どこまで遅い、日本の従軍慰安婦対策

2014.9.6


 読売新聞によれば、政府は5日、朝日新聞がいわゆる従軍慰安婦を巡り、「朝鮮人女性を強制連行した」とする吉田清治氏(故人)の証言を報じた記事を取り消したことを受け、慰安婦問題が現在も議論されているスイス・ジュネーブの国連人権理事会などでの広報活動を強化する方針を固めました。

 慰安婦を誤解に基づき、旧日本軍によって「強制連行された軍用性奴隷」と断定した1996年の国連人権委員会(人権理事会の前身)のクマラスワミ報告に続く新たな勧告や声明などが出されないようにする狙いがあります。

 具体的には、慰安婦を組織的に「強制連行」した証拠は見つかっていないが、日本政府は、「女性のためのアジア平和国民基金」(アジア女性基金)を創設して元慰安婦に償い金を支給するなど、女性の人権問題の観点から道義的な責任を果たしてきたと丁寧に説明し、理解を得たい考えです。


 先に、当サイトで、今年ロンドンで行われた戦時の性的暴力防止のイベントについて紹介しました(関連記事はこちら )。

 すでに戦地での性暴力、強姦、暴力で脅して使役するといった行為に対する禁止に向けて、国際社会は動いているのです。これは軍隊に戦地での性暴力取り締まりも課するものであり、つまり、慰安所を容認したがる日本の態度は、この不振に著しく反することになります。

 従軍慰安婦問題を主張すればするほど、今後は日本の国際的立場は苦しいものになります。外務省も分かっているはずなのに、それを政治家に言えないのでしょう。政治家は、祖父母の代が行った恥ずかしい過去を、どうにかして目立たなくしたいだけです。

 朝日新聞に問題を帰しても、日本の不利は埋めることはできません。

 


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