シリアでさらにやる気のプーチン大統領

2015.12.20


 BBCによれば、ウラジミール・プーチン大統領(Vladimir Putin)は、ロシアはシリアでの軍事作戦の中で可能な手段すべてのごく一部しか用いていないと言いました。

 「我々はさらに他のものも持っており、必要に応じて使うでしょう」とロシア大統領は言いました。プーチン大統領は停戦を含めたシリア和平を採択した国連安保理の翌日に述べました。


 記事は一部を紹介しました。国連決議の内容も書いてありますが、これは国内報道でも読めるはずですし、ここで指摘したいのはプーチンの発言です。

 マッチョを自他共に認めるプーチン大統領ですが、私が気になっているのは、こうした軍事的手法をいつまで続けられるのかと、ロシア政府が戦費をどこまで予定しているのか、その予測は正しいのかということです。アフガニスタンでも長期にわたる派兵が旧ソ連の衰退を招きました。いくら強がっても力の限界はあります。それがどこまで続くのかが問題です。

 小国が相手で、首都を陥落させる能力があるなら、戦争の終わりを合理的に予測できます。しかし、イスラム国のように広範な地域を占領する者を打倒する時期を予測するのは困難です。弱体化したシリア軍にシリア東部まで攻め込ませるのは無理です。ヒズボラやイラン軍が協力しても、すべての地域を取り戻すのは無理でしょう。もちろん、ユーフラテス川沿いの街を占領すれば、イスラム国は砂漠に追いやられることになります。しかし、イラクから増援を回すこともできそうです。イスラム国の兵数が正確に分からないことや新規に参加する者がどれだけいるのかが分からないので、予測は困難です。イスラム国の戦略はお世辞にもまともとはいえません。手を広げすぎなのは明らかです。反撃されると、先端部分を見捨てて、現地部隊は死ぬまで戦うのです。通貨を発行しましたが、それが効果を出した話も聞きません。やはり、彼らが生きていられるのは周囲に天敵がいないからです。

 ということは、優勢な地上軍の投入で、問題は解決できるわけです。しかし、そんな国がないから手がつけられないのです。アラブ諸国が合同軍を編成してシリアに攻め込んだら勝てると思いますが、高くつきすぎるし、シリア政府を助けるという名目がなければ、ロシア軍が半ば意図的に誤爆する危険もあります。 では、ロシアが地上軍を送り込むのか?。それもなさそうです。そこまでロシアの財政状況がよいとは思えません。今回のプーチンの発言は相手を威嚇するための「口撃」というべきでしょうね。

 


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