世界中の人々から資金と宣伝を誘い出すイスラム国の心臓部です」。空爆は週末にラッカで橋7カ所を破壊し、イスラム国が戦闘員と補給品を運ぶ能力を低下させました。

 アイン・イッサの闘いでYPGと反政府派戦闘員の多くが死傷しました。イスラム国寄りのメディアもアイン・イッサが解放されたと火曜日に言いました。YPG公報のリドル・カリル(Redur Khalil)は、イスラム国戦闘員が未明に攻撃を開始した後でなんとかアイン・イッサに入ったと言いました。彼は戦闘は街の中で、イスラム国を追い出すために南部で続いていると示唆しました。


 記事は一部を紹介しました。

 アイン・イッサの敗北はそう大きな問題ではありません。昨日紹介したザバダニの敗北は奪還が難しそうですが、アイン・イッサはラッカ侵攻に関わる競合地域にあり、イスラム国が反撃するのは当然だと考えられるからです。クルド軍と反政府派はこの地域に侵攻のための兵士を集中しているはずで、この反撃を押し返すだけの力を持っているはずです。当然、反撃を開始して、イスラム国を撃退するはずです。それが無理ならラッカ侵攻など夢の話です。

 空爆がラッカの橋を7つも破壊したというのは驚きです。ラッカ市内には大きな橋が2つありますが、それ以外の遠方の橋も破壊したということになるからです。イスラム国はもっと遠くの橋へ迂回するか、船を使うしかありません。ラッカ西方のユーフラテス川上流にダムがあり、ここの橋は破壊できません。ここは無人機で警戒し、橋を渡ろうとする民兵をミサイルで攻撃する計画でしょう。もっとも、街の大半はユーフラテス川の北部にあり、橋の破壊は南側へ民兵が逃げることを阻止する役目しか果たしません。川の北側の道路を使えば、ハサカ市方面から兵士や物資の輸送は可能です。侵攻に際して、クルド軍の主力はラッカ市に直進するでしょうが、一部はダムや周辺の街と幹線道路を占領し、イスラム国兵の移動を遮断するかも知れません。

 それでも、この空爆は明らかにラッカに侵攻するクルド軍を支援するためのものですから、侵攻が近いことを連想させます。

 


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