米空軍が無人機パイロットの引き留めに必死

2015.7.16


 military.comによれば、米空軍は2016年会計年度により多くの無人機パイロットが軍に留まるように15,000ドルの年間ボーナスを提供します。

 空軍は水曜日、5~9年軍務期間を延長することに同意したMQ-1「プレデター」と「MQ-9」ラプターの熟練操作員のために残留特別手当を発表しました。

 現場の多くの隊員はストレスと燃え尽きによって去り、指揮官が任務の規模を縮小するほどの不足を引き起こしました。

 再契約ボーナスは総額75,000ドルから135,000ドルの範囲で、その半分は前払いは少なくとも6年の経験を持つ専門コード「18X」の無人機パイロットに支払われます。

 これは10月1日に実施され、毎月の報奨金の中で前の一時的増額にとって代わります。

 ボーナスは空軍が報奨金を上級の無人機操作員の報奨金を月額650ドルから1,500ドルに引き揚げた数ヶ月後に行われます。どれだけの隊員が再契約ボーナスを得る資格があるかは不明です。報奨金の支払いを受ける資格を得た隊員は10人足らずでした。

 全体でプレデターとラプターには約1,000人の現役パイロットがいますが、今日の任務を完遂するには少なくともさらに200人が必要です。軍は約180人を1年間で訓練しますが、自然削減で約240人を失います。訓練部隊は多くの教官が作戦部隊から引き抜かれるために慢性的に人員不足です。

 要因はアフガニスタンとその他の戦闘地域の指揮官がより諜報、監視、偵察を無人機システムに要求したため、何年間もストレスを受けてきました。無人機パイロットは1年間で900〜1,100時間を飛びますが、戦闘機パイロット一般的に約4分の1を飛びます。

 無人攻撃機による戦闘航空パトロールの数はピーク時の1日に65回から10月までに60回へ減らされ、55回まで減らす計画でしたが、アメリカが昨年、イスラム国に対する空爆を開始するとこれは変わりました。

 空軍は約80人の学生パイロットを来年、有人航空機部隊に配置する前に無人機部隊に配属するします。

 空軍は無人機の人員不足を満たすために請負業者だけでなく、州空軍と予備役へ目を向けました。軍は政治家に、地上管制局6カ所、訓練用シミュレーターと関連施設、ソフトウェアの向上、自動離着陸技術のより早い開発を含め、1億ドルを現行の資金に移すようにも要請しています。


 記事は一部を紹介しました。

 以前から無人攻撃機オペレーターが不足していて、空軍が引き留めのために報酬を引き上げたという話はありました(過去の記事はこちら)。今年2月のことです。それでも残留者が少ないのか、新しいボーナスが設定されることになった訳です。

 無人機の操縦なんて、美味しい仕事に思えます。危険はなくて、最前線の仕事ができて、報酬もいい。ところが、攻撃という仕事は常に「結果」を確認するというルーチンがあります。細かい評価は別の人に任せるとしても、目標に命中したかどうかは自分で確認しなければなりません。この作業が精神的な苦痛になるといわれます。また、精力に溢れた男性が一日中、椅子に座ってジョイスティックを握り、モニタ画面を見ているのです。帰りにはジムに寄って、思い切り体を動かしたくもなるでしょう。こんな毎日の繰り返しにうんざりしてくるのも理解できます。いくら自分の任務が国家に貢献していると考えても、耐えられなくなるのでしょう。

 空軍はなりふり構わず人員をかき集めています。そして、この記事には無人機部隊の未来が見えるようです。自動離着陸技術はオペレーターの訓練をより短期間にするためのものでしょう。一番難しい部分をコンピュータに任せれば、人間の訓練期間が減らせます。そうすると、フライトシミュレーターのマニアを無人機のオペレーターにできるくらいに操縦が簡単になるのです。以前に、青白いゲーマーが無人機を操縦することになると冗談を書いたことがありましたが、それがどんどん現実に近づいています。空軍がフライトシミュレーターを制作して、無料で配布して、オペレーターの候補者を探す日も近づいているのかも知れません。

 


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