米軍のISIL空爆が限定的成果をあげる

2014.8.12


  military.comによれば、米軍の空爆はイラク北部の過激派武装勢力の隊列を破壊したものの、イラクとレヴァントのイスラム国家(ISIL)の前進全般を止めることはできなかったと、米国防総省のウィリアムス・C・メイヴィル陸軍中将(Army Lt. Gen. William, C. Mayville)が月曜日に言いました。

 空爆への対応で、ISILの戦闘員は姿を消し、群衆の中に隠れ始めました。照準がさらに困難になっているとメイヴィル中将は言いました。

 「我々は非常に一時的な効果を出しました」とメイヴィル中将は言い、限定的な空爆作戦が彼らの動きをなんとか打破したと信じることはできませんと、付け加えました。「ISILの戦闘員は現在、クルド人の首都、イルビル(Irbil)に前進するかを熟考しているかもしれませんが、他にやるべきことを模索するでしょう」。

 海軍のFA-18、空軍のF-15とF-16、無人機MQ-1は木曜日以来、15回の空爆を行い、ISILの活動のテンポを遅めたものの、その能力全般には影響を与えていないとみられると、メイヴィル中将は言いました。

 アメリカが領事館を置くイルビルを防衛し、ヤジディ派に人道支援を提供する現在の空爆作戦を延長する計画はないと、彼は言いました。「現在の作戦は範囲が制限されています」。

 米軍の軍用機はシンジャル(Sinjar)周辺のISILの陣地を攻撃しましたが、最も重要なのはヤジディ派に救援品を空中投下することだとメイヴィル中将は言いました。

 救援機関と国連はアメリカにヤジディ派が山地から出るために安全地帯を設けるように要請しています。


 記事は一部を紹介しました。

 元記事のタイトルは空爆が成果をあげていないような意味合いでしたが、私はこの程度の空爆では標準的な成果だと思うので、限定的成果と書きました。

 ISILの戦闘員が大衆の中に姿を消したのも、よくあることです。対テロ戦では、攻撃することで、敵がより見えにくくなるという問題が指摘され続けてきました。今回のことも、米軍は折り込み済みのはずです。しかし、ISILが侵攻のために軍を集結させると、そこを攻撃することはできるので、クルド人がある程度武装していれば、イルビルは陥落しないことになります。少なくとも、その程度の確証は得られるというのが、今回の空爆の成果です。クルド側の要請で、アメリカは武器を提供することになっています。提供元は国防総省ではない別の機関とされています(関連記事はこちら)。これがCIAである可能性は高いですね。ブッシュ政権の時にクルド人をフセイン政権に蜂起させる作戦を行い、現地にエージェントを派遣したのはCIAです。

 現段階では、この作戦の成否は判断できません。

 


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