米海兵隊がオスプレイの着陸規則を変更へ

2015.7.20


 breakingdefense.comによれば、米海兵隊は5月17日にハワイでハワイで起きたオスプレイの墜落事故に関して対応を発表しました。

 海兵隊はMV-22のパイロットに30秒以内で完了できない砂塵の中での着陸は中止するよう全艦隊に命令を出しました。以前のルールは60秒でした。経験豊かなオスプレイ、ヘリコプターのパイロットはこうした危険な状況で約10秒で着陸できます。

 調査官は依然として隊員2人を殺したMV-22Bのハードランディング事故を調査中です。彼らは公式に墜落の原因を公表していませんが、breakingdefenseは機体が砂塵が舞う着陸地点で通常にない45秒のホバリングをした後、両方のエンジンでパワー減少と圧縮機失速を起こしたことを知りました。

 オスプレイのパイロットは視界不良着陸(Reduced Visibility Landing: RVL)の間、エンジンのパフォーマンスを監視し、こうした着陸の可能性があるRVL訓練や任務に先立ってホバリング中のエンジン不調のすべてを全乗員が簡潔に報告するよう命じられてきました。

 RVLではヘリコプターと同様にオスプレイは一般に、ローターのダウンウォッシュが埃、砂、雪、その他の瓦礫をけたてる時、乗員の地上の視界はぼやけます。2001年以降、420機の米軍の軍用ヘリコプターがこうした状況で墜落してきました。

 「プロップローター」が作り出す強力なダウンウォッシュのために、オスプレイはしばしばこうした状況に遭遇します。前進する時にプロペラとなるように、その直径はより小さく、ブレードはヘリコプターのローターよりも捻りがあります。

 最新のヘリコプターと違い、MV-22Bには電子飛行制御と、RVLに関連する自動飛行機能の「ホバーページ(Hover Page)」と「フライトディレクタ(Flight Director)」がついたグラスコックピット(計器がディスプレイに表示される型)があります。ホバーページはパイロットに航空機を中心にした円と望ましい着陸地点を示す線を示します。

 偏流のリスクをなくするため、十分な時間があるパイロットは機体をプロップローターが巻き上げた埃や瓦礫の雲の上で通常高度50フィートでホバリングに入れ、自動着陸のためにフライトディレクターとホバーページをつなぎます。時々、フライトディレクターとホバーページは適正につながらず、パイロットに手順を繰り返させます。オスプレイは航空機と同じくエンジン1個で、またはローターが幾分上向きでも飛べます。しかし、搭載物が最も軽く、理想的な状況で、低高度の場合だけ、V-22はエンジン1個でホバリングできます。ハワイの事故で、左エンジンが止まった後、右エンジンが機体が落ちるのを止めるに十分なパワーを失いました。

 一つの要素は着陸がその日に砂塵がある同じ着陸地点に数機の中の一機だったことかも知れません。オスプレイ地面効果の外でホバリングしており、それはダウンウォッシュがすぐに地面に届く場所でホバリングするより大きな力を必要とします。また、機体は海兵隊員22人を乗せており、重たすぎたかも知れません。

 事故はV-22のエンジン吸気破片分離器(Engine Air Particle Separator: EAPS)の慢性的な不備を反映したようにも見えます。これは火災を起こした油圧漏れと後数年前に改善された両エンジンの吸気口のフィルターで、依然としてオスプレイのエンジンを通過させるために適するより多い塵を通しています。EAPSはベル・ヘリコプター・テクストロン社が開発した新しいフィルターに置換されるかも知れません。しかし、現在の計画では、置換は2017年まで起こりそうにありません。


 記事は一部を紹介しました。

 赤旗がフィルター説を中心に報じたと聞いたので引用元の記事を読んだのですが、必ずしもフィルターの問題とは言えないようです(赤旗の記事はこちら)。フィルターがかなり疑わしいとしながらも、記事は地面効果や積載重量の問題もあげています。エンジンが止まったり出力が落ちる原因はフィルターが砂塵を除去し切れなかった可能性は非常に高いと理解した方が無難です。圧縮機失速は砂塵がエンジンに入ったから起きるというものではありません。

 しかし、オスプレイを考える上でプロップローターは最も重要な問題です。特殊な形状でダウンウォッシュが強く、救難現場で使いにくいことは致命的な欠陥です。

 それからごく限られた状況でしかエンジン1個で飛べないのは本当に危険だと考えます。兵員を満載した状況では1個では飛べない、荷が空の状態でないと無理というのは、明らかに他のヘリコプターに比べて性能が劣ります。オートローテーション機能があるヘリコプターなら両方のローターが止まっても着陸はできます。この部分は新しい情報として注目しなければなりません。

 


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