クンドーズ病院誤爆の謎は深まるばかり

2015.10.27

 military.comによれば、10月3日にアフガニスタンで国境なき医師団の病院に対する空爆を要請した米陸軍グリーンベレーは、病院が活動していることを知りながらも、タリバンの支配下にあると考えていたとAP通信が報じました。

 書面を見た2人によると、米軍のAC-130が病院を攻撃する前日、グリーンベレーの高官は報告書に米軍が病院について医療グループのアフガンでの責任者と協議したと報告書に書きました。これとは別に、攻撃の前日、ワシントンの当局者が国境なき医師団に「病院にタリバン戦闘員の大きなグループがいるかどうか」尋ねたと医師団の公報、ティム・シェンク(Tim Shenk)は言いました。「我々は事実無根だと答えました。我々は医学的構造を尊重する必要性について紛争の両当事者に了承を得ているともいいました」。

 この発覚は米軍が機能している病院と知っていたものを破壊したこと、それは戦時国際法に違反します。国防総省は米軍は医療施設に対して故意に攻撃しないと言い、なぜグリーンベレーが攻撃を要請したかと、指揮系統により、病院があると知っている座標に対して攻撃がどのように承認されたかは不明です。

 米軍がタリバンが病院から動いていると考えても、負傷した患者が中にいることは米軍の標準規則と戦時国際法の下で問題になります。国防総省広報官、ロジャー・キャビネス少佐(Maj. Roger Cabiness )は質問に答えるのを拒否し、声明の中で、攻撃に関する3つの調査が完了する前に「いかなる結論も出すのは早すぎる」と言いました。

 NATO軍の広報官、ウィルソン・ショーフナー准将(Brig. Gen. Wilson Shoffner)はアメリカは「民間人の被害報告は信頼でき、我々は犠牲者を完全に特定するためにアフガン政府と働き続ける」と言いました。

 書面を見た2人によると、第3特殊部隊グループのグリーンベレー高官の10月2日の報告には「医師団は病院の中に人員がいると報告した」とありました。報告書は病院が武装勢力の支配下にあると述べたと、匿名を希望する情報源は言いました。病院の座標は友軍すべてに送られたと報告書は言い、翌日の米軍の攻撃目標の中の一つが敵軍の病院を掃討することだと指摘しました。

 国境なき医師団当局者は、A-130が5回通過し、1時間攻撃した時、病院はタリバンの支配下ではなく、銃を持った男が施設の中から活動していなかったといいます。少し離れたところにあるアフガン保健省が運営するもう一つの病院は武装勢力が街を占領したとき、タリバンに占領されていたと米国防当局者は言いました。

 新しい情報は米諜報機関と米軍が2つの病院を混同した可能性を浮上させます。しかし、他の証拠はそうした混乱に矛盾します。アメリカの特殊作戦アナリストは、パキスタン人工作員がタリバンの活動を調整するのに使っていたとの徴候を含めて、国境なき医師団の病院の情報を収集していました。書面を見た2人によると、グリーンベレーは病院上空で空軍に情報収集をするよう求め、グリーンベレーと空軍の要員はそれが保護された医療施設であることに気がついていたと記録は示します。書面の一部に詳しい元情報当局者によれば、アナリストの書面は病院周辺の地図、情報機関がパキスタン工作員の位置を追跡していたこと上空からの偵察に基づく活動報告が含まれました。情報は病院がタリバンの指揮統制センターとして使われていて、重火器が収納されているかもしれないことを示しました。攻撃の後、米アナリスト達は攻撃は正当化されたことを記録は示し、ある報告書は敵16人が死んだとしたと、2人の情報源は言います。それらの死者にはアメリカがパキスタン内務省情報局のために活動していると信じたパキスタン人を含みます。攻撃でパキスタン人が死んだことを示す証拠は浮上しておらず、医師団は職員にパキスタン人はいないと言います。

 アフガン駐留米軍指揮官、ジョン・キャンベル大将(Gen. John Campbell)は近くにいた特殊作戦部隊がそれらの攻撃を行うよう航空機に言った」と言いました。元政府当局者によれば、グリーンベレー高官は上官に、アフガン軍を伴う彼の部隊が攻撃され危険だったと言いました。

 医師団はいかなる攻撃も施設から行われなかったとしています。そうであったとしても、なぜ壁の外の米軍が安全な場所へ移動できなかったのは不明です。

 さらに、AC-130が空軍と陸軍が病院だと知っていた建物を1時間も攻撃し続けたのは謎です。民間人の被害を防ぐため、ガンシップは一般的に目的を達成するとすぐに攻撃を止めます。この事例では目的は表向き、米郡の保護です。通常、航空機は攻撃を続けるために地上軍からのさらなる許可を必要とします。AC-130は低く、ゆっくりと飛び、しばしば攻撃目標と負わせた被害がよく見えます。パイロットは友軍を攻撃しないように、この地域の米軍と同盟軍の位置を知っていなければなりません。医師団は攻撃の間、カブールとワシントンに患者が死んだことを何が起きているかを気がつかせるため、必死で電話をしたと言います。

 恐らくAC-130のガンカメラのビデオ映像は誰かが病院から発砲していたかどうかを示します。米政府はまだそれを公表していません。


 記事は一部を紹介しました。

 別の建物と間違えたという推測は、私が最初から提示しています。ただし、私はアフガン保健省の病院と医師団の病院の間にある大きな建物にタリバンがいて、そこと間違えた可能性を指摘してきました。この記事では保健省の病院と間違えた可能性を指摘しています。これも一理あります。私も最初は、この病院を医師団の病院だと信じたほどです。そこがタリバンに占領され、指揮統制センターとして使われていたとすれば、筋は通ります。

 しかし、地上軍は攻撃を受けていると報告したのですから、医師団の病院とそこを勘違いしたのなら、AC-130は味方と敵の位置の両方をよく分かっていなかったことになります。これは不自然です。AC-130は爆撃の前に病院から攻撃が行われていることも確認するはずです。

 記事で気になるのは次の一文です。念のために原文も掲載します。

病院の座標は友軍すべてに送られたと報告書は言い、翌日の米軍の攻撃目標の中の一つが敵軍の病院を掃討することだと指摘しました。

The coordinates of the hospital were sent to "all friendly forces," the report said, noting that among the U.S. objectives for the next day was to "clear the trauma center" of enemy forces.

 完全に病院が敵の手中にあり、攻撃しろという報告です。現場の人員はこれを読んで、病院は攻撃してよいと考えたとしか思えません。この報告があったために、AC-130は躊躇わずに攻撃したのかもしれません。

 ガンカメラの映像には、多分、攻撃の様子は写っていないのでしょう。映像が存在するのなら、すでにリークしています。

 何か極めて単純で、恐ろしく不注意な間違いが行われたような気がしてきました。

 


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