医師団を誤爆した機体はAC-130か

2015.10.5


 military.comによれば、アフガニスタンのクンドーズ市(Kunduz)で国境なき医師団を誤爆したのは米空軍のAC-130「ガンシップ」である可能性があります。

 アシュトン・カーター国防長官(Defense Secretary Ashton Carter)とアフガン駐留米軍ら空爆を行った航空機の種類を特定していませんが、ワシントンポストとCNNなどはAC-130だったというアフガン駐留米当局者の言を引用しました。

 土曜日の声明で医師団は、タリバンとアフガン軍の戦闘のために病院は閉鎖され、職員は撤収し、30万人の住民を危険にさらしていると言いました。
 
 AC-130のモデルの一つAC-130H「スペクター」は、口径105mmのM102榴弾砲、口径40mmのL/60機関砲を、AC-130W「スティンガーII」とAC-130JはAGM-176空対地ミサイルとGBU-53/B SDB II精密誘導爆弾を搭載します。

 NATOの作戦意志支援部(Operation Resolute Support)は声明で、「被害評価チーム(Casualty Assessment Team)として知られる多国籍で構成される事前調査隊に指示をしています。我々は数日中に初期評価の結論を受け取ります。さらに、米軍は徹底的で広範な調査を行うよう将官が命じた公式調査を公表します」と言いました。

 国境なき医師団は米軍の対応はまったく不適当で、病院から発砲があったことを重ねて否定しました。「紛争をする側が行う内部調査だけに頼ることは、まったく不適切です」と医師団は言いました。「日曜日の朝、米軍の空爆の前に病院施設の内部で発砲があったと報告した職員はいません」。

 医師団は月曜日から戦闘が始まってから390人以上の人々を治療してきたと言いました。

 米特殊作戦の教官と少数のドイツ軍に支援され、アフガン軍は街を奪還するために反撃を行っていました。


 記事は一部を紹介しました。

 これまでは戦闘爆撃機による空襲を想像していましたが、AC-130だと聞くと、評価はまた変わります。操縦と攻撃を1人で行う戦闘機と違い、AC-130は作業が分担されているからです。

 AC-130がどんな機体かは映像を見れば分かります。(Wikipediaの解説はこちら

 砲兵隊などの支援がない場所で地上軍を支援するための専用機です。見ての通り、高性能なモニタで目標を監視しながら攻撃します。これだけの設備で誤爆したのなら、過失の度合いは少なくありません。下の写真は現場と推測される場所を示していますが、塀で囲まれた敷地内の建物も爆撃された中央棟からかなりの距離があります。仮にタリバンが敷地内から発砲していたとしても、中央棟でないことは明らかですから、酷い過失だということになります。

 私には発砲があったかも疑問です。塀の近くの建物から発砲したのなら、中央棟にいた者が銃声を耳にしてもおかしくありません。地上部隊が敵の位置を誤って教えたのか、AC-130が聞き間違えたのかも知れません。

写真は右クリックで拡大できます。

 かなり前に、ペシャワール会の中村哲医師の講演会で、米軍から誤爆される危険はないかと質問したことがあります。中村医師は、米軍には一定の信頼を持っていると答えたと記憶します。現実のことになる可能性を、私は当時本気で考えていました。

 


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