イスラム国がロシア機撃墜の爆弾を公表

2015.11.19


 alarabiya.netによれば、イスラム国は先月墜落したロシア航空機に、エジプトの空港でセキュリティを破る方法を見つけた後、爆弾を持ち込んだと言いました。

 イスラム国の雑誌「Dabiq」最新号は、イスラム国は最初、イラクとシリアで民兵を標的とする米主導の同盟国の航空機を撃墜するつもりだったと言いました。民兵達はそのかわりに、ロシア政府がシリアで9月末に航空作戦を開始した後、紅海のリゾート地シャーム・エル・シェイク(Sharm el-Sheikh)を出発したロシア機を狙うことにしました。

 写真は青い背景の上に、ソフトドリンクの「シュエップス・ゴールド」の缶と起爆器らしいものとスイッチを示しました。

 同誌はまた、聖戦士が入手した死亡したロシア人のパスポートの写真も公表しました。「Dabiq」に掲載された写真の信憑性は確認されていません。イスラム国はまた、雑誌の英語版で中国人とノルウェー人を処刑したとも発表しました。雑誌に載った遺体の写真は中国人の人質、ファン・ジンギ(Fan Jinghui)とノルウェー人のオレ・ヨハン・グリムスガード・オフスタッド(Ole-Johan Grimsgaard-Oftsad)とされました。写真の一つに重ねられたキャプションは不信心の国と組織に見捨てられた後で処刑したと書かれています。


 記事は一部を紹介しました。元記事に爆弾の写真が掲載されていますので、リンクをクリックしてみてください。

 随分と小さな爆弾だという印象です。これにTNT火薬が詰まっていても、大した量ではありません。客室で爆発させたとしても、大きな穴が空く程度で、墜落はしないように思えます。フライトレコーダーの記録では爆発の後、乗員が対処できないような状況になったということですから、かなり大きな損害が出たことになります。

 写真が装置のすべてなら、工作員が自分でスイッチを入れて爆発させたことになります。時限装置のような一定の条件で自動的に爆発するような仕掛けもなかったことになります。つまり、乗客が手荷物で機内に持ち込み、自分でスイッチを押して起爆したことになります。主翼の上にある座席で爆発させると、空中分解が起きるかもしれませんが、可能性は低そうです。犯人達はかなり幸運だったように思えます。

 客室で爆発させたのなら、セキュリティが緩かったことは間違いがありません。しかし、空港職員の入口から持ち込んだ可能性もあります。手荷物検査を終えた犯人に、その職員が爆弾を渡した可能性です。手渡さなくても、空港のどこかに置いて、犯人が持ち去る方法もあります。

 


Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.