民間機撃墜の原因は不十分な装備か?

2014.7.21


 military.comによれば、ウクライナの反政府派は、民間機と軍用機を見分けるシステムを持たないために、民間機を撃墜した可能性があります。

 米当局者は金曜日、ボーイング777は、親ロシア分離主義者が支配するウクライナ東部から発射されたSA-11ミサイルで撃墜されたと考えていると言いました。国連大使、サマンサ・パワー(Samantha Power)はロシアが反政府派がこのシステムを操作する技術職な援助を与えたかも知れないと言いました。

 しかし、正確に機能するためには、ブーク(Buk)としても知られるSA-11ランチャーは、撃つ航空機の種類を特定するために、中枢のレーダー司令部と接続するものとされています。

 現在までに明らかになった情報では、反政府派はそうしたシステムを持っていないとみられると、モスクワに拠点を置く新聞「Novaya Gazeta」の防衛問題のコラムニスト、パーベル・フレゲンハウアー(Pavel Felgenhauer)は言いました。「彼らがウクライナの輸送機を撃墜したいと思う時、彼らは容易に悲劇的な間違いを犯し、旅客機を撃墜しかねません」。

 金曜日、ロシア国営通信社「RIA Novosti」は、地政学問題アカデミー(the Academy of Geopolitical Problems)の代表、コンスタンティン・シブロフ(Konstantin Sivkov)がブーク・ミサイルは標的特定システムの外部システムが備えられるべきと言いました。それは無線式の位置測位システムで、反政府派は間違いなくそれを持っていません。支援なしだと、ミサイルは何を狙っているか確信のない操作員が発射します。

 「レーダースクリーン上の光点を見るだけでは、照準の決定をするには不十分です」と、王立国際問題研究所(the Royal Institute of International Affairs)のキア・ジャイルズ(Keir Giles)は言いました。「これらの兵器システムは追加の情報に接続するために追加のレーダーシステムを必要とします」。

 惨劇の直後に反政府派が投稿したソーシャルメディアも、彼らが民間機がこの地域を避けると考えていて、空中にいる物はすべて、敵だと考えていたことを示します。

 ミサイルが航空機を特定する努力なしに発射されたなら、マレーシア航空17便の破壊は犯罪的な怠慢だと、米空軍ロバート・ラティフ退役中将(Maj. Gen. Robert Latiff)は言いました。彼は商用機は通信用周波数を使い、商用機と特定する信号を発し、商用機の高度と速度で飛ぶと言いました。「分離主義者がいかなる情報も活用したり、状況を確認しようとしたようには見えません」「私の推測は、システムのレーダーは高度30,000フィートを飛ぶ大型輸送機の反応を見て、自動的に発射したか、撃ちたがり屋の操作員がチャンスを逃したくなくて発射したということです。彼らが引き金を引く前に追加のデータを探すことを選択したようには見えません」。

 匿名を希望したNATO軍将校は、バークランチャーは戦車に似た自走式の車両で、通常、別の指令車の命令の下にあると言いました。「教範通りのやり方では、指令車は標的を指定し、発射するユニット、ランチャー1かランチャー2を決めます」。


 記事は一部を紹介しました。

 誤認による撃墜で、この事件に対する専門家の見方は一致しているようです。当サイトでも、反政府主義者による誤射との可能性を指摘しました。

 次に問題になるのは、このミサイルが政府軍から奪われたものか、ロシアが提供したものかということです。すでに、アメリカがロシアが提供したと断定したとの報道もあります。

 携帯型の地対空ミサイルと違い、ブークは一定の訓練を受けた者でないと扱いきれません。単に、反政府派が政府軍の武器庫から奪ったとしても、操作経験がある者が反政府派にいないと使えません。つまり、ロシアが提供したミサイルなら、訓練も提供しているはずなのです。その結果、民間機が撃墜されたのなら、当然、ロシアは強い批判を受けることになります。

 ロシアのシナリオでは、表沙汰にならない形でウクライナの分離主義者へ武器提供を行い、徐々にこの地域を独立の方向へ持っていくことです。今すぐに行おうとすれば、西欧の反発を招き、それはロシアに大きな悪影響となり得ます。だから、ロシアが静かに変化を起こしたかったはずです。それでも、ロシアは「この程度のミスはなんとかできる」と考えているはずです。しばらくは、沈黙して、様子を見ることで、事態を回避します。

 ウクライナの分離主義者たちには、国際社会から厳しい批判が与えられます。撃墜しただけでなく、現場での調査を妨害し、散乱した遺品を略奪し、遺体の搬送を許さないのでは、到底、国家となるべき集団とはみなされません。権利ばかり主張し、義務を果たさない奴らとのレッテルは、彼ら自身が選択したようなものです。

 


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