韓国軍が竹島で定例の防衛訓練を実施へ

2015.5.6


 韓国軍が竹島で防衛訓練を行うという記事を聯合ニュースが報じ、それを時事通信が引用して報じました。両方の記事を比較します。

下旬にも竹島防衛訓練か=韓国
時事通信 5月6日

 【ソウル時事】聯合ニュースは6日、韓国軍と海洋警備安全本部が今月下旬ごろ、韓国が領有権を主張する島根県の竹島(韓国名・独島)で防衛訓練を行う計画だと報じた。訓練は毎年1、2回行われており、日本政府はこれまで外交ルートを通じて抗議してきた。
 海軍の哨戒艦や駆逐艦のほか、海洋警備安全本部の警備艦、ヘリなどを動員。海兵隊の兵士も参加し、気象条件が許せばヘリから島に上陸する訓練も行うという。 

独島防衛訓練を予定 天候次第で上陸も=韓国
聯合ニュース 2015/05/06


【ソウル聯合ニュース】韓国軍と海洋警察が今月下旬ごろ、外部勢力の独島への奇襲上陸を想定し、防衛訓練を実施することが6日、複数の韓国政府関係者の話で分かった。
 訓練は2日間の予定で、気象状況によっては変更する可能性もあるという。
 軍当局は韓国固有の領土である独島を守るという強い意志を示すため、厳しい訓練を実施する計画という。
 訓練には海軍の哨戒艦や駆逐艦など艦艇5〜6隻や海洋警察の警備艦4隻、ヘリコプター、海上哨戒機(P3C)、空軍の戦闘機が動員される。海軍特殊部隊(UDT/SEAL)と海兵隊が参加する。気象状況によってはヘリコプターで独島に上陸する訓練も実施する。昨年11月に行われた訓練では悪天候のため、独島に上陸しなかった。
 1986年に始まった訓練は毎年2回実施される。独島周辺の海上で行われ、独島に接近する非軍事勢力を探索、阻止、撃退するため実施される。
 韓国国防部は2014年版の国防白書で、「歴史的、地理的、国際法的に明白な韓国固有の領土である独島について、軍は強力な防衛意志と対応態勢を確立している」と強調した。


 今日はオスプレイなどを使ったネパールでの救援活動の記事が読めると思ったのですが、どういうわけかどこにも載っていません。そこで、竹島の記事を選びました。

 時事通信の記事では情報が少なすぎて、演習の概要すらつかめません。また、読者がこの記事をどう受け止めればよいかすら分かりません。どんな部隊がどれくらい参加するのかくらいは書いておかないと、記事としての価値はありません。インターネット版は紙面にくらべるとスペースで制限がないのですが、日本のマスコミは改善しようとしません。CNNがテレビニュースで扱えない部分はウェブサイトを見るよう案内するのと大差があります。一番困るのは、こういう簡単すぎる記事が読者に勧告に対する漠然とした不安だけを増やし、よい結果をもたらしそうにないことです。

 この通りなら演習の内容は昨年と大して変わりません。韓国政府の方針に変更はありません。

 演習の仮想敵は「独島に接近する非軍事勢力」 です。具体的には日本の右翼勢力の民間船を指します。彼らが竹島に強行上陸しようとするのを防ごうという訓練です。海上自衛隊や海上保安庁の艦船ではありません。以前から指摘していることですが、韓国の建前は日本政府から島を守ることではなく、日本の右翼勢力から守るということなのです。国防白書で言うことと、実際にやっていることには乖離があります。 どう見ても、これは普通の領土紛争ではありません。1982年のフォークランド戦争はアルゼンチンがフォークランド諸島はマルビナス諸島であり、アルゼンチン領だと主張した戦争でした。これに対して、イギリスは上陸部隊を派遣して、実力で奪還しました。これが普通の領土紛争です。

 なのに、日本では竹島紛争は普通の武力紛争みたいに受け止められています。この性質の違いをしっかりと認識しないと日本が判断を誤ることになりかねません。


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