ニソア広場銃撃事件で元警備員に判決

2015.4.14


 BBCによれば、元ブラックウォーター社員の慧敏が2007年にイラクで民間人14人を殺害した件で、1人が終身刑、他の3人が禁固30年の有罪判決を受けました。

 ニコラス・スラッテン(Nicholas Slatten)と他3人は昨年バグダッドのニソア広場(Nisoor)での殺人で有罪宣告を受けました。

 民間警備員がアメリカの輸送隊の道を開けるために発砲した時に、さらにイラク人17人が負傷しました。

 スラッテンは殺人罪に、他の者たちは複数の故殺罪と故殺未遂、重罪に関与中の武器使用に問われました。

 ワシントン氏の裁判で、ポール・スロース(Paul Slough)、エヴァン・リバティ(Evan Liberty)、ダスティン・ハード(Dustin Heard)らは殺人への関与について禁固30年とされました。

 男たちは武装勢力から発砲されたと言いましたが、検察官は事件は民間人に対するいわれなき待ち伏せであると主張しました。判決は最終弁論の翌日に出されました。検察官は判決は元警備員達が後悔を示さないためにより厳しくなると言いました。しかし、ロイス・ランバース裁判官(Judge Royce Lamberth)は両方の要請を却下しました。「犯罪の深刻さに基づいて、私は刑罰が過剰でないと考える」とランバース判事は法廷で言いました。

 犠牲者と目撃者多数が裁判のためにアメリカに飛行機で運ばれました。モハメッド・キナニ・アル・ラザク(Mohammad Kinani Al-Razzaq)の9歳の息子アリ(Ali)が攻撃で死にました。「これらの犯罪者とテロリストの違いは何ですか?」とラザクは言いました。


 記事は一部を紹介しました。

 ニソア広場の事件は、このサイトで何度も紹介しました。

 犠牲者が出たこともそうですが、この事件は民間軍事会社の問題点を露呈させました。軍人はジュネーブ条約に制約されるのに、民間軍事会社はその範囲外にあります。つまり、殺人や傷害を行った場合、民間警備員を裁く場所はどこなのかということです。結局、警備員の国の法律を適用するということで、この問題は決着を見ました。

 軍人は上官の監視下にありますし、軍には犯罪捜査部や憲兵隊、法務部などがあって、こうした事件に目を光らせます。民間軍事会社にはそれがありません。内部告発とか、外部の目撃証言などがない限り、紛争地域でやりたい放題なのです。

 今後、こういう問題はさらに検討されなければなりません。国内法だけでなく、国際法を整備すべきか。国際司法裁判所は民間軍事会社にどう対処すべきか。警備員の所属国と民間軍事会社の国籍が違う場合、どこが裁判を所管するのか。民間軍事会社が国の仕事を請け負う場合が多いことを考えると、問題を起こした警備員を国が庇おうとした場合、実質的に法律の適用外とならないかといった問題が想定されます。

 日本が平和国家として認められたいのなら、こういう問題の解決を主導すべきですが、どの政党にもそんな考えがないことが、私は不満です。

 


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