イスラム国の前進を報じる記事が増加

2014.9.21
追加 同日 13:45


 alarabiya.netがイスラム国(ISIS)に関するニュースを多数報じています。

 人権団体「the Syrian Observatory for Human Rights」は、イスラム国の過激派はトルコ国境近くのクルド人の村60ヶ所を占領したと言いました(元記事はこちら)。

 「過去48時間で、彼らは60ヶ所の村、金曜日だけで40ヶ所を占領しました」と、団体の理事、ラミ・アブドル・ラーマン(Rami Abdel Rahman)は言い、クルド人にはコバネ(Kobane)として知られるアイン・アル・アラブ(Ain al-Arab・kmzファイルはこちら)周辺での作戦について述べました。「クルド人戦闘員は数で劣勢のために退却しています」。

 木曜日、クルド労働党(PKK)の民兵はトルコのクルド人にシリア北部のイスラム国との戦いに参加するよう呼び掛けました。「北部クルディスタン(トルコ南部)の若者はコバネに行き、英雄的で名誉ある抵抗に参加すべきです」とPKKはウェブサイトへの投稿で言いました。

 民兵グループの最新の前進は、無人偵察機がアレッポ州のイスラム国の上空を飛行した時に起こりました。人権団体理事のラミ・アブドル・ラーマン(Rami Abdul Rahman)は、アレッポ東北部の複数の情報源が、少なくとも1機の無人機がアル・バブ(al-Bab)とマンビジ(Manbij)を含めた街の上空で目撃されました。「彼らは以前は無人機を見ませんでした」と彼は言いました。

 トルコは金曜日、隣国シリアでイスラム国との戦いを避けたクルド人多数に国境を開放しました。(元記事はこちら

 イスラム国民兵は電撃的な2日間の作戦でトルコ国境に近いクルド人の村60ヶ所を占領したと、人権団体「the Syrian Observatory for Human Rights」は言いました。

 トルコはすでに130万人のシリア難民を受け入れていて、さらに数10万人が900kmのシリア側の山地で待機し、戦いの激化と共に越境しようとするのを恐れます。「我々はシリアやその他の別の場所からアナトリアへ逃げる兄弟を、民族や派閥で差別せずに受け入れます」とダウトオール首相(Davutoglu)は言いました。「現在、登録は始まっています」「我々は4,000人の兄弟を受け入れました。この数字は増加するかも知れません。彼らの要求はかなえられるでしょう。これは人道的任務です」。

 この動きは、シリア内戦の難民150万人を保護する首都アンカラが、対処できないことを恐れて、さらに受け入れることを拒否したあとで起こりました。「トルコが強くあり続ける限り、収容できる限り、難民全員を助けます」と首相は言いました。

 テレビ中継の映像は大半が女性と子供のシリアのクルド人が、厳しい警備の中、デキメタス村(Dikmetas)で国境のトルコ側に渡っているのを示しました。

 イラク北部のニネベ州(Nineveh)のイスラム国民兵は、宗教上の司法秩序を施行するために警察軍を創設したと、イスラム国のウェブサイトは報じました(元記事はこちら)。

 ウェブサイトに投稿された写真は、「ニナワ州イスラム警察」と腕にプリントされた武装した男を示しました。警察軍は新しくペイントされたパトカーに乗り、1枚の写真は川船に乗った民兵を示しました。写真がいつ投稿されたかや、警察軍がいつ創設されたかは不明です。

 ウェブサイトのテキストは、警察軍が秩序を維持し、犯罪者と腐敗を摘発する」としています。テキストは軍が他の州の警察軍とは違い、意義を鎮圧するための道具と説明しています。

 ニナワ州の住人はロイター通信に、警察の主任務は彼らが大義に反すると考える者を抑留することのようだと言いました。

 警察は道路上に検問所を設け、家宅捜索を行っていると住人は言います。1枚の写真は目隠しされて、刑務所に連行される男を示しました。

 インドネシア警察は月曜日、イスラム国につながりがあると考えられて週末に逮捕された外国人4人は中国のウイグル族であると言いました(元記事はこちら)。

 4人の男はトルコ人だとされた翌日、警察は彼らは調査の結果、彼らがトルコの偽造パスポートでインドネシアに入国したと言いました。第88警察独立分隊が、土曜日に民兵の活動の温床として知られるポソ(Poso)のスラウェジ地区(Sulawesi)で彼らの車を尾行したあとで、彼らと随行したインドネシア人3人を逮捕しました。「対テロ警察の調査の結果、外国人4人はウイグル族と判明しました」と国家警察広報官、ロニー・ソンピ(Ronny Sompie)は言いました。「彼らは偽のパスポートを所持していました」。

 男たちはタイのブローカーにパスポート一冊に1,000ドルを支払い、そららをマレーシア、インドネシアに入国するために使ったと、ソンピは言いました。別の広報官、アグス・リアント(Agus Rianto)は、男たちはイスラム国とのつながりにつてい調査されていると言いました。

 国家警察長官のスタルマン(Sutarman)は、彼らはポソ周辺のジャングルに隠れているインドネシア東部のイスラム過激派指導者のサントソ(Santoso)に会いたがっていたと言いました。「なぜ彼らがサントソに会おうとしたのか、テロ行為の訓練のためかについて、我々はまだ調査中です」。

 インドネシアには約2億2,500万人の世界最大のイスラム教徒がおり、長きにわたりテロリズムと戦ってきました。しかし、最近、鎮圧に成功し、大きな攻撃は終わりました。インドネシア政府は数十人がシリアとイラクに向かったと見積もっており、スシロ・バンバン・ユドヨノ大統領(President Susilo Bambang Yudhoyono)は、彼らの帰国を懸念し、国中に過激派の思想が拡散しないように当局に任務を与えました。


 記事は一部を紹介しました。

 トルコ北部でイスラム国がさらに領域を広げているようですが、それよりも無人偵察機らしいものが目撃されている話が気になります。目撃の信憑性も検討しなければなりません。無人偵察機が簡単に目視できるような高度を飛ぶのは疑問です。戦術用の偵察機なら低い高度を飛ぶかも知れませんが、プレデターやグローバルホークはそうではないでしょう。トルコ軍、シリア軍が飛ばした可能性はありそうです。

 拡大するイスラム国の勢力を押さえるには、無人攻撃機で指揮官を暗殺する方法があります。かつては、アルカイダの指揮官を殺しても、すぐに後任がやって来たので、あまり効果はありませんでした。しかし、イスラム国のように活動する場所を固定している組織では、効果はあるかも知れません。それを狙って無人機で情報収集をしている可能性は考えられます。

 近くクルド側からの反撃が行われるはずです。その結果、今回、イスラム国が奪った場所を奪還するかも知れません。イスラム国は1〜2万人程度とみられていますが、現在支配している地域全体を守るには、まったく足りない兵数です。つまり、各所にいる兵士は少なく、増援を送る態勢もないだろうといえます。シリア北部に集結した兵力もそれほどではないはずです。クルド軍が集結して戦えば、彼らを追い返す可能性も十分にあります。

 イスラム国のような組織の動きは、彼らに対面しているクルド人のような民族には察知しにくく、攻めてきた時点での対処になるために、対応が難しいという問題があります。このため、今後はイスラム過激派周辺の民族が無人偵察機のような道具を用い、常に領域を偵察し、異常がないかを確認する必要があるといえます。事前にイスラム国が集結していることが分かれば、クルド軍が防戦の準備をする余裕が作れます。

 トルコが一度は難民受け入れを中止しながら態度を変えたのは、湾岸諸国から支援の打診があったのかも知れません。 証拠がないので、確証はありませんが。

 そして、気になるのがマレーシアとインドネシアでイスラム国に同調する動きが続いていることです。近い将来、こういう動きが日本に何かの影響を及ぼす可能性を考えざるを得ません。しかも、ウイグル族がイスラム国と接触しようとしているということは、イスラム国の影響がアジアにも及んでいる証拠です。中国治安当局もこのニュースに注目しているはずです。これまでは中国領域内だけの話だったのが、イスラム国がからんできたのです。当然、ロシアも国内の反政府勢力がイスラム国と接触する可能性を考えていることでしょう。


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