デンプシー大将がティクリート奪還を確信

2015.3.12


 BBCによれば、統合参謀本部議長マーティン・デンプシー大将(Gen Martin Dempsey)は、イスラム国がティクリート(Tikrit)から追い出されるのは疑いがないと言いました。

 デンプシー大将は上院の公聴会で話しました。

 イラク当局は先に、政府軍とシーア派民兵がティクリートのカデシア(Qadisiya)の3分の2を占領したといいました。しかし、彼らは今のところ、ティクリートの南と西では多くの前進をしていません。

 イラン革命防衛隊の最高指揮官、カジム・スレイマニ大将(Gen Qasem Soleimani)が指揮するイラン軍が作戦に関与していることで懸念があります。一部のアナリストは、政府軍と共に戦うシーア派民兵がイスラム国とスンニ派民兵が少なくとも700人の大半がシーア派の兵士を6月にスパイカー基地で虐殺したことへの報復を行うかも知れないといいました。

 しかし、デンプシー大将は「イラク軍を支援するイラン人の活動は(イスラム国に)対抗する軍事的視点では肯定的なことです」「その後に何が起きるかという疑問、スンニ派の家族を彼らの近くへ戻らせることの彼らの意志という視点では、彼らが必要になる基本的なサービスを復旧するために活動するか、残虐行為と懲罰に終わるかどうかということです」。

 水曜日早く、サマラ作戦司令部の当局者は、南北に走るチグリス川に沿った町と村での10日間の激戦の後、政府軍はティクリートの北東部に入ったといいました。政府軍はカデシアの3分の2を占領し、近くの軍病院にイラクの旗を掲げました。

 サラディン州(Salahuddin)の知事、ラエド・アル・ジュブリ(Raed al-Jubouri)もカデシアの掃討が進行中であると発表しました。

 治安当局者は、政府軍がそれよりも早くに北東のサムラ村(Samra)を奪還したと言い、アル・アラム地区(al-Alam)を完全に支配したと言いました。しかし、カデシアの南ではまだ衝突が起きており、政府軍は街の他の部分ではいかなる前進もしていないと警告しました。

 サマラ作戦司令部の当局者は、攻撃が工業地区のアル・ハヤキル地区(al-Hayakil)とアル・デューム地区(al-Diyum)に向かうティクリート西部の自動車道路から開始されたとも言いました。


 記事は一部を紹介しました。

 ティクリートの奪還は時間の問題です。最早、特に言うべきこともありません。

 その後にシーア派による報復が行われるかどうかは、デンプシー大将が言う通り、予測がつきません。しかし、世界が注視している中、イランがそうした行為を行うとは考えにくいのも事実です。逆に、イランが参加しているからこそ、地元シーア派による報復が抑制されるとも言えます。

 そして、モスル奪還がいつ始まるかが気になります。今後のイスラム国は各地で各個に撃破されていくだけです。最早、その後のイスラム国がどういう道を辿るかが気になります。

 イスラム国は少年がイスラエルのスパイとされたパレスチナ人を処刑する映像を公開したようです(元記事はこちら)。こうした恐怖をまき散らすプロパガンダだけでは、実際の戦闘には勝てません。オウム真理教にも似たように見える、このプロパガンダが逆にイスラム国の弱さを強調するようになるかもしれません。アルカイダは「国土」を持てずに人気を失いました。イスラム国はそれを確立することでバブル的な人気を得ましたが、負け始めると口だけの組織のように見えてくるでしょう。国土を持ち、彼らが理想とするイスラム世界を建設するという夢は現実的ではないことは明白です。小火器だけでは、大きな戦争には勝てません。ハイテク兵器、空軍機、戦闘艦などは、大国が決してテロ組織に引き渡さないものです。これらなしに安定した国土を維持することはできないのです。

 


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