ダンフォード大将が米軍の改革を語る

2015.12.16


 military.comによれば、米軍の統合参謀本部議長は月曜日、戦争の性質は変化しており、地域と領土の各所における米軍の対応を調整できる新しい参謀を必要とするだろうと言いました。

 「the Center for a New American Security」が企画したワシントンD.C.のフォーラムで、ジョセフ・ダンフォード大将(Gen. Joseph Dunford)は、イスラム国に対する最近の戦闘は、世界的な脅威と軍の課題が変化したことを強調すると言いました。彼は未決箱の一番上にある問題は、統合参謀と戦闘指揮官の対応を今日の紛争の性質に合わせてどう調整するかだと言いました。「我々が行うであろういかなる紛争も地域を越え、複数の領域で、機能的になるでしょう」とダンフォード大将は言い、情報活動、サイバー能力、弾道ミサイル技術は現代の戦場の範囲を変え、拡げたと付け加えました。「数年前に朝鮮半島について語れば、我々が朝鮮半島内に留めようと望む紛争について考えたでしょう」「その後、北朝鮮は弾道ミサイル能力を開発し、日本のようなその他の地域的当事者に影響を及ぼし始め、もはや紛争を半島に留めることを望めません」。

 ダンフォード大将は、現在、新しい専門の参謀は世界中にいる地勢に関与する戦闘指揮官すべての全体像を理解でき、複数の地域を含めて完全な作戦の観念を国防大臣に提供できるよう養成される必要があるだろうと言いました。それは統合参謀が現在活動するやり方ではないと彼は言いました。「正直に言えば、国防総省の統合の一番下のレベルは国防長官なのです」。

 現在の米軍の指揮系統がどう機能し、参謀長の役割を概説する1986年のゴールドウォーター=ニコルズ国防総省再編法(Goldwater-Nichols Act)を評価する両議会の公聴会を前に、ダンフォードはさらに提案を議論する機会があるだろうと言いました。

 一方で、彼は議長としての彼の権限の中で、今日の世界的な脅威への対処でアメリカに成功させるという、地域を越えた共同の活動を促進するために小さな調整をしていたと言いました。「暴力的な過激主義を検討してから、将来に同業の競合者に対してあるかも知れない戦闘の性質を検討すれば、我々が再び組織構造、我々が戦略と、次いで重要な指揮系統を開発する方法を計画する方法にいくらかの基本的な変更をしない限り、私は我々が対応できるとか、テンポを生み出せるとか、決断をして、時期を得たやり方で振る舞えるとは考えません」。


 記事は一部を紹介しました。

 ダンフォード大将が言うのは、中央軍、欧州軍など、地域ごとに分かれている組織構造をさらに柔軟に直すということでしょう。

 北朝鮮の脅威については、ダンフォード大将はノドンミサイルによる攻撃を示唆しています。北朝鮮は地上軍を日本に派遣する能力がありません。日本に到達する弾道ミサイルしか攻撃手段がなく、それがノドンです。1990年代前半に開発が完了していたとみられますから、ダンフォード大将はもう20年前からの話をしたことになります。

 朝鮮半島は確かに一地域ですが、日本に戦争が及んでも、対応するのは同じ太平洋軍であり、変わらないはずです。

 私はイスラム国とアルカイダに対する国際的な戦略こそ変えてほしいと思います。各国が半ばバラバラに行動しているのは非効率です。今回のコメントはゴールドウォーター=ニコルズ国防総省再編法の見直しに関することなので、こういう話になったのかと思います。

 対テロ戦の戦略は同時多発テロ事件以来、迷走しており、まだ妥当な状態になっていません。対テロ戦争は国家同士の戦争のように、必ず終わりがある訳ではありません。不満を抱える者がいる限り、永久に続きます。そこを解決する手段が確立されていません。それは見た目は確実な手段に思えないので、見捨てられやすいのです。イスラム教は他の宗教と同じで、国際的な差別は撤廃するよう努力しなければならないと訴えることです。その先頭に立つのは、文学、映画や音楽の分野であるべきですが、この分野は人気商売でもあり、非国民とみられることはマイナスであり、手を出しにくいという問題があります。だから、そこを解決する方がよい結果を生むはずです。

 これは米軍ではなく米政府が考えるべきことなので、今回のコメントから外れているのは分かりますが、対テロ戦開始以降、無視され続けている気がしています。

 


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