イスラム国空爆の一部詳細が判明

2014.9.24


 military.comによれば、ウィリアム・C・メイヴィル陸軍中将(Army Lt. Gen. William C. Mayville)は、イスラム国は、軍を分散させ、イラクへの攻撃を続けることで、月曜日のシリア国内への空爆から立ち直ると予測すると言いました。

 「彼らは我々がしたことに適応し、空爆作戦の不足と隙間に対処しようとします」と、火曜日にメイヴィル中将は国防総省の記者会見で言いました。「我々は彼らがすでにそれを行った証拠を得ています」「我々はシリアへ地上軍を出していませんし、出すことはないでしょう」。

 しかし、メイヴィル中将はよりよい照準を提供し、民間人の被害を防ぐ空爆を行うために、シリアとイラクに統合末端攻撃統制官(JTAC)を派遣していることは認めました。

 月曜の夜に始まり、火曜の朝まで続いたシリア攻撃は、アルカイダ傘下のコルーゾン・グループ(the Khorosan Group)も標的にしました。アメリカは、アレッポ周辺のこのグループの司令部、指揮統制施設、訓練地域を狙ったとイヴィル中将は言いました。コルーゾンは西欧とあるいは米本土への攻撃の計画最終段階にあったと考えられていると中将は言いました。

 かつてアフガニスタンとイラン、ウズベキスタンの一部からなっていたコルーゾン地域から名付けられたコルーゾン・グループは、死んだオサマ・ビン・ラディン(Osama Bin Laden)の側近、ムシン・アル・ファデリ(Muhsin al-Fadhli)が率いると考えられています。先週、国家情報長官、ジェームズ・クラッパー(James Clapper)は「コルーゾンはイスラム国と同様に非常に危険かもしれない」と言いました。

 人権団体「The Syrian Observatory for Human Rights」は、ラッカ州(Raqqa)、デリゾール州(Deir al-Zor)、ハサカ州(Hasakah)の少なくとも50ヶ所を攻撃した空爆で、イスラム国の戦闘員少なくとも70人が死亡したと言いました。

 国防総省広報官、ジョン・カービー海軍少将(Rear Adm. John Kirby)は、シリアのアサド大統領とは空爆に関して調整はしていないと強調しましたが、米外交官がニューヨークでシリア当局者に攻撃の可能性があると警告したと言いました。ホワイトハウス当局者はサマンサ・パワー国連米大使(Samantha Power)はシリアの国連大使に接触したと言いました。

 アメリカはアサド政権を立て直すという副作用がでないようにイスラム国を打倒する戦略を考案しようとしています。「私は昨夜の影響がアサドに利するものとは思いません」とメイヴィルは言いました。彼はシリアの防空網はアメリカと同盟国の航空機を追跡したものの、レーダーは「パッシブ」モードだったと言いました。「我々は民間人の犠牲者が出たとは承知していませんが、爆弾の損害評価は継続中です」。近接航空支援のために市街地においてJTACや地上部隊を用いることは好ましい手法ですが、アメリカは空から目標を選択するための方法を開発することに成功しました。米軍機は最近、イラクのハディーサダム周辺の市街地でイスラム国の目標を、民間人の犠牲者の即時報告を受け取ることなく攻撃しました。

 シリア攻撃は3回行われ、東部標準時の月曜日午前8時30分に、アレッポ周辺の目標に対してトマホークを発射することで始まり、戦闘機、爆撃機、無人攻撃機を取り混ぜて使うことで続きました。

 第二波は午前9時で、イスラム国の司令部建物、補給基地、訓練基地、指揮統制施設、ラッカの拠点周辺の装甲車両を攻撃しました。F-22ラプターは第二波に参加し、第五世代の戦闘機が初めて戦闘で使われました。メイヴィル中将は、F-22が攻撃したラッカの指揮統制ビルの空爆前後の写真を示しました。

 第三波で、ペルシャ湾の空母ジョージ・H・W・ブッシュから離陸した海軍と海兵隊のパイロットはこの地域のいずれかの基地から離陸したF-16に加わり、シリアとイラク国境のイスラム国の目標を攻撃しました。第二、三波の攻撃で、合計14回の空爆が行われたと中央軍は言いました。

 アラブ諸国は第二波に参加しました。それらの軍用機は爆撃と目標上空の戦闘パトロールに参加したと言いました。ヨルダン、サウジアラビア、バーレーン、アラブ首長国連邦が空爆に参加するために戦闘機を提供し、カタールが空軍基地の使用を認めたと考えられています。

 イラク軍とクルド軍が再編成を行い、イスラム国に対する攻勢を行うために「若干のスペースを作ることが最も重要です」メイヴィル中将は言いました。


 記事は一部を紹介しました。

 元記事に掲載されている空爆のマップを見ると、シリア国内のイスラム国の支配地域全般を空爆したようです。昨日書いたように、アレッポの自由シリア軍だけの支援だけではありません。

 発表の中で気になるのは、初耳のコルーゾン・グループです。大規模なテロ計画を立てていたという話ですが、どのような内容かが気になります。

 しかし、「空から目標を選択するための方法を開発」という話は眉唾ものです。これまでの方法に加えて、どんなものを開発したというのかが気になります。つい先日、中央軍司令官から、空爆誘導のためにもっと前線に兵を出したいという進言があったばかりですから、とてもにわかには信じられません。

 シリア政府には警告だけはしたようです。そして、シリア政府は積極的に攻撃に出ませんでした。そんなことをすれば、シリア軍の防空網に対する攻撃が予測されるからです。

 メイヴィル中将が言うとおり、イスラム国は組織を分散させ、より空から判別しにくいように組織を改編するでしょう。それによって、戦いがどう変化するかに注意が必要です。これはイラクでも起きた事態です。


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