カナダ軍特殊部隊隊員がイラクで死亡

2015.3.9


 シリアとイラクの戦況に関する記事3つを紹介します。カナダ軍の特殊部隊隊員が誤ってクルド軍に射殺されました。

 military.comによれば、カナダ軍の特殊部隊兵士が、車の中に留まれという命令を無視し、最前線に現れた後で、友軍の攻撃により死亡したと、クルド軍公報が日曜日に言いました。

 金曜日のアンドリュー・ジョセフ・ドイロン軍曹(Sgt. Andrew Joseph Doiron)の死は、米主導の対イスラム国戦で最初の犠牲となりました。カナダ軍当局者は現在までにコメントしていません。

 ペシュ・メルガ(Peshmerga)の公報、ハルガード・ヘクマット(Halgurd Hekmat)は、カナダ軍兵士のグループがイラクのモスル(Mosul)の近くにあるニナーワー州(Nineveh)のバシク村(Bashiq)に連絡なしに現れました。この地域は前日にイスラム国に対する激戦がありました。

 「彼らが戻った時、ペシュ・メルガは彼らに身分を明かすよう求めました」「彼らはアラビア語で答え、その時にペシュ・メルガが発砲を始めました。それは彼らのミスでした」。

 ヘクマットはなぜカナダ人がそこにいたかは不明だと付け加えました。「私はこれはカナダ人による不適切な行動で、非論理的だと考えます」。

 クルド人当局者2人は、ドイロンの遺体は日曜日早くにイルビル国際空港で軍の儀礼を行った後、カナダへ空輸されたと言いました。彼らは公言する権限がないため匿名を希望しました。

 カナダ国防省は土曜日に、オンタリオ市(Ontario)のペタワワ駐屯地(Petawawa)に拠点を置くカナダ特殊作戦連隊のドイロンの死を公表しました。他のカナダ兵3人が事件で負傷しましたが、容体は安定しているとジェイソン・ケニー国防長官(Defense Minister Jason Kenney)は言いました。

 カナダにはカナダ政府がアドバイスと支援を要請した、クルド軍と共に行動する特殊部隊兵士69人がいます。彼らは昨年9月に、戦線のずっと後方で活動する精鋭部隊の非戦闘員と宣伝された任務でクルド軍の訓練を助けるために派遣されました。カナダ軍が最前線で訓練と支援を行い、空爆を指示しているという事実は論争を引き起こしましたが、ケニー長官は交戦規定は変わっていないと言いました。

 ケニー長官はドイロンの死は戦闘ではないと言い、事件は夜間にクルド軍の一部が人違いをしたと言いました。

 military.comによれば、統合参謀本部議長マーティン・デンプシー大将(Army Gen. Martin Dempsey)は、ワシントンからイラクに行く途中で記者にティクリート(Tikrit)からイスラム国を追い出せるかを尋ねられ、楽観的な見通しを述べました。

 「はい、そう思います」「兵数が圧倒しているところです」と彼は言いました。デンプシー大将はイスラム国はわずか数百人なのに、シーア派軍人とイラク兵約23,000人が攻勢に参加していると言いました。

 攻勢はアメリカが軍の戦術教本と考えるものとは違い、ハンヴィー、トラック、その他の車両がワシントンのベルトウェイのラッシュアワーみたいにティクリートへ向かっていると説明しました。「私は洗練された作戦行動とは思いません」。

 大将はイラン軍が戦闘行動を実際に行っているという証拠はないと言いました。彼はイランがティクリート攻勢を可能にしたと称賛される一方で、それがどうやって可能になったかについて全容は語られていないと言いました。「それがベイジ(Beyji・kmzファイルはこちら)のイスラム国軍を徐々に減少させる(米主導の)航空作戦のためでないのなら、現在の(ティクリートの)作戦は軍事的に実現可能ではないでしょう」。

 イスラム国はティクリートのすぐ北にあるベイジを、そこにある精油所を支配しようとして占領しました。しかし、彼らは連続するアメリカの空爆により阻止され、足止めされたと、デンプシー大将は言いました。

 alarabiya.netによれば、土曜日にイスラム国がシリアのハサカ州(Hasakeh)、テル・タマル(Tal Tamr・kmzファイルはこちら)を占領することを狙った攻勢を開始し、クルド軍は両者に戦闘員40人の死者を出しました。

 人権団体「The Syrian Observatory for Human Rights」のラミ・アブドル・ラーマン(Rami Abdel Rahman)は「激戦がタル・タマル周辺で過去24時間に発生し、戦闘員40人を殺したと言いました。彼はイスラム国が前進すると戦闘が街の近くで起こりましたが、クルド軍は増援を呼び、過激派を追い返せたと言いました。

 イスラム国は戦略的位置にあるタル・タマルを占領しようとしています。


 記事は一部を紹介しました。

 特殊部隊というのは、どこでも同じようなもので、公表されている以上に活動するもののようです。訓練にしか参加しないと言いながら、最前線で戦闘活動の支援を行います。カナダ軍兵士がなぜ動き回ったのかは分かりませんが、前へ出て空爆に関係する何かを確認したかったのでしょう。

 事件自体は単純ですが、特殊部隊が知られている以上に動くものだという教訓は頭に入れておきましょう。非戦闘任務でも実際には戦闘支援を行うことがあるということです。

 デンプシー大将の発言で重要なのは、ティクリートのイスラム国が数百人だということです。これでは勝負になりません。すでに陥落は決定しているようなものです。仕掛け爆弾と狙撃兵により進撃はゆっくりとしていますが、結果は決まっています。モスル攻勢を始めることに、ほとんど心配する必要はありません。

 テル・タマルは先日、キリスト教徒が多数誘拐された街です。イスラム国はここを奪還したいようですが、兵数が足りないようです。イスラム国は各地で兵数不足を呈しており、勝ちを収めるのが難しくなりつつあります。

 戦力は常に比較の問題なので、相手よりも優勢を各戦線で維持することが大事です。

 


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