イスラム国がシリアとイラクで支配地域を喪失

2015.1.27


 alarabiya.netからシリアとイラクの戦況に関する情報を抽出しました。

 alarabiya.netによれば、クルド軍はコバネ(Kobane)を完全に掌握したと、人権団体「the Syrian Observatory for Human Rights」は言いました。

 しかし、米国防総省はコバネ戦の終結やイスラム国軍が完全に押し返されたことを宣言するのを拒否しました。国防総省広報官、スティーブ・ワーレン大佐(Colonel Steve Warren)は「私は戦いに勝ったと言う準備ができていません。戦いは続いています。しかし今のところ、私は友軍が勢いを得たと信じます」と言いました。

 土曜日にはコバネ周辺に17回の空襲が行われました。

 alarabiya.netによれば、アルカイダ参加のアル・ヌスラ戦線(al-Nusra Front)を含めたシリアの武装勢力は日曜日、南西部ダルア州(Deraa)の重要な政府軍基地を占領しました。

 ヨルダン国境地帯に沿うシリア南部の反政府が支配する町と村を砲撃するために使われていた基地は、首都を防衛する南部戦線を形成する、堅固に要塞化された地域の心臓部にあります。

 戦闘員はロケットランチャーと対空兵器で武装した武装勢力多数が、ダマスカスとヨルダン間の南北に走る幹線道路に近いシェイク・マスキーン(Sheikh Maskeen・kmzファイルはこちら)付近の第82旅団基地を占領したと言いました。「この前進は、いずれダルア市を奪取するために、我々に南から北へ向かう政府軍の補給路を遮断させるでしょう」と自由シリア軍南部戦線のセーバー・サファル大佐(Colonel Saber Safar)は言いました。

 alarabiya.netによれば、カナダ軍の特殊部隊がイラクでイスラム国と2度目の銃撃戦を行いました。

 ポール・ホアゲット大尉(Captain Paul Forget)は「二つの類似した事件が先週起こり、両方の事件でカナダ軍特殊作戦軍が再び自衛を行って、効果的に撃ち返し、脅威を無力化しました」と言いました。カナダ軍に負傷者は出なかったと彼は付け加えました。

 alarabiya.netによれば、イラク軍はディヤラ州(Diyala)をイスラム国から解放し、東部の人口密集地域を奪還したと、イラク軍高官が月曜日に言いました。

 イラク政府にとって象徴的な勝利はイスラム民兵に対するさらなる前進への道を開きます。

 アブドルアミル・アル・ザイディ中将(Lieutenant General Abdulamir al-Zaidi)は「我々はディラヤ州をイスラム国から解放したと宣言します」と言いました。彼は、イラク軍がディヤラ州のすべての市と地区、小地域の完全な支配を奪還したと言いました。

 ディヤラ州は、特にイスラム国に支配され、イスラム国が繰り返し攻撃しながらも奪取できなかったムクダディヤ市(Muqdadiyah)の近く、州北部のジャラウラ地域(Jalawla)とサーディヤ地域(Saadiyah)で数ヶ月間戦闘状態でした。

 州の人口密集地域を巡る最後の戦闘は先週金曜日に、ムクダディヤ近く、州都バクバ(Baquba)の北東の村地域で始まりました。

 ザイディ中将と地区評議会長、アドナン・アル・タミミ(Adnan al-Tamimi)はイラク軍は現在、全地域を支配していると言いました。ザイディ中将は政府軍兵士58人が死亡し、248人が負傷したと言い、イスラム国戦闘員は50人以上が死亡したと言いました。彼は大量の爆弾が北部のムクダディヤの村に残されており、除去は大きな問題だと付け加えました。

 将軍はイスラム国とのさらなる戦いがハムリーン山脈(Hamreen)であるだろうと言いました。ハムリーン山脈はディヤラ州を含めた複数の州にまたがります。

 この勝利はさらなる軍を隣接し、イスラム国が支配するティクリート(Tikrit)を含むサラディーン州(Salaheddin)にもたらします。


 記事はいずれも一部を紹介しました。

 コバネの奪還が改めて確認されました。米軍は慎重に発言しているだけで、戦いの趨勢は決着しています。

 第82旅団基地を陥落させたということは、シェイク・マスキーンも陥落したということです。この街はゴラン高原から来る幹線道路と南北に走る幹線道路の交差点です。交通の要所であり、ここを奪ったのは大きな前進です。ようやくシリア南部で前進をみました。しかし、アルカイダ傘下のアル・ヌスラ戦線が反政府軍に参加しているのが気になりますね。

 ディラヤ州はバグダッドの東側にあり、ここを完全に奪還したということは、首都の北や西へ兵を増援できるということです。つまり、これまで劣勢だったイラク軍が反攻に転じるということです。

 徐々にイスラム国が追い詰められていることが分かります。先日、空爆で奪ったのはイスラム国支配地域の1%との発表もありましたが、これは気にしなくてよいのです。支配地域の大半は人口密集地域ではありません。砂漠の国では、二つの街を占領すると、その間をつなぐ道路も自動的に支配地域になってしまいます。 地道に街を奪還していけば、勝利はやってくるのです。

 なお、日本政府の要請でヨルダンが複数の人質の交換を検討しているようです。ヒゲの隊長の主張とは違い、流石に日本政府も要請を出さないわけにはいかなかったようです。どういう結果になるかは分かりませんが、当然こうなるべき道筋です。強気で行くしかありません。イスラム国にそれが得だと思わせるのです。ヨルダンにはあとで皇室からも丁寧にお礼を言って戴けるはず。実際、安倍総理の外交よりも皇室外交の方がよほど安心感があります。

 


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